黒野研究室・4-2 | ぼくはきっと魔法を使う

ぼくはきっと魔法を使う

半分創作、半分事実。
幼い頃の想い出を基に、簡単な物語を書きます。
ちょっと不思議な、
ありそうで、なさそうな、そんな。

「さあ・・・聞いたことありません。そういえば、何なんでしょうね。」











 











教授が紙に書いた2つの記号











 











『♂ ♀』











 











確かに何度か気になったことがあった。











これは何を意味しているのか、と。











 











「ふむ。」











 











「“♂”はもしかして・・・生殖器?ですか?」











 











「いや、それは違う。確かに気持ちはわかるがな。」




















さすがに違ったか・・・。








先生はクルリクルリと椅子を何度か回転させた。








そしてこう言う。























「実は“♂”は火星の惑星記号だ。」











 











「惑星記号?そんなモノがあるんですか?」











 











「そうだ。惑星一つ一つに惑星記号が与えられていて、占いにも使われることがある。」











 











「なんでまた火星なんです?」











 











教授は椅子から立ち上がり、棚からファイルを取り出した。











たくさんの写真の中から教授が指したのは、真っ赤な天体だった。











 














「これが火星。真っ赤だろう?古代人はこの赤から戦火をイメージしたそうだ。」
















「確かに赤いですねぇ」























「それ故、記号自体は槍と盾を意味している。そこから“♂”は男性を指すようになったようだ。」











 











「なるほど、そうだったんですか。」











 











「さらに火星は英語でMars(マーズ)。これはローマ神話の戦いの神・マルスに由来しているようだ。火星の名前は各地で男性の名が使われることが多い。」











 











「それでは“♀”は?これも惑星記号ですか?」











 











「その通りだ。どの惑星だと思う?」











 











「え?・・・さぁ。あ、でもまてよ・・・」











 











「うむ。」











 











「色・・・?いや、形・・・?名前・・・?」











 











「いいところまできてるぞ。」











 











「そうか、金星!」











 











「ふむ。何故?」











 











「金星は英語でVeuns(ヴィーナス)です。」











 











「そういうことだ。」











 











教授はファイルの別のページを開き、一枚の写真を指した。











 











「宵の明星と呼ばれている金星だ。その美しさ故、各地で女性の名前があてられている。ヴィーナスはローマ神話の神だな。」











 











「では、この記号の意味は?」











 











「これは手鏡の形を意味したものだ。それが転じて女性を表す記号となった。」











 











「なるほど~!なんだか、いつもいつも『なるほど』って言ってる気がしますが・・・先生、」











 











「どうした、秋川君?」











 











「月末の学会の準備はいいんですか?」











 











「ん~、そうなんだが、こっちの方が性に合っているような気がするよ。」











 











「ちょっと先生・・・困りますよ。」











 











「わかっておる。 あ・・・」











 











「次はどうしたんですか?先生?」























 











君は知っているかね・・・