●患者不満5)レミケード休薬4)北里大学 | 潰瘍性大腸炎 & クローン病&過敏性腸症候群の改善・完治・根治

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潰瘍性大腸炎の治療にレミケード®を使い、長期寛解になった。そのあと、続けるべきなのか、薬を一時的に止める休薬にしたほうが良いのか、

これについての研究は、世界レベルでも実施されてきませんでした。

今回、日本で医療施設や研究機関、データ解析機関14か所が参加した研究の発表が2021年にありました。全441ページ。有料で何十万円かするようで、読めませんでした。

 

以下は、無料のあらすじ編です。

 

▼ 研究タイトル:

レミケード®治療によって寛解維持された潰瘍性大腸炎疾患者に対する レミケード®治療の中止、および、継続群の寛解維持率比較研究

北里大学北里研究所病院炎症性腸疾患先進治療センター

 

▼ 結論:

再燃率、再燃リスク、再燃時の再治療成績を明らかにした。 

 

▼ A.)研究目的 

潰瘍性大腸炎に対する治療法は、近年 飛躍的な進歩を遂げた。そのうちのひとつであ る生物学的製剤は、寛解導入効果と維持効果を 併せ持つために、幅広い症例に使用されてきて いる。

 

寛解導入に有効であった場合には、維持投与に移行することが通常であるが、いつまで継 続するべきなのかについてはわからず、 そのために多くの症例で“漫然と”投与が年単位で投与されているのが現状である。

 

長期投与に伴い、腫瘍発生などの安全性についての危惧 だけでなく、高額な医療費についても無視する ことはできない。

このため、本研究では寛解維持 投与中の投与中止の可否を判断する「レミケード®治療によって寛解維持された潰瘍性大腸炎疾患者に対する レミケード®治療の中止、および、継続群の寛解維持率比較研究―HAYABUSA study―」という医師主導多施設共同 臨床試験を通じ、レミケード®休薬の可否 に関する証拠を世界に発信することを目的としている。

 

▼ B). 研究方法 

◎ 対象患者

1) レミケード®治療に よって寛解が維持され、ステロイドの離脱(ステロイドフリー)および粘膜治癒を達成している患者に同意取得・症例登録

2) 24 週から 48 週の寛解維持を確認(割り付け症例選択期間)

3)  レミケード®中止もしくは継続の割り付け

4) 2群間 の 48 週後の寛解維持率を比較検討する。

 

レミケード®治療中止の妥当性、レミケード® 治療を中止できる症例と、維持が必要な症例の患者プロファイルを明 らかにするとともに、休薬群における再燃に対 しては、再投与の安全性と有効性を検討する。 (倫理面への配慮)

いずれも参加施設の倫理委員会の承認を得ている。

 

▼ C.) 研究結果

 122 症例の登録が得られ 92例がランダム化割 付された(継続群、中止群)。48 週目の寛解維持率は継続群で 80.4%、中止群で 54.3%であっ た。

 

全体での再燃のリスク因子として割付時の CRP ならびに組織学的重症度(Nancy スコア≧ 2)が有意だった。

反面、Mayo 内視鏡スコア、 休薬までの寛解維持期間、免疫調節剤併用の有 無、レミケード®血中トラフ濃度は相関を認めなかった。 

 

再燃時にレミケード®が再投与された 12 例のうち 8 例で 8 週目までに再寛解導入が可能であった。 

 

◎ CRP C-リアクティブプロテインというたんぱく質

体内で炎症が起きたり組織細胞に障害が起こると、このたんぱく質が増えていく。

 この検査値を見ても、もどの臓器に異常が起こっているかという診断はつかないが、炎症状態の経過を見るには重要な検査値

 

◎ 炎症が起きると起動する五稜郭

▼ D. 考察)

レミケード® 休薬により再燃は 26%増加したが、その 2/3 は再投与で救うことが可能であり、組織学的炎 症も、消失する程度までしっかりと寛解を達成できていれば、休薬をトライすることも許容範囲ではない かと考えられた。

 

▼ E. 結論)

潰瘍性大腸炎に対するより適切な生物学的製剤を使用し た治療戦略の構築に向けての臨床研究を行って きた。

適切な効果判定とそれに基づいた継続、あるいは中止の判断は、生物学的製剤治療を最大 限に活用するために必須だと考えられる。本臨床研究の結果は、個別化と最適化に向けた質の高 いエビデンスを世界に向けて発信できると考え られる。

 

<コメント>

リアルダ®を休薬した人は、推計25人。

13人が48週(11か月ほど)寛解継続。

12人が再燃し、8人が再投与で8週間(2か月)で再寛解。

4人は、レミケード®では再寛解できなかった。

おそらく、ヒュミラ®、シンポニー@、エンタイビオ®の治療がなされたと予想されます。

 

寛解継続中は、ペンタサ®、アサコール®、リアルダ®などが使われていたと推測。

 

休薬することで、半年でも1年でも、点滴をするストレスから解放され、からだも薬を入れなくてすめば、心身ともに休めます。経済的な負担も、少しは軽減できる。

 

<杏林大学の病院>

参加した病院の中で、独自の意見をインターネット上で発表したのは杏林大学の病院だけでした。こちらは、休薬については、かなり慎重でした。

もしかすると、提供したデータに、休薬をしたあと再燃してしまい、レミケード®に再トライしたけれど、寛解に持って行けなかったケースが多かったのかもしれないと考えてしまいました。

 

<今後の予想課題>
日本ではいつか高額治療を受けられる人の数に制限がかかるかもしれない。その関係で休薬が奨励されるようになった場合のことを考えてみました。

  • 寛解前や寛解中、どのぐらいの検査値なら、休薬しても大丈夫という基準を作る。
  • 休薬中、どの検査値がどれぐらいになったら、再燃を防ぐための再投与を開始すべきなのかの基準を作る。

急がないと・・・。

 

 

 

 

発行日 2021年12月20日

DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000645

PDF(256KB)

 

 

 

 

https://ctd-gim.hatenablog.com/entry/2023/03/18/123532

 

https://ibd.qlife.jp/doctor_interview/story15870.html