ハリウッドのアカデミー助演、そして主演女優賞を獲得したグレー・ケリー。モナコの観光宣伝のために、フランスに滞在していた時にモナコのお城を訪ね、そこで初めて王子に会います。
アメリカにまだ行ったことのない王子は、グレースに、近く会いに行きますと伝えました。グレースは、ええ、ぜひと答えましたが、その後、王子が来る様子はなく、グレースも、モナコのことは忘れていた。
グレースの友達叔父叔母夫婦が、モナコに行き、王子に会ったとき、ぜひ、アメリカの私たちのところへ遊びに来てくださいと伝えた後、ええ、行きますと話した王子。でも、すぐには行かなかった。
でも、友達叔父叔母夫婦がきっかけで、ふたりは、文通と電話で交流を続け、グレースは、文通相手に恋をするようになりました。
年が明け、王子は数か月、アメリカに滞在し、グレースの家にも遊びに行きました。
当時、グレースは、「白鳥」という映画の撮影の主演を務めていました。撮影場所は、アメリカのど真ん中の町。王子も撮影場所に見学に行っています。
映画でのグレースの役は、1910年代のヨーロッパの格下げをされてしまった小さなお城のお姫様でした。もちろん、映画の台本を書いた人も、監督も、グレース本人も、将来、彼女が本物の姫になろうとは思ってもいなかった。
お城では、舞踏会が開かれ、その国の王様の息子であり、グレースのいとこである王子が招かれていました。姫の母親は、失った権威を取り戻すため、姫の美しさを武器に王子に気に入ってもらい、結婚させる計画を立て、そのことを姫に言い渡します。
王族の間では、歴史的に、政治的に利益を得るため、いとこや、きょうだい、親子の間でも、結婚が当たり前でした。
姫は、王子の気を引こうとしますが、まったく相手にされない。
母親は、一件を案じて、姫のフェンシングの指導をしていた博士号を持つ若い先生と姫を即興の劇に出演させることにしました。あらすじは、先生が姫に恋をし、ふたりが熱々になるのを王子に見せつけ嫉妬させる。
先生は、実は、姫に恋をしていました。でも、庶民と姫との恋は許されません。先生は、姫の母親の計画に基づいて台本が作られたとは知らず熱演。そんな先生に姫も恋心を抱くようになります。
一方、王子は無関心で、担当を任されたバックグラウンドミュージックでチェロを弾くことに夢中でした。
舞台で話が進むうちに、姫は、先生も自分に恋をしていることに気がつきます。困った姫は正直この台本は仕組まれたものと、真実を話します。
あまりにもの失望に打ちのめされた先生ですが、姫を助けるために、役を続けていました。
やがて王子は、恋することで輝くばかりの美しさになった姫に魅了されていきます。ですが、先生と姫の恋する関係に気がつき、ふたりを祝福すると伝えます。
最終的に、先生は、姫が引き留めたにもかかわらず去っていき、姫と王子は、手に手を取ってのハッピーエンドでした。
王子の最後のセリフは、貴女は、湖では白鳥、陸ではがちょう。
なんともいえない話の流れです。当時は、グレースも出演したヒッチコックの映画が上映されていた時代。奇妙な筋書きが好まれたのか・・・。王子の最後のセリフ、みなさん、どう解釈します?
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モナコの王子は、この映画を観た後、いろいろ思うことがあったようです。もしも、グレースが誰かに恋をしたら・・・それもハンサムで魅力的で、文武両道。彼もグレースのことを深く愛していたら・・・。王子であることが、愛や結婚に優位になるわけではない・・・。