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Reddened

stories, and so forth.






それは突然だった。


朝目が覚めると、背中に違和感があった。

鏡で確かめてみたら、そこには羽根があった。

まだ生えたばかりの小さな羽根。それでも肩甲骨を動かすと、わずかながらにはためいた。


だがしかし、僕はごく普通のしがない男子学生だ。

三月に受験を控えているのに、今こんな羽根ごときで騒いでいる場合ではない。


僕はその日の授業に体育がないことを感謝し、誰にもばれないようタンクトップを重ね着して、その日をやり過ごした。

時間が経つにつれ成長しているように感じて一日気が気でなかった。帰宅して鏡で見てみると、朝より倍以上大きくなっていた。


服でごまかして家族にも気づかれないよう努力し、一日が終わった。

布団に入りながら、明日もしもっと成長していたらどうしようと思案していると、いつの間にか眠りについた。


物音に気づいて目を覚ますと、僕と同じように羽根を生やした人間が部屋にいて、とにかく来てほしいとなかば強引に外へ連れ出された。

夜空を先導され、自分はついていった。ついていけたのだ。羽根が、もう充分に大きく僕自身を浮かせるまでに成長していたから。


星明かりのなかどんどん上昇していき、やがて雲に突入した。

全身が雲に包まれているような感覚のなかひたすら進むと、見たこともない場所に行き着いた。

雲が広がりそこに建物が建っていた。なんとなく、元いた通常の世界とは違う、雲のなかの世界に連れてこられたのだと理解した。


王宮のようなところに案内され、物ごとが矢継ぎ早に進んでいった。

僕は選ばれた者であるとか、羽根が現れるこの時を待っていたとか、まるで勇者扱いだった。

翼を持った人たちは、人間を滅ぼして地球を我が物にしようとしている有翼人種が他にいて、その者たちを止めてほしいと懇願してきた。


その頃には僕の羽根は天使のように美しく、鷹のように猛々しく成長していた。この羽根さえあれば、なんでも出来るような気がした。

頼られて悪い気はしなかったので、僕はその人たちの願いを引き受けた。


羽根の使い方をある程度教わって、僕はその敵対する有翼人種が降りたっているという地上へ向かった。

地上は真っ暗な夜で、明ける気配が全くしなかった。有翼の人たちと関わることで、時間の進み方が変わったのかもしれない。


僕はその初めての現場で、見つけた敵の一人を運良く倒してしまった。

自分の強さに自惚れて調子に乗った僕は、次々と敵を倒した。

そうして、自分の所為で仲間を一人、失いかけた。


ただ強い羽根を持っているだけで、力で押し通していくなんて、敵と自分とどこが違うのだろう。

僕は猛省して、身体と羽根の鍛錬に励んだ。


それからは、敵をただ倒していくのではなく、諭して改心させたり自分のいる側に引き込むようにしていった。

しかし、それが敵の首謀者の怒りを買ったようで、敵はさらに地上の人間への攻撃に踏み込んだ。

僕は根本を断ち切らなければいけないと、敵の本拠地に乗り込んだ。


一緒に進む仲間を犠牲にしながらなんとか首謀者を追い詰め、ようやく倒せると思ったその矢先、僕の羽根はもがれてしまった。

苦痛に耐えながらも、そのもがれた羽根を武器に、僕は敵の大本を打ち破った。

地上の平和は守られたのだ。


有翼の人たちは大いに喜び称えてくれた。

しかし、僕は羽根を無くしたことで、その雲の世界にはいられなくなった。


共に戦った仲間たちとの別れに涙した。彼らは雲間から見守っていると言ってくれた。

それでももう会えないことがなぜかわかっていて、寂しく感じた。


雲から抜け出し地上の自室に戻ると、何も変わっていないようだった。

僕は久しぶりの自分のベッドに身を預けた。


翌朝、地上では久々に見る太陽に起こされた。

背中には羽根はもう無い。生えていた形跡さえも消えていた。


起きて驚いたことには、地上では日が一日も進んでいなかったことだった。

日常はいつもどおり、有翼のものたちとの日々は無かったことのように、翌日を迎えていた。


だがしかし、あれは夢ではない。

どこにも証拠なんてないけれど、なぜかその自信が胸にあった。


僕にはかつて羽根が生え、同じく有翼のものと時を過ごし、地上を脅かす存在を倒した。

誰も信じなくてもいい。

ただ、確かに僕は、世界を救ったのだ。






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