▼ 研究のタイトル:
寛解期 潰瘍性大腸炎 患者におけるレミケード®の休薬についての多施設共同比較試験
杏林大学医学部付属病院消化器内科
◎ 結論
内視鏡的寛解を達成し、痛みも、出血も、トイレ通いもない潰瘍性大腸炎患者でも、レミケード®の休薬による再燃リスクは存在する。
◎概説:
潰瘍性大腸炎は、原因不明の慢性炎症性疾患です。中等症から重症のステロイド治療抵抗性/依存性の患者は難治性と定義され。レミケード®による治療が承認されています。
レミケード®治療が効き、痛みや出血、トイレ通いがなく寛解となった患者では、8週ごとの同剤による寛解維持療法が継続されます。
しかし、どこまで維持療法を継続するべきなのか、症状を抑えられている患者ではレミケード®を中止することはできないのか、という治療の知見はありませんでした。
患者負担、医療経済的にも重要なこの問いに答えるため、当消化器内科も研究に参加しました。
◎ 対象:
レミケード®維持治療により内視鏡的寛解を達成し、痛み、出血、トイレ通いなしが維持されている患者
患者は、レミケード®継続群と休薬群に分けられ、その後の48週の寛解維持率を比較しました。
結果は、寛解維持率は、レミケード®を継続した患者は、休薬群よりも有意に高かった。
◎ 結論
本研究は、たとえ内視鏡と日常の症状で寛解になっていても、レミケード®の中止による再燃リスクは存在することを示しています。休薬のトライについては、個々の患者において危険性と利益の観点から慎重に判断すべきだということを示しています。
<コメント>
医療サイドも、患者が抱える不満や不安、ストレスを理解しようとしている。
レミケード®でもほかの薬でも、効果があり持続できるということは、ある意味、幸運なことです。効果が消えてしまえば、別の薬に一からの挑戦になる。なので、レミケード®の効果がなくなるまで、少しでも長く続けられるようにがんばって続けてほしい。そんな気持ちが伝わってきます。
◎ オランダで、重度のクローン病病の子どもたちでのレミケード®治療を試みています。
一日でも長く長期寛解が続きますように。