やさしいあなたへ
この春、息子が大学生になりました。
素敵な春を迎えられるようにと思い、
私は昨年の冬、
庭にチューリップの球根を植えました。
いま、満開です。
私は息子に、
大学に行くべきだとか、
この大学に行ってほしいとか、
言ったことはありません。
基本、本人に任せてきました。
一度きりの自分の人生。
学びたいこと、したいこと、
何でもできるよ。
大学に行くなら、
行きたいところに行けるように
応援するよ
と伝えてきました。
そして、
将来は仕事に就いて経済的に自立すること、
ただし、人を騙したり、
人の不幸と引き換えに
お金を儲けるようなことだけはしないでね、
と伝えてきました。
でも息子は、
私のこんな言葉が重かったみたいです。
夢みたいなことを言って、
現実を見ていないと思っていたようです。
息子は小中学校の成績は、
悪くはありませんが
特別良くもありませんでした。
高校は、
自分の望んでいたところに合格することができず、別の高校に進学しました。
そんな息子が、
入学早々「塾に行きたい」と言い、
毎日放課後は塾に寄って、
勉強するようになりました。
息子は、塾の先生を通して
学ぶ楽しさや、
自分に合った学ぶ方法を身につけたようです。
部活動はせずに、塾に毎日行っていました。
そんな生活が3年続きました。
そしてこの春、
学びたい学科のある大学に進学しました。
私は、息子が体調を崩さず過ごせるように、
食事を作ること、
雨や雪の日に、塾まで車で迎えに行くこと、
そしてチューリップを植えること‥‥
見守ることしかしていません。
一方で私は、
息子から、
毎日の積み重ねが大切で、
苦手なことでも
地道な努力を3年続けると、
とても大きな力になることを
教えてもらいました。
明るい気持ちで
春を迎えられたらいいなと思って
植えた球根でしたが、
厳しい寒さを乗り越えて咲いた
チューリップの花は、
まるで、息子のようだと思いました。
寒い雪の下で根を張り、
春に向けて咲く準備をしてきたチューリップと、
自分で決めた目標に向かって
黙々と進んできた息子の姿を重ねて考えました。
おめでとう。
おめでとう。
どうか健康第一で、
あなたらしく、たくさん学んで、
自分の道を切り拓いて行ってください。
ree-rose