2024 全日本トライアスロン宮古島大会 宮古島トライスロンを終えて 4 地獄のスイム編 | リハビリテーション魂 ~リハビリテーション医の戦うブログ~

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滋賀県でリハビリテーション医師をしているリハ魂です.
第5波が沈静化するまで,新型コロナウイルスの最前線と感染制御の仕事をしていましたが,現在はリハビリテーション医に戻り,日々奮闘しています.
日々の思いとを綴ります.

昨日は,通勤自転車にもなっている私のクロモリロードバイクにおいて,ホイールのメンテナンスをしていました.

私は通勤自転車も,試合用の自転車も共通という人ですが,ホイールは決戦用と通勤用を変えています.

全てメンテナンスとパンク時の対応のためクリンチャーにしていますが,通勤用は Campagnolo (以下カンパ)のZondaにして,タイヤは耐パンク,耐摩耗の最強タイヤであるシュワルベマラソンにしています.

Zondaは カップアンドコーンのため,玉当たり調整ができるので,その調整とハブのグリスアップ.

リアホイールに関しては,スプロケットも外すので,スプロケットの掃除.

私のスプロケットは,お世辞にも綺麗とは言えないけれど,定期的に拭いています.それでも今回,スプロケットを外して,スプロケットとスプロケットの間,特にローギアでの隙間の汚れが半端なく,正直ここまで汚れていたのは,久しぶりだなぁ...という思い.

ラチェットも,ラチェットスピリング(バネ)を外して,掃除してしっかりグリスアップを行う.

メンテナンスが終わった後のホイールは,カンパのZondaでさえ,ラチェット音が非常に静かになりスムーズになる.

これは個人的な思いであるが,こうやってしっかりグリスアップをすると,ラチェット音がスムーズになるということは,空回りしている時のハブにかみ合う鉄の爪が上手く閉じてくれてスムーズに回ってくれているような気がする.空転している時間も自己満足かもしれないが,心なしかよく回っている気がする.これは下りや足を休めている時でも,少しでも進んでくれるような気がする.

 ここからも,私の個人的な思いであるが,まずこのようなグリスアップとかのメンテナンスが意外と楽しい.これはロードバイクが楽しい理由の一つだろう.そういった意味では,私にはいくら性能が悪くてもメンテナンスがしやすく構造がわかりやすいリムブレーキの方がディスクブレーキよりも直感的に好きだという感覚に繋がっている.

 つぎに,カンパのホイールは,構造がシンプルでメンテナンスがしやすい.あと,色々なメーカーのホイールを持っていると,それぞれの分解の方法やメンテナンス方法が違うから,私には覚えられない.カンパやフルクラムに統一しておけば,個人的には楽ちんなので,基本的にはいつまでリムブレーキホイールが出るが分からないけれど,今後もカンパやフルクラムのホイールを買うのだろう.カンパのホイールの醍醐味は,このメンテナンスの楽しみにある気がする.ラチェットスプリングなどもamazonで安く簡単に手に入る.なので,私の手元には,シマノとカンパのホイールしか持っていない.

 今後の課題は,いつまで出るかわからないリムブレーキホイールを,ストックで買っておくかどうか...Zondaも随分高くなり倍以上の値段になってしまった.... 買うならZondaもう1本だなぁ...安いし,メンテナンスしやすいし,可もなく不可もなくだし....

 

 と前置きが長くなったところで,いよいよ今回は「2024 全日本トライアスロン宮古島大会 地獄のスイム編」

ということで,驚異のスイムに関して記載していこうと思う.

 

先ずは,今回の過酷さを現すデータを下記に示す.

(引用:全日本トライアスロン宮古島大会ホームページ,https://tri-miyako.com/tri2024/wp-content/uploads/2024/04/1713093631.pdf,2024年5月26日閲覧)

 

過去に,ここまでスイムでのリタイヤを招くことがあったのだろうか.トライアスロンの大会でも,ここまでスイムでリタイヤをする大会は珍しいのでは.

全スタート中8.5%,男子中 8.1%,女性中 11.5%もの選手がリタイヤを余儀なくされている.

個人的には,ロングトライアスロンにおいては,スイムの占める時間がとても短く,これで終わってしまったら,今までの準備や移動,苦労なども非常に厳しいものがある.それでも,約12人に1人がスイムで足きりに遭うという厳しい今回の宮古島トライスロン.

多くは,ランで足キリになることが多いはずが,まさかのスイムで足キリになるこの事実.

来年度からは,まさに宮古島トライスロンにおいては,鬼門となるスイムをよく考えて臨まないといけない.

 

では,実際のレースがどうだったのか,状況を書いていこうと思う.

まず,いつもの東急リゾートの前のビーチ(前浜ビーチ)が,ここ数年の浸食と台風の影響を受けて,いよいよ直接降りられなくなった.

これが以前の宮古島トライスロンのスイム会場で船の乗り降りで使用するであろうタラップをかける場所で,ホーンを鳴らしていたが,今はこのように浸食を予防し,あと落下しないように工事がされている.

 

このような状況では,スイムでの事故が発生した場合にも患者搬送に関して困難が予想されること,トライアスリートが集中し更に浸食が進む可能性があること,崖の登りでの転落による事故などを考えると,場所を南側に移動させるのは,ある意味当然と言える.

 

(引用:2024年全日本トライアスロン宮古島大会 パンフレット)

 

そのため,今回は東急リゾートから,約700m程度離れた場所にスイム会場が設置されている.

しかもM上の特徴的なスイムコースとなる.

このように,分かりやすくブイが並んでおり,色々な意見があったとは思うが,これはこれで良かったと私は思っている.

しいて言うなら,途中の黄色やピンクに対して,折り返しのブイがそんなに大きくなかったので,折り返し地点が非常に分かりにくかった.通常のブイに隠れてしまうのだ.佐渡国際トライアスロン大会の折り返しブイなどは,これまでか!!というほどデカくて分かりやすいが,今回は分かりにかった.バラモンキングバイクは,折り返し地点にしか大きなブイがない.

今後も同じ形式が続くなら,折り返しのブイは分かりにくい事を頭の片隅に置いておいて欲しい.

さて,私の状況を淡々と話していこうと思う.

今回は,久しぶりの一斉スタート.ただ,いつもの東急リゾート前と違って,マイクの音声が全く聞こえない.遠くはなれた場所にスイム会場を設置したため,電源の確保なども大変かとは思うが,音声が全く全く聞こえない.

いつもは,選手の挨拶などもよく聞こえるが,今回は兎に角聞こえない.聞こえなかったのか,実際に無かったのかどうか分からないが,今回はスイムのいつものワイドー三唱が無かった.これは残念.あれで気合が入るのだけどな....

私はスイムが兎に角遅いので,一番後方の方からスタート.先ずは片道750mのスイムとなる.

後方からスタートしたにも関わらず,バトルに巻き込まれる.肘打ちで水中メガネが食い込む.水が入る.でも,まあ良し.

ゴール後,他の選手と話していた時にはいつもの平泳ぎ選手のキックで鼻を蹴られて,鼻血が出て大変だったと話していた方もいた.混んでいる中での平泳ぎには,色々議論もあるかと思うが,出来るだけ平泳ぎをする選手には近寄らない事に尽きる.

あとスイムアップなど突然平泳ぎをする選手もいるので,やはり離れて意識して,バトルを泳いでいく.

片道は14分.私にしては,めちゃくちゃ早いのだ.私のプールでの練習では,私は1500mを34分程度で泳いでいる.

となると,750mを14分というのは,私にしては想定以外の速さである.

つまり,前日から分かっていた事であるが,じつはリップカレントのような沖から海に向かう強烈な潮の流れが発生していた.

Garminの計測では,最速57秒/100mとなっている.正直イケイケである.

前述したターンのブイがいきなり表れて,もう折り返し!!速いと正直焦る.

で1周目の折り返し.ここでいっきに速度が落ちる.しかもゴールに近づけば近づくほど,進まなくなる.

帰りの750mは30分以上かかっている.つまり倍以上の時間がかかっているわけだ.

それでも,昨年とほぼ同じペースで行けているため,2周目に入る.

当然の事ながら,行きは,イケイケである.あっという間に折り返し地点.

そして,本当の恐怖の大魔王がやってくる.これが2周目の折り返しである.

まず私の失敗としてバトルに疲れてきて,すこし集団から外れて泳ぐことにしたら,孤軍奮闘になり,もろに潮流に逆らって泳ぐことになった.強烈なリップカレントのような逆潮が襲う.泳いでも泳いでも,泳いでも泳いでも全く進まない.宮古島の水はきれいだから,底が見えるのに,全く全く全く全く泳いでも進まない.正直かなり焦る.止まると潮に流されてしまうので,泳ぎ続けるしかない.兎に角ピッチを上げて,頑張って頑張って頑張って頑張って泳ぐ,

しかも泳いでいても,知らず知らずのうちにブイから離れてしまう.

最後の帰り道は,まさに大地獄であった.実は2週目は50分近くかかってしまった.なんとかスタートしてから1時間38分後に浜辺にたどり着く.

途中で浜辺で女性トライアスリートに「スイムやばかったですね」と声をかけると,その女性は「時間に間に合った..良かった..」と泣き崩れていた.それくらい,先日から潮の流れが半端ないことが,皆の心理に植え込まれていたのだ.宮古島のスイムが恐怖であった象徴でもあった.

で,先述したスイム会場がいつもより南に移動した事もあり,ここから約700m先にスイムのチェックポイントがあるのだ.

ここを1時間50分以内に通り抜けないといけない!!

砂浜を走り,走り

途中の遊歩道を裸足で走り走り,なんとかスイムの関門を期限の7分までに通り過ぎる.

つまり浜からスイム関門まで私は約5分程度かかったことになる.裸足,砂浜,約700mと考えると,この5分がどのような移動であったか想像できるかと思う.

この写真は前日に撮影した写真で,手前にシャワーがあり,U字のゲートがあり,その先がビーチとなる.つまり選手はゲートをこえてシャワーを浴びれるのだが,ちょうどこのゲートの下あたりに関門(計測マット)がある.なので関門を越えてしまえば,ゆっくりシャワーを浴びれるのだ.

実際には,このU字のゲートを目指して走るのだ!!!

そしてシャワーについて一安心.シャワーを浴びながらウエットスーツを脱いで,バイクトランジションに移動する.じつはここからも300m程度の距離があるが,もうゲートを越えているので,気持ちは楽ちん.

 

以上が私のスイムの体験談であるが,ここから考察に入る.

ずばり,2024年の宮古島トライスロンにおいては,地獄と化した理由が潮流にあると話した.とくに2週目の帰りは地獄そのものであった.そこから書いていこうと思う.

1)地獄の潮流

 

先ほど示したスイムコースに,事前に案内されていた想定されていた潮流の向きを青字で強調し,私が感じた潮流の感じを赤字で記載してみた.

今回はスイムコースがそもそもほぼ浜と直角に設置していたコースより斜めに向けて設置している特徴がある.

以前の潮流は浜と平行に横から来ることが,今回は約30度程度陸地から沖へ向かう方向に傾いていた様に思える.

事前に試泳した選手からも,帰りがやばかったと聞いていたので,おそらく前日も潮流の向きはそう変わりはなかったはずなので,もしかしたら例年このような潮の流れなのかもしれない.

そういってみると,やはり私のスイムラップに関して,2周目の帰りが泳いでも泳いでも前に進まない感覚は,真っ向勝負で潮流に逆らって泳いでいたからと思っている.

(引用:2024年全日本トライアスロン宮古島大会パンフレットを一部改変)

 

この図より実際のコースはもう少し陸地側に倒れている気がするが,ようは今回の印象は上記の通りで,最後は本当に潮流に真っ向勝負に向かってしまった.

ただ実際は浜についてからも,北西(上の図でいうと左方向)に向かって走るので,ようは浜に向かってブイと平行に泳ぐことは,ビーチについてから走る距離が延びることになる.今考えれば,潮流の真っ向勝負をさけて,ブイから離れることを厭わず,むしろ潮の流れに逆らわず,陸地に向かって泳げばよかったと考えている.

上の図で青のラインが私の泳いだライン,今後試したいコースを緑で記載してみた.もし来年度以降も出られるのであれば,試してみたい.

 

2)スイム場所が変更になったことにある長距離の移動

スイムの関門が1時間50分.そしてそこから700m程度走り抜ける必要がある事は繰り返し述べてきた.

まずその点を十分に考慮しておく必要がある.つまり,5分は関門までの移動の時間を確保しておく必要がある.

つまり,浜に達した段階で,1時間45分を超えては行けないという事だ.

あと,そこからの移動も念頭に置いておく必要がある.

そのため,今回の経験で役に立ったのは,事前の視察である.

幸い,宮古島トライスロンにおいては,前日のバイク預託が必須である.つまり絶対に東急リゾートに前日行くことになる.

試泳するかしないかは別にして,やはりバイク預託が終わったら,必ずスイム会場への動線の確認,およびスイム会場の状況確認はしておいた方がよいと思う.実際の距離を確認,また道も確認しておくこと.そうすれば実際の当日,のこり数分となるであろう私のような完走を目指し,かつスイムが遅いトライアスリートにおいては安心感が異なる.

 

3)バトルを恐れない

これはまたやってしまった...私の場合,いつもの印象はバトルに巻き込まれているほうが精神的にはストレスであるが,タイムはいつも格段に速い.バラモンキングバイクの時もそうだった....

今回2週目の折り返しの後,バトルをさけて集団から離れたことを書いたが,それが結局最後のスイムで地獄を見た可能性がある.

集団で泳いでいれば,もしかしたら潮流の流れも,集団のドラフティング効果でマシになっていた可能性もある.

バトルの中で,肘打ち2回(平泳ぎのキックでないだけマシ)食らって,すこしゲンナリしていた自分の心に負けた....

バトルに巻き込まれている時は,集団と一緒にいるので,楽だ,楽ちんだ,ヘッドアップも減らせると言い聞かせないと.

ある意味,自分の心に負けた.

 

4)スイムの練習量

私のトレーニングの根幹は,通勤となる.つまりトレーニングの95%以上がバイクとランになる.スイムを練習する時間は,まだもう少し下の子供が中学生にならなければ,起きそうにない.

圧倒的にスイムの練習時間が足りないのが私の実状である.そのようなトライアスリートに,もろ宮古島トライスロンには挑戦を与えてくれた.昨年の宮古島トライスロンは,完走という観点からは十分に余裕をもって完走出来た甘えもあったと思う.

今後,宮古島トライスロンに向けてはスイムを強化しないと,本当にスイムで足キリになる可能性が高い.天候条件が変わるだけで,更なる地獄と化する可能性がある.

宮古島トライスロンに向けてはスイム強化が必須だ.

 

以上が,長々と記載してきた私の2024年宮古島トライスロン 地獄のスイム編であった.

来年度以降,完走を目指す宮古島トライスロンに挑戦する未来のトライアスリートに向けて,少しでも参考になれば,私は幸せである.

日々精進.日々鍛錬.継続することが力.ただ目標に向かい努力を続ける心.

トライアスロンは,そこが問われる競技なのが,興味深い.

しっかり準備を怠らない者が,「完走した者,皆 勝者」のトライアスリートに眠る精神を叩き起こしてくれる.

 

宮古島トライスロンに向けては,特にスイムの準備を怠らない事.忘れべからず.