俺の店で、俺の想い人が、俺の淹れたコーヒーを楽しんでいる――。
なんという素晴らしいシチュエーションだろう。
彼女はオムライスを食べ終え、今は何かしらの小説を読んでいる。
すごく様になる…ずっと見ていたいな…。
そんな俺の気持ちを遮るように、幾度となく扉のカランカランという音が響いた。
「いらっしゃい、佐藤のおっちゃん。いつものでいい?」
「おう、よろしくな」
テーブルにコーヒーを運ぶと、彼がじっと見てきた。
「なんだい?」
「お前、なんか嬉しいことでもあるのか?顔が緩んでる」
「お、佐藤さんわかるかい?!」
隣のテーブルに居た四ツ谷さんが会話に入ってきた。
まずいぞ、この常連さん方、話し出すと止まらない上に、俺のプライバシーなんて気にしない人たちだ。
「奥にね、隆ちゃんの、コレが!」
「四ツ谷さん、変なこと言わないでください!違いますから」
「お、じゃ隆ちゃんの片想いか」
「なんだなんだ、隆ちゃんに春が来たのか?」
「しーっ!やめてください!」
俺が本気で言うので、おじさんたちはきょとんとしたあと、またニヤニヤと笑い合った。
「わかったわかった、ま、がんぱれよ」
しかしおじさんズの応援虚しく、小説を読み終えたふうの彼女は感謝の気持ちを言い残して帰っていった。
そのあと、俺に対してのおじさんたちからの怒濤の恋愛教授が止まらなかったのは言うまでもない。
≪幕間 -7- へ≫
17061720