藤山直樹『集中講義・精神分析(下)』2010・岩崎学術出版社-上智大学の学生さんと精神分析を学ぶ | ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)  

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 2011年のブログです
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 藤山直樹さん(本当は藤山先生と書きたいのですが、河合隼雄さんも先生でなく、さんづけでしたのでそうします)の『集中講義・精神分析(下)』を再読しました。

 藤山さんの上智大学での講義です。
 本が出てすぐに一度読んだのですが、今回はノートを取りながら読みました。
 一度目に読み落としていた部分がいっぱいあって、反省でした。
 上巻でもそうでしたが、藤山さんはフロイトさんの原典をより忠実に、しかもより深く読み込んで、自論を展開されていますが、それは下巻でも同様で、主にクラインさんとビオンさんとウィニコットさんの原典を忠実に読み込みながら、そこから現在の精神分析で議論されていることについて、ご自分の考えを展開されているように思いました。
 特にウィニコットさんの原典からの読み込みの深さとそこからの展開はすばらしく、初学者のじーじにでも頷く部分が多くありました。
 そういう中で臨床家の姿勢やあり方といったものを考えさせられました。
 もっともまだまだ十分に理解ができているとは言えないと思いますので、さらに読み込んでいこうと思いました。
 今年秋の名古屋での精神分析学会では生で藤山さんの話が聞けそうですので、今から楽しみです。        (2011.8 記)

(この時はまだ藤山さんを生で(?)見たことがなかったのですね、少しびっくりです。      2020.4 記)
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 2018年秋の追記です
 7年ぶりに再読をしました。
 とてもいい本なのに、まったく勉強不足です(藤山さん、ごめんなさい)。
 今回も新しい発見がありました。
 一つは、精神分析について。
 藤山さんは、精神分析は切り離されているこころの部分と出会う経験だ、と言います。
 とてもわかる言葉です。すばらしいな、と思います。
 二つめは、精神医学で対処できる病気は精神医学で対応し、やたらに精神分析を行なうことはしない、という点。
 ただ単に熱心に患者さんの話をきくことの弊害を述べ、きくべき病気ときかないほうがいい病気の峻別の大切さを指摘します。
 デイケアでの経験でも確かに頷ける点であり、大切な視点だと思いました。
 三つめは、ビオンさんが、夢は無意識と意識をつなぎ、意味を生成する、順調なら目覚めている時も夢を見て、意味を生成する、と述べているところを紹介された点で、たぶん村上春樹さんも同じことを述べていて、びっくりしました。
 さらに、7年といわずに、また勉強しようと思います。        (2018.10 記)