2020年7月のブログです
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成田善弘さんと氏原寛さん編集の『共感と解釈-続・臨床の現場から』(1999・人文書院)を再読しました。
先日、ご紹介をした同じ編者による『転移/逆転移-臨床の現場から』(1997・人文書院)の続編です。
執筆者も前著と同じ方々が、今度は、共感と解釈、という心理療法の基本に挑みます。
しかしながら、前著と同じく、こちらもなかなか難しい本で、じーじなどはまだこちらも拾い読みの状態です。
とりあえず、今回、印象に残ったことを一つ、二つ。
まずは、松木邦裕さんの論文「言葉を超えないこと-共感から解釈へ」。
松木さんはご自身の面接を提示され、そこでセラピストが考えていることをとてもていねいに正直に描写されます。
それだけでも勉強になりますが、まるで自分も面接を一緒に進めているかのような気分になって、自分も考えさせられます。
そして、誠実に努力しつつも、言葉の限界を示すことを指摘され、理解の限界を示す、という言葉がとても印象的でした。
次は、やはり、藤山直樹さんの論文「共感-不可能な可能性」。
藤山さんは、共感は目指すものではなく、面接での理解の結果として得られるもの、という大切な視点を論じられています。
そして、共感を目指すような余裕のなさの危険性を指摘され、そうではなくて、ウィニコットさんのいうような「ふたりでいてひとりになること」やビオンさんの「もの想い」などの大切さについて説明されます。
「遊ぶこと」の大切さをはじめとして、面接におけるウィニコットさんやビオンさんの考え方の大切さを再認識させられて、とても勉強になりました。
さらに、深く学んでいこうと思いました。 (2020.7 記)
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2024年初夏の追記です
松木さんの論文の感想を再度、読んでいると、ウィニコットさんの、解釈は治療者の限界を示すもの、という言葉を連想しました。
治療者は万能ではなく、心理療法は患者さんと治療者が二人で進めていくもの、ということを改めて考えます。 (2024.6 記)