河合隼雄『「老いる」とはどういうことか』1997・講談社+α文庫-老人のちからを考える | ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)  

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 2019年秋のブログです

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 河合隼雄さんの『「老いる」とはどういうことか』(1997・講談社+α文庫)を再読しました。

 この本もかなり久しぶりです。

 読売新聞に連載されたコラムが本になったものですが、気楽に、楽しく読める本です。

 河合さん流のジョークが満載で笑いながら読みましたが、しかし、とても大切なこともいっぱい述べられていて、前回、チェックした部分も含めて、いつの間にやら、付箋とアンダーラインだらけになってしまいました。

 例によって、今回、印象に残ったことを一つ、二つ。

 まずは、何もしないでいるだけの老人の意味ということ。

 河合さんは、青年や中年があれこれと走りまわるのは、実は生きることへの不安をごまかすためではないか、と喝破します。

 そんな時に、何もしないが、確かに存在をしている老人が大切になる、とおっしゃいます。同感です。

 次に、趣味に熱中するのはいいが、遊びを忘れないことが大切、と述べます。

 やはり、遊びやゆとり、が大切なようで、遊びの意義を再考しました。

 さらに、マザーテレサさんを紹介されます。

 思いどおりにいかない時や苦しい時にどうされますか?と問われて、マザーテレサさんが、祈ります、と述べたことを紹介され、祈ることの大切さを述べます。

 じーじは、ここを読んで、中井久夫さんが、患者さんに薬を渡す時に、効きますように、と祈るというお話を思い出しました。

 すごい人たちは、共通する何かを身につけておられるんだなあ、と感心をしました。

 じーじも、もっともっと、謙虚に、生きていきたい、と思いました。 (2019.9 記)

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 2023年秋の追記です

 祈ることの大切さ、というところで、じーじは、人間の限界、ということを連想しました。

 世の中、お金や教育でなんでも可能、という幻想に満ちていますが、どんなにお金があっても、どんなにいい学校に入っても、それで幸せになれるとはかぎりません。

 そういうものの大事さを否定はしませんが、それだけが目標になってしまうのは間違いでしょう。かえって危ない気がします。

 お金や教育の限界、さらには、人間のできることの限界を見すえたうえで、そんな万能感を排して、謙虚に生きていくことが大切になりそうです。

 さらに、不安をごまかすために躁的に行動している現代人、との指摘も鋭いと思います。

 不安から目をそらさずに、不安を直視して、わからないことに耐えていくことが重要になりそうです。 (2023.9 記)