加藤周一『私にとっての20世紀』2000・岩波書店-「いま、ここで」起きていること | ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)  

ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)  

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや訪問カウンセリング、メールカウンセリング、面会交流の相談・援助などを研究しています。
お問い合わせ、ご予約は、メール yuwa0421family@gmail.com までご連絡ください。

 2016年のブログです

     *   

 加藤周一さんの『私にとっての20世紀』を久しぶりに読みました。
 2000年に書かれた本ですが,16年後の今年の状況をほぼ正確に予測しています。日米軍事同盟,安保法制,自衛隊の海外派兵,法律の拡大解釈,憲法改悪の動き,沖縄の基地問題の固定化,日の丸・君が代の強制,死刑存続,マスコミ統制,などなど。すごい読みだと思います。国家と権力の目指すところがよく見えていたのだと思います。
 時代は急速に悪化の方向をたどっているように見えます。
 つぎは徴兵制でしょうか。

 政府は徴兵制は苦役で憲法違反と今はいっていますが,その憲法が危うい状況です。
 ちなみに,私が加藤周一さんを初めて読んだのは大学2年の時。ある先生から夏休みの課題として加藤さんの『羊の歌』(岩波新書)を読むようにいわれて読みました。
 読んでびっくりしました。  

 戦時中に日本の敗戦を確信していたということ。その明晰な分析と明晰な文章に感激をしました。
 以来,40数年,加藤さんを読み続けています。
 そういえば,司馬遼太郎さんも戦争中に戦車に乗っていて,指揮官が,国家を守るためには国民をひき殺してもいい,と述べたのを聞いて,国家に絶望をしたと書いています(沖縄戦では泣いている赤ちゃんが敵に見つかるからと殺されました。戦争は本当に人を冷酷に変えてしまいます。殺し合いですものね)。
 お二人とも,敗戦後の日本の中で,国民を戦争に追いやった国家と権力を冷静に分析した文章をお書きになりました。

 お二人とも本当に日本の人たちのことを考えていたのだと思います。
 フロイトはご存知のように,状況をきちんと分析をしないと事態を反復する,と述べています。
 今,私たちに求められているのは,精神分析が大切にしているように,「今,ここで」何が起こっているのかを冷静に把握し,冷静に理解をし,冷静に対応していくことのように思います。
 さらに勉強を深めたいと思います。      (2016 記)
     *

 2020年秋の追記

 学術会議の問題、また、きな臭くなってきましたね。     (2020.10 記)