『GOLDFISH』 | From Rabbit House

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パンクバンド「亜無亜危異(アナーキー)」のギタリスト 藤沼伸一が初監督した映画『GOLDFISH』がアマプラに上がっていたので観ました。

 

Amazonから画像をスクショしています


公開前に、ここでも ちょっとだけ取り上げたけど下矢印

 

 

キャストが良かったのでね ルンルン

 

「アナーキー」   「ガンズ」

シゲル(仲野茂)   アニマル(渋川清彦)

マリ(逸見泰成)    ハル(北村有起哉)

シンイチ(藤沼伸一) イチ(永瀬正敏)

テラオカ(寺岡信芳) テラ(増子直純/怒髪天)

コバン(小林高夫)   ヨハン(松林慎司)

 

永瀬さんがオールバックで白髪交じりの無精ひげ生やしていると、時々チバ(ユウスケ)にも見えてきて なんだかドキッとしたな。

 

 

メインキャストの他にも、モブキャラ(くたびれたサラリーマン役、セリフ無し)で いきなりあっちゃん(ロチカ)出てきたしw

 

ディレクター役でJICK(うじきつよし)とか、バックドアマン(死神)役で町田康、喫茶店マスター役でPANTA氏(頭脳警察)などなど たくさんのバンド関係者が登場。

 

不気味な存在感のある町田氏

最後にハルに一言 投げかける

関西訛りなの ちょっと笑ったw

 

※公式サイトからスクショさせて

頂いてます(以下同じ)

 

 

アナーキーは世代が違うので(もちろん後追いで聴くバンドもいるけれど)、私は ほぼ通ってきていません。

 

仲野茂は知っているし昔ライヴ動画を観たこともあるにはあるけど、カバー曲(海外の曲の日本語での替え歌)だったのもあって「う~ん・・」と。

 

パンクバンドは(パンク以外も。でもパンクは特に顕著かも)本当の不良(族上がり)インテリがやっていることが多く(お笑い芸人とかの芸能人も割と そういう傾向にあるかな)

 

アナーキーは前者で そこも自分とは相いれない部分があり、まぁぶっちゃけ食わず嫌いってこともあったのかも。

 

 

物語はガンズ再結成を中心として、過去の物語も交えて。

 

ギタリスト「イチ」が一応主人公(彼の目を通して見たバンドとメンバーのヒストリー)だけれど、同じくもう一人のギタリスト「ハル」の生き様がメインなのかな。

 

若い頃のガンズ

 

このハルが、なかなか ぶっ飛んでいて繊細な不良という感じ。

 

若い頃を演じた山岸健太さん、すごく良い!

 

とにかく酒と女(無職のヒモ)と暴力とパチンカスって、なかなかのクズキャラでしょ アセアセ

 

 

女を殴る(DV)は、ぶっ刺す(傷害事件(映画では刺す場面はない))はで逮捕されバンド休止に追い込まれる事態に。

 

刑務所の面会に訪れたイチに坊主頭のハルが「俺を置いてかないで(一人にしないで)くれよ」って感じのすがるような目つきで見つめていたのがすごく印象的だったな。

 

で、ハルがぶっ刺した相手というのが現実世界ではマリの元妻だった バンド「PERSONZ」のVo. JILLというのも、後にバンド検索して知って驚きました。

 

右が若かりし頃のハル

左はイチ

 

それでも彼はある種のカリスマ性からか、性格からなのか皆に愛されていたようでガンズ再結成にも呼ばれ

 

働かなくても養ってあげるという彼女の雅美(有森也実←こちらも、なかなか ぶっ飛んだ演技で凄い!)もいれば、喜んで世話をしてくれる親衛隊の人たちも たくさんいる。

 

 

結局は再結成ライヴの直前に突然 ハルが死んでしまうのだけど(アル中など自堕落な生活で体が蝕まれたのか、あるいは自殺なのかは不明)

 

葬式後 喪服姿でハルの家に集まるメンバー・マネージャー(山村美智さん懐かしい)・雅美の6人でのシーン(ラスト12分ぐらい)が私的には一番の見せ場かも。

 

表題になっている『GOLDFISH』=金魚の伏線回収があるし。

 

 

最初から最後まで作品内で金魚の映像が度々差し込まれており、イチのセリフで「金魚っていうのは元はフナなんだぜ。見た目 おもしれぇように作り替えられて奇形になっちまった」と。

 

自分たちバンドマン(芸能人)のことを言っているんだよね、全ては作り物だ 偽物だ 虚構だって。

 

水槽=囲われたの中で死ぬまで漂っているだけなんだって。

 

 

それを聞いたメンバーのヨハンが「それ、ハルのこと言ってんのかよ!」と激怒し、その後アニマルとイチが掴み合いになり

 

雅美の悲鳴で(メンバー全員が暴れたせいで骨壺が倒れ)ハルの遺骨が畳にばらまかれたことが分かるシーン。

 

・・からの雅美のメンバーを睨みつけるシーンが最高だった。

 

 

彼女はハルが何もしなくても、ただ傍にいてくれるだけで幸せだったんだよね。

 

バンドに誘われたばかりに無理をさせて寿命を縮めたって思っているよね絶対。切ない。

 

ハルと雅美

 

飛び散った遺骨の欠片を摘まんだイチは指先で粉々にする。

 

アニマルが「おい!何してんだよ!?」と訝しげに訊くと、その粉々になった遺骨を金魚の入った水槽に落とし入れるイチ。

 

そして「バーカ」と呟く。

 

 

ハルが生前「俺にはバカって言わないよな」とイチに言っていたが(アニマルにはいつも「バーカ」と言っている)、死んで初めてハルに「バカ」と本音を言えたイチ。

 

アニマルに言うように、ハルもイチから そんな戯言を言われたいなんて思っていたのかな?

 

言われないことに優しさを感じていたのか、少し距離を感じて寂しいと思っていたのか・・メンバー間の微妙な関係性が少し窺い知れるような気がしました。

 

 

バンド物の映画ではあるけれど、演奏シーンが少なかったのが ちと残念だったかな。

 

イチの部屋の棚に本のようにレトルトカレーの箱が大量に整然と並べられているのが面白かったな(映画の演出なのか?自身もそうなのか?)

 

アニマル役の渋川さん、本人(仲野茂)っぽかった(ビジュアル的には全然似てないけど、ニュアンス・キャラとして雰囲気が似てた)

 

ハルが死んだ時のアニマルの号泣シーンにやられたなぁ。良くも悪くも純粋なんだよね。

 

左からアニマル・ヨハン・テラ・イチ

 

 

色々アナーキーについて知るうちに、ちゃんと音を聴きたいなと思って聴いてみたら「思っていたよりも良いやん!」となりました。

 

若い頃はダメでも歳をとったら聴ける音ってあるよね(その逆も然り)。

 

バンド自体も進化していくしね。

 

再結成したものの昨年かな?「活動禁止」(休止ではなく禁止)になったようですが、しばらくはハマりそうです音符

 

 

『心の銃』亜無亜危異