真っ青。
見上げた空は、僕の視界を青で埋めた。
信号待ちをするときはいつも、僕は空を見上げる。都会の喧騒からほんの少しだけ、離れられる気がするからだ。
どこまでも澄み渡る空。
どこまでも繋がっている、空。
その青い海を、翼で以て泳いでみたいと、幾度思い描いたことだろう。
そう、あの鳥の様に。
自由に頭上の空を羽ばたく小さな鳥を目で追っていると、やがて右手前方にある無機質なビル街に舞い降りてきた。
僕の視界に、青く光るものが入り込む。
青信号だ。
空の様な青ではないけれど、これもれっきとした、青。
そんなことを考えながら、僕は足を前へ踏み出す。
「ちょ、ちょっと!君!」
叫ぶ声がすぐ隣りでしたような気がしたけれど、気にしない。僕は歩みを進める。
青は、前へ進めの合図だろう?
途端に、すぐ傍で五月蝿い音と衝撃を感じたと思ったら、全てが静かになった。
視界もなんだか、ゆっくり映る。
やがて目を空の青が覆った。
そのとき僕は、自分の身体が地面から離れたところにあることに気づく。
僕は今、浮いている。
いいや、翔んでいるんだ、空を。
ついさっき見ていた鳥の様に、夢にまでみて憧れた、空を舞う。
ああ僕はやっと、
やっと。
もう、思い残すことは何も、無い。
01042009