読了記録

 

 

 

ゆめこ縮緬

皆川博子

角川文庫

 

 

・文月の使者

・影つづれ

・桔梗闇

・花溶け

・玉虫抄

・胡蝶塚

・青火童女

・ゆめこ縮緬

 

8編の短編収録

 

 

帯には

「皆川幻想文学の最高傑作」

とあるのだけれども

 

私にとって

(あくまで、私にとって、です)の

愛してやまない、皆川幻想とは

 

ちょっとだけ、こう、なんだろう

様相が違うというか

 

読んでいるときにまず彷彿としたのは

京極夏彦の『眩談』で

 

その『眩談』ほどに

オチや回収がないわけでは

ないのだけれど

 

でも、なんだろう

ある種の、たとえば

あぁ、そういうことだったのね…! とか

あらら、くるりとひっくり返っちゃったよ…?

みたいな、なにがしかの決着というか

すっきり感(つまりは、やっぱり、オチ?

もしくは、鮮やかに、めくるめく感じ?)が

どの作品にもない気がして

 

そう、なんだか、全体的に

漠としている、というか

仄暗く、朦朧としている、というか

不確かで、曖昧な感じが強く

 

そして、ぬるっと、もしくは

すっと、立ち消えたように

雲散霧消していく、という風で

 

そう言った意味では

確かに「幻想」ではあるのだと

思うのだけれども

 

読んでいると

あぁ、生きているのと

死んでいるのと

そう変わらないなぁ、と思うほどに

 

うーむ

 

思い返せば

こういったタイプの作品

 

以前、万華鏡をくるくると回すように

何度も何度も読み返しては

耽溺してしまった短編集

結ぶ』や『愛と髑髏と』にも

含まれていたような気はするんですよね

 

ただ、すべてがこのタイプ

ということはなかった

ということかな、と

 

というわけで

ひとつの「傾向」が強い作品が

ぎゅっと集められている短編集

といった感触で

 

好みな方にはきっと

たまらないんだろうなぁ、と

 

あいにくと

私の好み、どまんなか、とは

ちょっとズレてはいたのですが

 

でも、著者のこういった

「傾向」自体を、感じる

改めて、認識することができたのは

うれしかったでした