デデキント・1 | ぼくはきっと魔法を使う

ぼくはきっと魔法を使う

半分創作、半分事実。
幼い頃の想い出を基に、簡単な物語を書きます。
ちょっと不思議な、
ありそうで、なさそうな、そんな。

数学では

「1=0.99999・・・」

である。

 

 

なんでだろう???

とか思った中学生の頃・・・。


 

 

「秋川先生~」

「はいはい、ってまだ先生じゃないけどな。どうした?」

「先生、この問題教えてくださ~い。」

 

母校である中学校へ教育実習をしに行った時のことだ。

僕が受け持ったのは2年生、活気のあるいいクラスだった。

そのクラスに佳澄という女の子がいた。

佳澄はクラスの人気者だった。

そして彼女は、数学にとても興味を持っているようだった。

 

そんな彼女が僕に持ってきた問題はこれだ。

 

 

『数学では

 「1=0.99999・・・」

である。

つまり、小数点以下に9が無限に続く数字である“0.99999・・・”は“1”に 等しい。

このように考えられる理由を説明しなさい。』

 

 

「なるほど。」

「でね、先生、私なりに考えてみたの。こんな解答、どう?」

 

佳澄はルーズリーフを僕に手渡した。


 

『<解答>

 1/30.33333・・・

 である。これの両辺に3を掛けると、

 1=0.99999・・・

 となる。

 よって、1=0.99999・・・は成り立つ。』


 

「あ~あ~、なるほど。」

「合ってる?」

「合ってるように見えるよね?でもさ、おかしいよねぇ、この解答。」

「え~?どこが?」

「それはね、ここ!」

 

僕が指差したのは『これの両辺に3を掛けると、』という部分だった。

佳澄は「何で?」という顔をしている。

 

0.33333・・・ってのは無限に3が続く数字ってことだよね。それに今から3を掛けようとしてるわけだ。」

「うん。」

「でもさ、どこから掛ける?」

「???」

「普通数字を掛ける時、下の位から掛けていくだろ?でも、こうやってず~と、無限に数字が続いてたら?下の位から順番に掛けていくことって・・・出来ないんじゃないかなぁ?」

「ん~、確かにそうかも。」

「実はこれはよく言われる解答なんだ。でも僕は本当の解答だとは思ってないんだ。」

「じゃあ先生、先生の解答は?」


 

うん、僕の解答はね・・・・・・