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Reddened

stories, and so forth.








俺はしがないハンバーガー店員だが、たまにふと思うことがある。




こうやって食べに来てくれるお客さんにも、いろんな人がいる。



いつも同じ時間同じメニューを頼んでいくご老人。


毎回来たら何かしらのクレームをつけてくるおばちゃん。


来店したら5時間は居座ってパソコン叩いてるサラリーマン。


毎週水曜と金曜に決まって現れては奇抜なメニュー選択をしてめちゃくちゃお喋りして帰る女子高生3人組。



みんな、店では風変わりな人って認識で俺らに見られているけれど、この人たちにも、店を一歩出れば、自分達の人生があるわけで、。



その一片しか俺は見ていないけれど、ちゃんと毎日の生活を送っているんだ。




一部しか見ていない。


けれど、その人それぞれの人生が、世界が、ちゃんとある。


それって、ちょっと面白いなって感じるんだ。





ま、俺だってその人たちにとっちゃ、しょっちゅう見かける愛想の悪いいちハンバーガー店員って認識なんだろうけど。






そんな俺も自分自身の人生を送り、もといバイトの時間を終え、帰路につく。



そういえばレポート提出の課題があった。


あれ、いつまでに提出だったっけ。


もしかして明日とかじゃ、なかったっけ??




気になったのでカバンを探る。


今日は大学からバイトに直行したから、全部カバンの中に入っている。


しかし、大学ってのはプリント類を渡しすぎだよな、薄い紙でも溜まったら結構な重さになる。




レポートについてのレジュメを挟んでいた該当の講義のクリアファイルを出した、その時。




突然突風が吹いて、俺の腕の上にあったプリント類がマンガのようにバラバラと空に舞っていってしまった。




「あ、ちょっと!」




俺は思わず、プリントに言ったところで止まってくれるわけでもないのに叫んでしまった。


慌てて飛んでいったプリントを捕まえに住宅街を走る。




必死でかき集め、最後の一枚、というところで、またふわりと飛んでいったプリントは曲がり角に入りかけた。


そこを、華麗にキャッチ!


高校までやっていたバスケが功を奏したな。






そう思った、次の瞬間。






「・・・え?」


俺はまた、誰に向けてでもなく声を発していた。






プリントを掴んで顔をあげたその先には、角を曲がったあとの住宅街の風景がある、




はずだった。






目の前にあるのは、








虚無。








曲がり角から先が、剥がれ落ちたように道がなくなり、


真っ暗な闇が広がっている。






左右を見ると、ちゃんと道がある。



なのにここだけ、なにもない。







混乱する頭に、暗闇の奥から発せられているビービーといううるさい警報と、


気持ち悪いくらい機械的なアナウンスが響いた。






『緊急事態発生 目標が想定外の行動に出た為 未構築のエリアに到達 繰り返す 緊急事態発生…』






俺はぼんやりと、ああ、俺以外の世界っていうのは存在しなかったのかもしれないなと、


このわけのわからない状況下でひとつだけ理解した。






虚無の中では、相も変わらず警告音が鳴っている。






『緊急事態発生 目標が想定外の行動に出た為 未構築のエリアに到達 繰り返す…』










01272016