大手町のゴースト2024 33 不正と汚職 | 新庄知慧のブログ

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私のいろんな作文です。原則として日曜日、水曜日および金曜日に投稿します。作文のほか、演劇やキリスト教の記事を載せます。みなさまよろしくお願いします。

33

 

 

 

 

 

 

「とんでもない!」

 

  すると重低音の男が、

 

「カバン・・・、よこせ」

 

課長はカバンをさし出す。

 

すかさず、カバンをあけて逆さにし、中身を路上にぶちまけました。

 

ビジネス雑誌、新聞、ボールペン、捨てずにもっていたピンク関係のガイドブック(上野の風俗ガイドセンターの店頭に置いてあった無料のやつ)もある、恥ずかしい、こんなもの捨てておけばよかった・・・しかし、「書類」はない。

 

「もって・・・ない・・・のか。どこへ、隠した・・・?」

 

「隠した、なんて・・・」そのとき、課長はふと思いついたのです、ひょっとして、幽霊のいっていた、不正がらみの書類か?

 

「どこへ・・・、隠したんだ?」

 

「隠してません、どこにも。本当に私は」

 

「何の・・・書類だと・・・思ってる?」

 

「それが全然、何も、私はわからなくて」

 

背の高い男が機敏に動き、課長をはがいじめにして捕え、刃物を首におしつけました。

 

「馬鹿にするなといってるでしょ!めんどくさいのはだめだよ。さっといえよ、さっと!」

 

  課長は気を失いそうになりながら、

 

「ふぉ、ふぉ、ほんとうなんです、う私も、きえ、きえ、今朝、しゃ、しゃがしたんですが、ぬ、あ、なかった。なかったです」

 

「何を・・・、さがした・・・のだ?」

 

「しゃ、しょ、しょりうい、しょるい!」

 

「何の・・・、書類・・・?」

 

「お、おしょ、おしょ、おしょっくしょん!」

 

「汚職・・・・?」そういい、背の低い顔のでかい男は、カエルのように横一文字の口をぱっくりと開いて、笑ったかのように、目を細くした。

 

「よく・・・、知ってる・・・、おまえ、・・・知ってる・・・、な?」

 

「ねえ、おしょくって、何?」

 

背の高い男が、でか顔の男にききました。

 

でか面は、もっと目を細めて、ただの線にしてしまい、空を仰ぎ、沈没しかかった豪華客船が夜霧の海に流す汽笛のような重低音で、

 

「ぼぼぼ・・・ぶわおお、・・・ぶわおー・・・んんーん」

 

  こちらも、かなりテンションが上がっています。

 

「なんだよ、馬鹿にしてるよ、もう殺していい?刺したいよ、ぼく、ここ、刺したいんだよ切りたいんだよ、めんどくさいのいやなんだよ、ぼく」

 

刃物は、ぐいぐいと、課長の首もとに押しつけられた、刃を寝かせているから、どうやら大丈夫なだけだ、

 

少しでも立ててしまったら、ざっくりと切り込み、頚動脈が切断され血液がシャワーのように噴き出す!

 

・・・・・つづく

 

 

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