日常の謎 | ぼくはきっと魔法を使う

ぼくはきっと魔法を使う

半分創作、半分事実。
幼い頃の想い出を基に、簡単な物語を書きます。
ちょっと不思議な、
ありそうで、なさそうな、そんな。

日常の謎というジャンルの推理小説が確立されつつあります。
その名の通り、身の回りで起こる不思議な出来事の真相を解明していくところが特徴。

ぼくは小学二年生のときにシャーロック・ホームズシリーズを読んで、初めて推理小説や名探偵という存在を知りました。
その後しばらくして(一年ちょっと?)名探偵コナンというマンガの存在を知り、その主人公もホームズ大好きだったことから、推理マンガも読むようになりました。

そんなマンガの影響もあってか「推理物=殺人事件が起こる」という勝手な思い込みが生まれました。
ホームズシリーズを読んでいても、どうしてもそっち寄りの話が好きになってしまったり。
例えば『まだらの紐』。

『まだらの紐』は、好きな本を紹介するという
小学校の国語の授業で クラスのみんなに紹介しました。
今でも覚えていますが、紹介後に先生に
「どこが面白いの?人が死ぬのが面白いの?」
と聞かれ、よく分からなくなり、咄嗟に
「はい」
と答え、呆れられたことがありました。
今なら「主人公が謎を解き明かしていく様にいつも驚かされます」 と言えますが、
あの頃は推理小説とは一体何かぼくは知りませんでした。

前置きが長くなりましたが、 推理小説とは殺人事件を解決する探偵たちの物語、
ばかりではありません。

北村薫さんの『空飛ぶ馬』。

あの、夏の日の想い出-空飛ぶ馬


女子大生の「わたし」と、落語家・春桜亭円紫の物語。
『空飛ぶ馬』は5つの話からなる短編集。
どれも日常生活の中に潜む不思議な出来事を探偵役の円紫さんが解決していく“推理小説”です。
読後の感想はそれぞれ様々で、「おお」であったり「うわ…」だったりしますが、
文章の美しさもあって総じて「すっきり」。
半分くらい読んだときに、これって文学だ、とようや気付きました。

しかし途中、文学や落語に関する記述があり、そちらに疎いぼくにとっては少々苦痛でした。
本作、<円紫さんとわたしシリーズ>でわたしが大学を卒業するまで物語は進みますが、
臆病なぼくは上記理由でまだ次作に手を付けていません。

代わりに手を付けたのが、米澤穂信さんの『氷菓』でした。

あの、夏の日の想い出-氷菓


この春アニメ化されました。
ライトノベルという意見もあるそうですが、確かに読みやすい。

廃部寸前の古典部に入部することになった省エネ主義(≒めんどくさがり屋?)の主人公が
同級生に振り回されながらその意外な?推理力を発揮し、身の回りの謎を解き明かしていく物語。
本書の軸となっているのはタイトルの「氷菓」。
氷菓とは一体何か?、は読んでみてください。
ただし、解き明かされたものがすべて真実とは限らない。
シリーズ一貫して主人公の目的は、ヒロインの好奇心を満足させること、だったりする。
そこが面白かったりするのです。


最近の興味は、殺人が起きない推理小説いいなあ、です。
思い返してみると、ぼくの推理小説のスタートは『赤毛連盟』でした。