7/8(金)

 

 

@高田馬場

早稲田松竹 にて

 

 

 

 

華氏451

 

 

1966年|イギリス|113分

 

監督:フランソワ・トリュフォー

脚本:ジャン=ルイ・リシャール、フランソワ・トリュフォー

撮影:ニコラス・ローグ

美術:シド・ケイン

音楽:バーナード・ハーマン

原作:レイ・ブラッドベリ

出演:オスカー・ウェルナー、ジュリー・クリスティ、シリル・キューザック、アントン・ディフリング、ジェレミー・スペンサー、アレックス・スコット 他

 

 

 

私にとっては、初めての

フランソワ・トリュフォー作品

 

そして、いくつか小説を読んでいて

好みである作家、ブラッド・ベリが原作で

(この作品の原作はまだ読んだことがなく)

気になっていて、足を運んだのですが

 

 

仕事終わり直行で

開映の1時間くらい前に

劇場に到着したところ

既に、半分以上くらい席が埋まっていて

おや…? と思いつつ、席を確保

 

その後、食事(麺喰い 笑)をしてから

戻ってきたところ、かなり盛況のよう

 

たまたまチケットカウンターの

すぐ近くで開場を待っていたので

状況がよくわかり

 

中には、残りの席状況

(最前列席か最後列席かしかない状況)

であれば、今日はやめておきます

という方もいたりして

 

開映5分か10分くらい前に

見事に、売り切れ〜! 満席〜!

となっていました

 

タッチの差で劇場へと入ってきた方が

「立ち見はありませんか?」と聞いていたり

(スタッフの方の返答によると

立ち見はないそうです)

 

老齢の男性のお客さまが、劇場スタッフに

「これはどこの配給なの?」

「字幕はどうしてるの?」

等々、質問されていたりして

 

私はよくわかっていなかったのですが

これは、なかなかに貴重な上映に

ありつけてしまった

ということなのかしらん キョロキョロ

 

 

 

舞台は、読書も本を所持することも

禁じられた近未来

 

建物は耐火構造になっているらしく

火事はおこらず

 

消防士はいまや

ホース を 火炎放射器 に持ち替えて

火を消す、のではなく

禁止物である、本を探し、燃やすこと、が

仕事となっていて

(なんたる皮肉的状況…!)

 

そんな消防士(焚書係)をしている男

モンターグ(オスカー・ウェルナー)

通勤のモノレールの中で

妻と瓜二つの女性クラリス

(ジュリー・クリスティ)と出会い

 

それをきっかけに、本に興味を持ち

やがてのめりこむようになりー

 

というお話

 

 

ちなみに、タイトルの

『華氏451』は

 

華氏451度 ≒ 摂氏233度 で

本の素材である紙が

自然発火する温度のこと

 

 

まずは、シュールでシニカルな世界観

それに沿った音、音楽、色使いに美術が

見事にマッチしていて

 

60年近く前に描かれた近未来の世界なので

おもちゃのように

チープだったりもするのだけれど

 

どこかセンスが貫かれているようで

観ていてなんとも心地がよく

 

全体として、とても好み ラブ

 

 

本を持っている人を密告するための

ポストがあったり

 

長髪の男性は「清掃屋」と呼ばれる人に

町中でとっつかまり

強制的に髪を切られていたり

 

視聴者を満足させるために

でっちあげの映像が流されたり、等々

 

内容としては、管理社会に

警鐘を鳴らしているんだろうなぁと

思うのですが

 

映画の中では「テレビ」が、人々を

考えなしに、ただひたすらに従うように

洗脳する装置のような感じで

描かれていたけれど

 

現代ならば、これは

「スマホ」になるのかな、と

 

この↑描写のあたりでは

同じような社会批判が盛りこまれていた

ジョン・カーペンター監督の

ゼイリブ』を彷彿とし

 

でもこれって、結局のところ

変わらずに現代まで続いている問題

なのではないか…(もしかすると

さらに深刻になっている…?)と思うと

ちょっと空恐ろしくなったりもし

 

 

本を読むことに目覚めた

モンターグ(オスカー・ウェルナー)

最終的に「本の人々」が暮らす世界

(管理社会からは離れた森のような場所)

にたどり着くのですが

 

そこで暮らす人々は

ひとりが1冊の本を丸暗記し

歩く本」のような状態になっていて

 

そうすれば、たとえ本を焼かれたとしても

奪われることはない

なぜなら内容はすべて

この頭の中にあるのだから…!

 

そして、そうして

頭の中へとおさめられた物語は

死が目前となると

口頭で、後継者へと伝えられ、という

 

なんともシュールで皮肉的で

滑稽な状況

 

 

ちなみに、モンターグ

(オスカー・ウェルナー)

暗記しようとする本は

エドガー・アラン・ポーのもので

 

いい趣味してるな ニコニコ と思ってしまい

 

たとえ、現実的に、直接的に

役には立たずとも、本って

 

知識を増やしてくれたり

視野を広げてくれたり

いろいろな世界や考えを教えてくれたり

想像力や思考力を養ってくれたり

ときにはそっと寄り添ってくれたり

もしくは、解放してくれたり、と

 

さまざまな役割を果たし

影響をもたらすもので

 

人間が生きていくうえで

とても大切なものだと思うんですよね

 

だからこそ、管理社会

(言うことを、ただ素直に

聞いてくれる人間だけが欲しい社会)

としては、好ましくないもの

という扱いなのだと思うけれども

 

 

と思ったところで

この映画の中で印象に残ったシーンが

ひとつ思い出され

 

自宅の屋根裏部屋のような部屋が

本であふれ、図書館のようになっている

老婦人の家に、それをかぎつけた

焚書係たちがやってきて

 

本をぞんざいに投げ集めた末に

火をつけようとするのですが

持ち主である老婦人はその本の山の中に立ち

動くことをせず

 

最終的には、自らマッチを擦り

火を投下しー

 

というシーンに

 

マイ・ブックショップ』の終盤の

 

心ないものたちに

ブックショップを、本たちを奪われ

ぞんざいな扱いを受けるくらいならば

いっそ、この手で燃やしてやろう

 

という少女のシーンが重なり

 

あのシーンは、この映画への

オマージュ的シーンだったんだなぁ、と

時を経て、理解しました

 

 

そういったところもあり

 

そもそもの世界観、空気感が

好みだったのもあり

 

映画館で集中して観ることができて

本当によかったなぁ、と思います

 

 

そうすると、気になってきてしまう

フランソワ・トリュフォー監督の

その他の作品、そして

ブラッド・ベリの原作!