からだに害があると言われている活性酸素。ありがたいことに、わたしたちが吸っている空気のなかの酸素は、活性酸素にはならない。
活性酸素になるのは、からだの中に入った後です。どこで?
●赤血球の形
前回の続き
肺に入った酸素は、血管の中に入り、すぐに赤血球の中に吸い込まれて体中に配布されます。
▼ 血管に目いっぱい詰まっている赤血球
この図の太い血管は、たとえば、瞼の裏にある血管など。動脈や静脈は、これに比べたら直径数十メートルの土管サイズか?
左上の毛細血管は、目に見えないほどに細く、赤血球1個の幅よりもやや狭く窮屈です。
質問: 図の毛細血管は、赤血球がスムーズに通るには狭すぎるぐらいに細いってこと?
答え: はい、でも大丈夫。通過するためのコツがあります。
赤血球は、真ん中がくぼんだ平べったいドーナツ型です。
質問: なんで真ん中がへこんでるの?
答え: 赤血球は、できるだけたくさんの酸素を運ぼうとします。このため、赤血球の真ん中にあるDNAの保管庫の核を成長の途中で外に捨ててしまいました。なので、その部分がへこんでいます。
質問: 職務を全うするため、他のすべての細胞が持っているDNAを放棄した? なんと献身的な!
答え: それだけではありません。他の細胞のように、たんぱく質を作る装置類も、それを保管する倉庫も、エネルギーを作り出すミトコンドリアさえも捨ててしまいました。
質問: つまり、赤血球を運ぶための袋に徹した?
答え: イエス。
▼ 一般の細胞
真ん中が核、白いとげのようなものが、細胞内で作ったたんぱく質の倉庫。ソラマメがミトコンドリア。水色の球体が、活性酸素を作るリソソーム。透明な部分があるけれど、実際は、そこにミトコンドリアやリソソームが隙間なくぎっしり詰まっている。
質問: 赤血球は、酸素を運ぶという役目を引き受けなかったら、こんな完璧な美しい細胞だった。なのに今は、ただのドーナツ型の袋になってしまった・・・。
でもね、感謝しています。赤血球がなかったら、動物はこの世に誕生しなかったから。もちろん、わたしたち人間も。