『ぼくと、ぼくらの夏』 | ぼくはきっと魔法を使う

ぼくはきっと魔法を使う

半分創作、半分事実。
幼い頃の想い出を基に、簡単な物語を書きます。
ちょっと不思議な、
ありそうで、なさそうな、そんな。

数週間前ですが、ブックオフに行き本の背表紙を眺めていたら同期に会いました。
彼らもぼくと同じように本を探していて、内一人は本を選ぶとき、
それが初版本かを確かめるそうです。
それにどんな重要性があるかは、残念ながらぼくは知りません。
でも、なんにしてもこだわりを持つことは大事だと思います。

調べてみたらぼくが好きなこの本は初版本でした。
去年の夏、ブックオフで買ったものです。


『ぼくと、ぼくらの夏』

ぼくと、ぼくらの夏


主人公の戸川春一(とがわしゅんいち)は刑事の父親と二人暮らしの高校二年生。

夏休みのある日、父親から同級生の女子高生が亡くなったと聞かされる。
はじめはなんとも思っていなかった彼女の自殺も、
誰もが振り向く美人でありヤクザの娘でもある同級生の麻子(あさこ)さんや、
若くて美人な担任であり英語教師の村岡先生と関わっていく内に
次第に疑念へと変わっていく。

高校生のくせにタバコをふかしたりお酒を飲んだり、主人公はちょっと生意気な不良。
でもなぜかモテるし、料理、洗濯、掃除、だらしのない父親の世話までこなしてしまう。
そんな父親が担任の先生に事情聴取することになって。。。

少女はなぜ死ななければならなかったのか、というミステリー小説であり、
父親と村岡先生の恋を応援する主人公と麻子さんの恋を描く青春小説でもある。
二要素のクライマックスが個性的な登場人物と小気味いい会話で表現されている。 

夏が好きになる、

第六回サントリーミステリー大賞読者賞受賞の樋口有介さんのデビュー作です。


一九八八年の受賞作なので話の中では当然携帯電話もパソコンも登場しません。
でもまったく古臭くないし、違和感もない。
作品自体はミステリーではなく、青春ミステリーとみる方が正しいと思います。

二回読みましたが、今年も夏が来たらもう一度読もうと思っています。