▼ 効果が出るまで数か月かかる
潰瘍性大腸炎/クローン病、リウマチの薬、チオプ リン製剤は、安い、飲むだけと使いやすい。一方、薬の効果が出るまで、 2 ~ 3 ヵ月、さらに1年かかる人もいて、患者側は、待つ!という忍耐が必要となります。ただし、効果は安定していることから、体質に合っていれば、とても役立つ薬です。
効果があれば、通常 5 年以上投与されます。ある研究では、それぞれ 1 年後、3 年後、5 年後も 95%、69%、55% の患者らが、良好な状態を維持していました。
患者としては、気分が良くなったら、チオプリンを中止したくなる。でも、中止後 1 ~ 5 年以内に症状が再発する可能性は高く、症状が悪化した場合、手術が必要になることも。
薬はできるだけ使いたくない。でも、途中でやめてしまうと、せっかく抑えられていた症状が戻ってきてしまう。根源太郎を追放できていないためです。
▼ 個人差が大きい薬
チオプリン製剤は、そのままだと症状を改善することができません。体の中で化学変化することで、やっと薬としての働きを始めます。化学変化するためには、体内で作られる特定のタンパク質が必要です。
そのタンパク質は、どの人の体の中でも作られるのですが、なぜか人種や個人によって、働き方が異なる。
このため、同じ量の薬を飲んでも、効果がたくさん出る人とちょっとしか出ない人、副作用がきつい人と、ほとんど出ない人というようにに差が出てしまう。
このため、その人に最も合った使い方を探しだすという作業が必要になります。
▼ 副作用
チオ プリン製剤の副作用には気持ちが悪くなる,風邪のような症状,下痢, 肝機能障害,膵炎(膵酵素上昇),感染症,骨髄抑制(血液の病気),脱毛,悪性腫瘍(悪性リンパ腫など)などがあります。
▼ 早期に現れるする重篤な白血球減少すぐ後に、重篤な白血球減少症と脱毛症が起きること。
▼ ほかの薬との併用で要注意
以下のような薬と併用する際には、医師・薬剤師に要相談です。
- 痛風治療薬のアロプリノール
- 抗凝固薬のワルファリンカリウム
- 不活化ワクチン(B型肝炎ワクチン、インフルエンザワクチンなど)
- 細胞障害または骨髄抑制作用のある薬剤(ペニシラミンなど)
- 高血圧症治療薬のカプトプリルおよびエナラプリル
- 潰瘍性大腸炎治療薬のメサラジンおよびサラゾスルファピリジンなど
- 抗ウイルス薬のリバビリン
- 免疫抑制剤のメトトレキサート
▼ 遺伝子
日本人の1%は、チオプリン剤を使うと、重篤な副作用が出る遺伝子を持っています。このため、使用前に、検査をすることが奨励されています。
*****
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcoloproctology/76/10/76_580/_pdf/-char/en