🌼漫画「陰陽師」の中の泰澄和尚の伝説🌼

陰陽師」第8

安倍晴明天の川に行きて雨を祈ること

から

 

    

🌼

 

🌼前回は天徳四年の9月に起こった

内裏焼亡に少しだけ触れましたが、

 

🌼天徳四年は旱魃の年でもありました。

 

夏になると祈雨を祈る奉弊使

(帝の命で祈雨の幣帛を奉献する御使い)が

水神をお祀りする各地の神社へ送られ、

 

雨を請う祭祀や、御修法が

平安京の中にありながらも

大自然のお狩場でもあった

 

“神泉苑”で、行われました。

 

🌼

 

🌼当時、神泉苑には磐座があり

そこから泉が湧いて、滝もあって

大きな池になっていたそうです。

 

その池の端で、

神祇官の祭祀や

陰陽寮の五竜祭

東寺の座主による請雨経法の

大きな雨乞いの儀式が行われました。

 

🌼それに合わせる様に

 

博雅と晴明は

秘密裏に帝の命を受け

都の外へ・・。

 

平安京を中心に

北から南下の

近畿の水の神の聖地を巡る

大きな、反閇の旅へ。

 

最北の水の聖地、

若狭の「天徳寺」に向かいます。

 

🌼

 

🌼若狭の"水の森大明神"に守られた

天徳寺の開祖

 

白山を開山した直後の、

泰澄和尚でした。

 

物語の中でもその伝説に

触れてゆきます。

 

🌼そして、二人は若狭でも、

また、菅公ゆかりの人物

出会うのでした。

 

🌼

 

🌼

 

🌼今回も情報量

大変多いですが、

記録として。

 

🌼若狭の「天徳寺」から、

雨乞いの”神泉苑”へ

 

”神泉苑”で実際に行われた

雨乞いの祭祀の

資料に関するメモ

 

🌼そして、

 

多くのファンの皆さんが、

本を片手に、

博雅と晴明の足取りを辿って、

 

水の聖地を

北から南へ、旅してくださった

 

「陰陽師」第8巻。

 

発端の

「天徳寺」から

 

「陰陽師」第8巻

「安倍晴明、天の川に行きて雨を祈ること」

 の物語誕生の

 思いがけない秘話まで。

 

画像と写真とで

記します。

 

🌼🌼🌼🌼🌼🌼🌼

 

🌼

 

🌼「安倍晴明、天の川に行きて雨を祈ること」
第3章の扉絵。

旱魃だった天徳四年。

夏には神泉苑で
密教による請雨経法や
陰陽師による五竜祭が

行われ、

晴明と博雅は
若狭から吉野へ向かっての
水神にまつわる聖地を巡る
雨乞いの旅へ。

その旅の始まりの扉でした。

🌼ピラミッド型に座る、

(宝珠になった)
晴明の頭上の
インフィニティは
"限りのないもの"
"あの世とこの世を結ぶもの"
"その間に立つ者"の
象り

🌼"波に宝珠"の紋は
若狭の"鵜瀬"に関わる
「若狭彦神社」「若狭姫神社」の
ご神紋です。

 

🌼

 

🌼博雅と晴明は
都から、北上
最初に向かったのは、

🌼若狭の"天徳寺"。
(福井県若狭町)

一帯は古くから"水の森"と呼ばれ
修験者の修験道場

ですが、その開基は、

あの白山開山の「泰澄和尚」でした。

🌼

 

 

🌼"水の森大明神"に守られた

修験者の修行道場。

🌼取材当時、天徳寺でいただいた、
「水の森大明神の縁起」より

抜粋で・・

“養老年間・・
泰澄大師が
宝篋が嶽に登って
馬頭観世音菩薩を刻み

ご神水のあるところにお祀りしようと
霊地を探し求めども、

湧水の気配がないで、
諦めて、宝篋が嶽の岩の上に
尊像を安置して
嘆いていたところ、

南方の二本の古木の間より、
頭に白蛇を頂いた龍馬が飛来し

大地鳴動し、岩破れて
神水湧き出したと・・。

この神水を以て
“駒清水”(現在の”うりわり”)と
名付けられたそうです。

🌼以来噴出する霊泉は
どれほどの月日が経っても
寒暑の区別なく、
どれほどの旱天地変にも
異変を来すことなく

特にこの霊域は 
雨乞いの地として知られていました。

🌼

 

 

🌼年を経てのち、
村上天皇の御代
"元真僧都"が

霊泉の近くに草堂を建てて
“馬頭観世音菩薩”を安置して
日夜駒清水の神水を供えて
祈念するや、
菩薩は光明を放ち
異香四方に薫じ
無上の心を発して
観音菩薩の威神力表る

🌼その霊験が帝の耳にも達し。

時は、旱魃続きに

「天徳」と改元したばかり。
その元号を授けられて、

村上天皇勅願の「天徳寺」と
名付けられたそうです。

🌼その、霊泉の聖地で・・
博雅と晴明を
待っていたのは、
元真僧都その人でした。

🌼

 

 

🌼南方の
二本の古木の間より、
頭に白蛇を頂いた
龍馬が飛来し
 

🌼


「我レハ北天竺ノ八大龍王ナリ
 観世音菩薩ノ御威光ト
 大師ノ御徳ヲ感ジ

 我ガ北天竺ノ水ヲココニ移シテ
 永クコノ泉ニ留マリ
 天下泰平五穀豊穣ヲ祈ルナリ

 モシ末ノ世ニ至リテ旱天続キ
 五穀ニ憂イアルコトアラバ

 コノ泉ニテ
 雨ヲ祈ルベシ
 マタ甘水ヲ 手ニスクイ
 福徳円満ヲ祈ルベシ」

🌼

と、彼方の岩窟に入るや
四方に神光を放ち
大地鳴動し、岩破れて
神水湧き出、この神水を以て
“駒清水”(現在の”うりわり”)と
名付けられる。

🌼“八大龍王”は、
“水の森大明神”となって

駒清水の霊泉一帯を
守っており、

夏の日でも、氷の様に冷たい
霊泉に、瓜を冷やしておくと、
その冷たさに浸した瓜が
自然に破れてしまうことから
“瓜割り”とも。

🌼

 

 

🌼岩の奥、
陰陽の湧水が
吹き上がるように
流れ出ていました。

🌼

 

🌼元真僧都に
見送られて
天徳寺を後にしますが

この元真僧都とは・・。

🌼

 

🌼瓜が割れるほど
冷たい瓜割の霊水から
話題は
件の元真僧都に・・。

🌼元真僧都に
見送られて
天徳寺を後に。

🌼

 

🌼 実は、元真僧都は
菅原文時の三男で、
あの、
“菅公”の曾孫でした。

菅公の孫の菅原文時公は
漫画「陰陽師」第2巻の
「天邪鬼」中で、
とっても印象的に
天邪鬼と遭遇してしまった
登場人物でした。

🌼どのようなお導きなのか、
元真僧都は、泰澄大師が
開いた水の聖地を
任され、帝の勅願の寺として、
宣旨を受け
観音堂など堂宇が建てられ

「天徳寺」へ発展してゆく
大きな役目を
されていたようです。

🌼

 

 

🌼祈雨メモ1

🌼天徳四年、旱魃の夏
七月二十五~二十七日の
三日間に渡って、

雨を乞うため、
過去に、弘法大師空海が
雨乞いをした伝説で名高い

“神泉苑”で

神祇官による祭祀と

東寺の長者寛空大僧都による
“請雨経法”。

陰陽寮では
その年天文博士になった
賀茂保憲による
“五竜祭” が
合同で行われました。

🌼上のコマは、
“請雨経法”の
須弥壇を覆う幕屋の屋根の
十二天の幡。

“請雨経法”の道場には
二十八流の幡が。

🌼僧侶の着物も袈裟も
幕屋も、護摩壇も、
全てが 水色に染められ、

神泉苑の四角に結界を張り

苑内を、限りなく開放して
勧請しうる限りの
雲という雲、
龍神という龍神すべてを
神泉苑に勧請して、

龍神の持つ 宝珠の威光によって
降雨を祈念したそうです。

🌼中のコマ
幕屋の手前は
陰陽寮の行う五竜祭を
準備しているところ。

右手かすかに見える締めは
神泉苑の磐座で、

最初に祭祀が行われました。

🌼左手前は、
神泉苑の池の端。

🌼奈良国立博物館所蔵の
神泉苑請雨経法道場図が公開されていました。
https://www.narahaku.go.jp/collection/1151-0.html

 


🌼文化遺産オンライン
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/160491

 


ほんとに便利な世の中になりましたね。

🌼随分前ですが、サイト「OGDOAD」にも、
天徳年間含め陰陽師年表

作ってありました💦
天変変異、除目、西暦も入っていて

なかなか便利です。

http://www.najanaja.co.jp/omj/omj_nen/omj_nen001.html

 

 

🌼

 

 

 

🌼祈雨メモ 2

🌼「請雨曼荼羅」
筆の早い仏師が呼ばれて、
釈迦が諸龍を集めて説法する
請雨曼荼羅が
一晩で描き上げられました。

そのぉ・・。。。
その史実にちなんで・・。
8巻も無事完成して
欲しかったので・・・・。

当時・・このカラー扉絵も・・
一晩で仕上げてみました。

🌼「請雨経法」の式次第の
詳細は・・。

執筆直前に、知り合いのお坊さまに

いよいよ、雨乞いのシーンを
描くことを伝えましたら、
「雨乞いですか ! 
今丁度調べていたところです。
請雨経法もです ! 」

と、四国から、
「 請雨経法の出前です~ ! 」と

詳細を教えに来てくださいました。
(なので・・手が抜けなくて、
壇の上の法具まで
次第通り描いてあります。涙。)

その割には・・・

🌼当時はまだ、何気に人嫌い、
同業者不信だった、晴明の

物語の中のセリフは・・
辛辣なのですが・・!

🌼

 

🌼祈雨 メモ3

カラー絵
もう1点オマケで。

🌼天徳寺を出た博雅と晴明は

若狭のもう一つの
水の聖地 

お水送りの
“鵜の瀬”へ。

🌼鵜瀬の水底に
水中洞穴があり、
その洞穴は

奈良の東大寺の二月堂の
“若狭井”まで通っている・・。

🌼鵜瀬の言い伝え、
水の神様のお使いの

白い鵜と、黒い鵜の伝説を
そのまま体現する様な
白衣の晴明と
黒砲の博雅の対照が

案外楽しい
執筆でした。

🌼瀬の対岸は白石という
磐座に
若狭彦神、続いて若狭姫神が
天降(あも)られた。

伝説に相応しい
清らかな
水の聖地でした。

🌼

 

🌼”うり割り”と
天社土御門本庁、天社宮


「陰陽師」第8巻
「安倍晴明、天の川に行きて雨を祈ること」
の物語の誕生 のメモ🌼

🌼有志5人で
福井県おおい町名田庄の
天社土御門神道本庁で

毎年、八朔(8月1日)に行われる
「名越之祓・八朔祭祈祷行儀」に
参列したことがありました。

1996年8月1日でした。

🌼参加したのは、
某出版社の編集者H氏
怪奇幻想文学アンソロジストのH氏
怪奇小説家のK女史
OKANOに友人女史の5名。

🌼京都から鯖街道抜けて、
若狭彦・若狭比咩神社、
鵜瀬、賀茂神社巡り、
名田庄入り。

夏越しの祓いでは、
茅の輪をくぐりや 繩解きを。

その頃は、まだ、
陰陽道の祭祀初体験。 

その祭祀でいただいた
泰山府君神からの撤饌の品々。
その中に、

🌼「うり割りの酒」がありました。

化粧箱には”瓜割りの滝”の写真と
天徳寺の名が。

お下がりでいただいた
一本の御神酒。
濱小町酒造の”うり割りの酒”が
気になりました。
                                    
🌼「八朔祭」が終わった後、
直会にも呼んでくださり、

名田庄の皆さんや
神官さんたちと意気投合。

導かれるままに
頭巾山の「山奥の滝へ!」と
皆で案内してくださった。
(おそらく、”野鹿の滝”)

滝から、里の
天社宮へ戻ってくると、

🌼名田庄の集落の
開かれた、広い空一面に、
大きな鳳凰の様な雲が
現れていました。
皆で歓声を上げながら、
空を見上げていました。

🌼翌日、タクシーに分乗で
美山を超えて、
京都市内への帰り道、

それまでの取材体験の中・・
そんな経験したことないほどの

猛烈な睡魔に襲われ、
他のメンバーと話もできないほどの
混沌状態に・・。

🌼その睡魔の中で、実は
陰陽師8巻の雨乞いの物語の、
全ての流れ・・
プロットが出来上がっていたのです。

🌼それから2年が経って
「歌合」を経て、

いよいよ執筆に取り掛かった
第8巻。

最初の取材は、
あの、御神酒を産んだ
ご神水の聖地。

「天徳寺」の ”うり割の滝” 。

🌼濱小町酒造の
「うり割りの酒」。
今では廃業となってしまい、
このお酒はありません。

けれども、この小瓶1本が
そのあとの
漫画「陰陽師」の物語の流れを
決めていました。

🌼思い出しても、不思議な導き。
不思議で壮大だった鳳凰形の雲も。

🌼安倍晴明の子孫
土御門(安倍)家の墓所も守る

天社土御門神道本庁の
「名越之祓・八朔祭祈祷行儀」の
お祀りと、お下りの

「うり割りの酒」から

「安倍晴明、天の川に行きて雨を祈ること」

授けられたのだと感じています。

🌼なので・・化粧箱も、
漫画「陰陽師」制作には

必須であった資料として、
ファイルに保存してあります。

🌼

 

🌼名田庄の空
いっぱいに広がっていた雲。

繋いだ写真の右下の森の下に
天社土御門神道本町があります。

左側に見える森は
南の方の視界いっぱい

空の端から端まで。

あんまり不思議で、
何枚もの写真を撮っておいたけど、
撮りきれないほどでした。

陰陽師執筆中、
お守りのように、

繋いだ写真を
視界の中に広げておいた。

天徳寺と・・
土御門神道本庁・・

晴明公と
白山に捧げまして

今回初公開です。

🌼ありがとうございました。

 

陰陽道宗家 土御門神道天社宮
HPご案内させていただきます。

https://onmyodo.jp

 


🌼

 

 

🌼🌼🌼🌼🌼🌼🌼

 

 

🍁「 シェア ラブ 玉手匣 ワークショップ 」🍁

vol.10 in. 石徹白 (いとしろ)

《 貴女の内側の豊饒の泉とのリコネクト》第10回

🍁開催日時 : 2023年 10月 13日(土)~16日  

🍁会場・協力 : カルヴィラいとしろ

 

お陰様で貸切バスの方は満席となりました。

ありがとうございました。

 

🌼自家用車でご来場可能な参加ご希望の方のみ

10月8日までお受けしております。

ご縁のあられます方、どうぞご覧ください。

 

■ WSお申し込みはこちら

 

🌼🌼🌼🌼🌼🌼🌼

 

 

🌼postscript として

 

🌼「陰陽師 玉手匣」でも “神泉苑”の中島が、
天橋立へのポータルとして登場しており、

神泉苑の”古図”を描いておりましたので、

呪的に十文字形で描かれ、神仙界と繋がっていると
見做されていたと思われる 中島の図・・。

シェアいたします 🌼🌼

 

 

 

 Reiko Okano

 

アカウントのない方はFB Pageを

 

 

うっかり公開が

漏れておりました。

菅原道真公を通しての白山その3

と 前後してしまいますが

昨日公開いしております。