いつもテイクアウトするお気に入りの喫茶店に、初めて中で食べに来てみた。
息子さんのさっきの驚いた顔、可笑しかったなぁ。
「注文、決まりました?」
「あ、それが…。いつもは気づいてなかったんですけれど、コーヒーの種類をたくさん揃えておられるんだってわかって、圧倒されてます…」
「ああ、親父がそういうの好きなんです。色んなコーヒーを出したいそうで。苦いのより甘い方が好きですか?」
「あ、はい」
「なら、俺があなたに合いそうなのを淹れてみましょうか?」
「わ、すごい…!是非お願いします!それと、このオムライスを」
「かしこまりました」
さすが、コーヒーにこだわっているお店だなあと感心した。
パンもいつも美味しいし、こないだのマフィンだって…あ!
「あの、先日はマフィンをありがとうございました!とっても美味しかったです」
「本当に?それはよかった!」
「ドライフルーツが入ってるなんてちょっと珍しいですよね?あっという間に食べちゃいました」
「へへへ、少し手を入れてみたんですよ」
嬉しそうに笑う姿は、とても幼げで親しみやすさを感じる。
私はこの人の笑顔も好きだなぁ、とこっそり思った。
「カウンター離れて、なあに油売ってんだ、隆行」
カウンターの奥から親父さんが顔を出してきた。
隆行さん、っていうんだ。
「油売ってない!注文取ってたんだ。親父、オムライス一つ」
「おや、いつものお嬢ちゃんか!よし、美味しいオムライスこしらえるから待ってな!」
「お願いします」
隆行さんもいそいそとコーヒーを淹れに行ってくれた。
素敵なお店だなぁと、改めて感じる。
休みの日に入り浸りたいくらいだなぁ。
コーヒーの良い香りに満たされながら、私はのんびりと思った。
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