河合隼雄『子どもと悪』1997・岩波書店-「いい子」の自立を考える | ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)  

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 たぶん2016年ころのブログです
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 河合隼雄さんの『子どもと悪』(1997・岩波書店)を再読しました。
 もう何回目になるでしょうか。
 1997年の本ですから、かれこれ20年くらい読んでいることになります。
 何回読んでも、いろいろと考えさせられる本ですし、河合さんの本の中でもじーじが大好きで重要な本の一冊だと思います。
 内容は、悪と創造、盗みの意味、暴力と攻撃性、うそと秘密、秘密と性、いじめ、子どもをとりまく悪、などなど。
 いずれも、子どもの成長や自立をめぐって、「悪」の大切さを考察しています。
 ここでいう「悪」とは、人間が自立をする際に、ギリシア神話の中で、神さまから「火」を盗んだことに象徴されるような意味での「悪」で、子どもが神さまならぬ親から自立をするときに必要なものを意味するようです。
 そういえばかつて「いい子」だった(?)じーじにも、いろいろと心当たりがあります(?)。
 河合さんは、「いい子」のさまざまな問題を指摘し、「いい子」が親や教師などにとっての「悪」を経験することで、本当に成長し、自立をすると述べ、「悪」の重要性と、おとなが「悪」を排除せずに、それらを見守る大切さを説きます。
 なかなか難しいことですが、じいじになったじーじにはとてもうなずける点です。
 おとなが子どもに、じぶんたちにとって「よい」ことだけを求めすぎると、弊害が大きいことは、ようやく世の中の人々もわかりかけてきたのではないかと思います。
 おとなが理解をもって、長い目で子どもたちのいろいろな試行錯誤をゆったりとした気持ちで見守っていけたらいいなと思います。    (2016?記)

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 2018年秋の追記です
 子どもの自立、おとなの成熟には、「悪」の問題と同じくらいに「秘密」の問題も大切だと思われます。

 このことは精神分析でも重要なテーマで、土居健郎さんや藤山直樹さんなどが魅力的なお考えを述べられています。
 いずれご紹介できればと思ってます。   (2018.10 記)

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 2022年秋の追記です

 藤山直樹さんが『続・精神分析という営み』の中で、「秘密」と「はにかみ」について述べていて、おとなへの道を理解する参考になります。   (2022.10 記)