定食屋に入った。
隣は若い男性である。
真横なので全部見えるわけではない、というかほとんど気配であるが、所作が美しい感じがする。育ちの良さが滲み出ている。
食べ終えた彼は店の人に、
ごちそうさまでした。
と声をかけて去って行った。
いい声である。
何を食べたんだろうと残された食器に目をやると魚だったようだ。
猫の化身だったかと思うほどきれいに食べてあった。皮もなくて本当に骨だけが残され、それもきれいにまとめてあった。
覗き込んではないが、おそらく茶碗には米粒一つ残っていないだろう。
完璧だ。
定食屋の利用の仕方として本当に素晴らしい。
なかなかいそうでいないんですよね、こういう人。