「ブレンドのLと、ホットドッグ一つ、テイクアウトで」
今日も今日とて、いつものお店で朝の調達だ。
「いつもありがとうございます!」
いつからか、ミルクと砂糖は伺いもなく入れてくれるようになった。
ここまできたら「ブレンドのL」なんて言わずとも「いつもの」で聞いてくれるかもしれないけれど、なんだか勝手に思い上がっているみたいになりそうなので、律儀に伝えるようにしている。
お金を支払ってから、コーヒーを淹れてもらうまで少し時間がある。
その間も、店内に漂うコーヒーの香りに酔いしれる。
本当にとても良い香りで、いつまでも居たくなるくらいだ。
今度、休みにでも中で食べに来ようかな?
「お待たせしました」
息子さんの声に、カウンターに近寄る。
すると彼は、耳打ちするように顔を近づけてきた。
「中に、試作品のマフィンを一緒に入れてますんで、よかったら食べて感想教えてくださいね」
突然近くで、優しく甘い声で囁かれ、私の心臓は跳ねあがった。
「いってらっしゃいませ!」
彼の眩しい笑顔もしっかり見れないまま、動揺しすぎな自分を鎮めるため、急いでお店を出てコーヒーを流し込んだ。
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