7/26(水)

 

 

@渋谷

シネクイント にて

 

 

 

 

パール

 

 

 

2022年|アメリカ|102分|R15+

 

監督:タイ・ウェスト

脚本:タイ・ウェスト、ミア・ゴス
出演:ミア・ゴス、デヴィッド・コレンスウェット、タンディ・ライト、マシュー・サンダーランド、エマ・ジェンキンス=プーロ 他

 

 

 

去年の同じく7月に観た『X エックス

 

その続編であり、前日譚である今作

楽しみにしていたのです ニコニコ

 

 

舞台は、1918年のテキサスの農場

 

敬虔で厳格な母とともに

全身付随の父と家畜の世話をしながら

暮らしている若きパール(ミア・ゴス)

 

夫は出征中

 

スターに憧れ、家畜を相手(お客)に

ミュージカルショーのまねごとを

披露する毎日

 

ある日、父親の薬を買いに行った町で

こっそりと映画を観、映写技師の男

(デヴィッド・コレンスウェット)と出会い

 

外の世界への憧れはますます強くなり

 

そして、この未来の見えない

閉鎖的な境遇から抜け出したい

という気持ちは募っていく

 

そこに、オーディションという

チャンスが訪れるが

 

母からはすげない言葉を投げつけられ

抑圧されてきた感情が

いっきに爆発するー

 

というお話

 

 

 

わたし的な見どころはみっつ

 

 

ひとつめは、この世界観

 

後半、惨劇の舞台となる農場風景は

一見すると、なんとものどかで

なんなら、ディズニーの

ミュージカル作品がはじまりそうな

そんな雰囲気さえあって

 

そしてそれを助長するようなカラフルさ

 

 

中の人(住人たち)は

かなり不穏、というか

最終的には、おぞましい

とんでも事態になるのだけれど

 

視界(室内装飾や衣装)は

どこまでも鮮やかな色に彩られていて

 

この見事なるアンバランスさが

なんともたまらない

 

音楽もまさにそれを

増長するかのようなテイストで

絶妙

 

 

後半の

 

 

妄想が炸裂している

オーディションの

ダンスシーンも最高

 

まさにディズニーの

ミュージカル的な?

 

でもちょっとおかしいのである

 

背景は戦場だし

パールの後ろで踊る兵隊たちも

ほっぺをまあるく赤く塗っていたりして

 

どこかおかしい

 

 

そう、この、どこかおかしい

 

なにかおかしい、が

ふたつめの見どころで

 

スターを夢見る若き人妻でありながら

サイコパス的気質を持ち、やがては

シリアルキラーとなるパールを演じていた

ミア・ゴス

 

絶妙な加減で、ちょっとした表情から

あれ、このこ、なんかちょっと…?

という不穏さを漂わせ

 

その異様さやグロテスクさが

にじみだしているかのような「表情」

 

そんなミア・ゴスの怪演が見どころ

 

極めつけは、もう

全部を持っていったように見えた

ラストの長い長い笑顔

 

あんなにも、こう

中身のぐちゃぐちゃした感情

内面が表出しているかのような

なんとも形容し難い笑顔は

初めてみたかもしれない

 

というくらい、強烈で

 

 

というわけで

 

前作『X エックス』では

そこまでではなかったのだけれど

 

今作では、その表情のあれこれに

すっかりと惹きこまれてしまい

今後の出演作が気になる俳優に

 

 

そうそうこのシリーズ

三部作とのことで

さらに続きがあり

 

タイトルは 

『MaXXXine(マキシーン)』

とのことで

 

前作『X エックス』で

今回のパールの60年後と合わせて

ミア・ゴスが演じていた役名が

マキシーン

 

というわけで

X エックス』の続きということに

なるのかしらん キョロキョロ

 

なにはともあれ

とても楽しみである ニコ

 

 

わたし的、見どころ、みっつめは

繋がり感

 

この『PEARL パール』の60年後が

前作『X エックス』となり

 

舞台も同じ農場で

 

なので、覚えのある風景が

あちこちに

 

桟橋、ワニ、家畜小屋、地下室

正方形の机、そのうえに

向かい合わせで置かれたグラス

等々

 

それらに既視感を覚える度に

前作『X エックス』が思い出され

 

そしてそれ(60年後)がまた

二重写しのように

重なって見えるような感覚が

なんとも、で

 

また、この前日譚を観たことによって

前作『X エックス』の面々の

なにが、あんなにも

老婆となったパールに火をつけたのか

というのがよくわかり

 

それをわかったうえで、改めて

X エックス』を観たくなってしまう

 

 

それから、前作『X エックス』では

過去の有名なホラー映画に

オマージュを捧げているシーンが

あちこちあったけれど

(と言っても、私は、二、三しか

わからずだったけれども;)

 

今作のオマージュ先は

『オズの魔法使い』らしく

 

これまた、なんとなく

ビジュアルを知っているのみで

お話はまったく知らないので

どこがどう、というのは

わからなかったのだけれど

 

思い返してみると

確かに「カカシ」は出てきていて

 

そういえば

このパールの得物のひとつである

 

 

「斧」は「きこり」の持ちものですね〜

 

 

それから、この前半の衣装

 

 

この色あいは「ドロシー」の衣装的?

 

というわけで

『オズの魔法使い』を知っていれば

このあたりもいろいろと楽しめそう

 

 

 

スターを夢見る若き人妻は

サイコパスなシリアルキラーへ

 

カラフルな舞台は、やがて

エグかったり、グロかったりする

惨状の舞台に

 

この全力で

悪巫山戯をしているような

おちょくりにかかっているような

なんとも言えない空気感

 

悪趣味?な世界観

 

なんともね、好みなのでして

 

堪能してしまいました〜