■フリーター生活208日目
■書籍紹介
『ガンを食事で治す星野式ゲルソン療法』
著者:星野仁彦
著者の経歴
医学博士。ガンの食事療法「ゲルソン療法」を簡略化した「星野式ゲルソン療法」を考案・実施し、克服した経験を持つ。また、自らが発達障害の一つであるADHDであることを公表している。
ページ数:225P
オススメ度:☆☆☆(☆5満点)
初級者向け
出版社:株式会社マキノ出版
発売日:2017年9月23日
■本書解説
本書では、ガンの代替治療の一つ「ゲルソン療法」を簡略化した「星野式ゲルソン療法」の効果と実施方法について紹介されています。
星野式ゲルソン療法は
- 極度の塩分制限
- 油脂類と動物性たんぱく質の制限
- 大量かつ多種類の野菜ジュース
- アルコール・カフェイン・タバコ・精製された砂糖、人工的食品添加物(着色料・保存料)などの禁止
- 芋類、未精白の穀物(玄米、胚芽米、全粒粉)などの炭水化物、豆類、新鮮な野菜や果物(国産)、堅果実(クルミ、ナッツ、アーモンドなど)、海藻類を中心とした食事
上記の5本の柱を据えた食事法にてガンの寛解を目指します。
■オススメしたい人
- ゲルソン療法について知りたい
- 標準治療(手術・放射線治療・抗がん剤治療)以外のがん治療を知りたい
本書で紹介されるゲルソン療法は
著者が実際に大腸ガンを患った際に、自身で食事療法を行い効果を実感したものです。
・塩分制限
がん細胞の増殖には、ナトリウム(塩分)を必要とするため、食事から摂る塩分を制限することで、がん細胞の増殖を抑える。
・油脂類、動物性たんぱく質の制限
動物性食品に含まれる脂は「オメガ6脂肪酸」を多く含み、これらを多く取ると発がんリスクを上げるため、動物性たんぱく質及びオメガ6脂肪酸を多く含む「サラダ油・ごま油」などを制限する。
・野菜ジュースの摂取
野菜・果物のジュースを一日3回に分けて、1500ml以上を摂り入れる。
野菜・果物に含まれるビタミンACEなどをはじめとした抗酸化物質による、ガンの生成を抑えるとともに、がん細胞のアポトーシス(自己消滅)を促す効果が期待できる。
・アルコール、カフェイン、タバコ、砂糖、添加物の禁止
消化器系臓器の壁を傷つける危険性と、発がん性物質の吸収を促すリスクがあるため、摂取を控える。
・芋類、未精白の穀物、豆類、野菜や果物、堅果実、海藻類を中心とした食事
油脂類からエネルギーを取れない分を摂るために、芋類をはじめとした炭水化物を選ぶ。また動物性食品の制限を補うために、大豆製品を積極的に摂り入れる。野菜、果物、堅果実、海藻類からはミネラル・ビタミンを摂り入れることができる。
以上、星野式ゲルソン療法を簡単に紹介させていただきました。
■あとがき
本書籍を手に取るに至った経緯として、以前に紹介した書籍『最高のがん治療』『ガン治療革命』の存在は欠かせません。
『最高のがん治療』では
「ゲルソン療法には、がんの進行をゆっくりにしたり、がんを縮小させたりするという研究結果がないだけでなく、健康を害すると報告されています」
『ガン治療革命』では
「アメリカで末期ガン患者の50%近くを完治させたという食事療法」
「現在、統合医療系の多くの食事療法はこの『ゲルソン療法』を土台としているものが多数を占めています」
両者の意見は対立していました。
ということで、ゲルソン療法を進める書籍はどのような紹介をしているのかということで本書を手に取りました。
私が本書を読んで考えたのは
「ゲルソン療法は、ガンを寛解させるためだけの食事療法である」
ということです。
動物性たんぱく質の制限
筋肉の生成が減少する。大豆製品でカバーするとしているが、大豆と動物性たんぱく質ではたんぱく質の質も量も異なるため、現実的とは思えない。
野菜ジュースの摂取
野菜ジュースにりんごとレモンを含むとしているが、果実に含まれる果糖は、中性脂肪になりやすく肥満・内臓脂肪の増加に直結してしまう。
芋類・未精製の炭水化物・堅果実を中心とした食事
糖質を多く含む食品が多く、糖尿病などのリスクが上がる。
また小麦製品にはグルテン、堅果実にはレシチンと呼ばれるたんぱく質が含まれており、腸の壁を緩ませる「リーキーガット症候群」を引き起こすリスクが上がる。
リーキーガット症候群は、ガン・認知症・動脈硬化を引き起こす要因になる。
摂取する野菜と炭水化物の比率によって、リーキーガット症候群の危険性については、回避できると思われるが、それでも、上記の内容を踏まえてゲルソン療法を行うことは、とても困難で健康的とは思えません。
ですの、ゲルソン療法は「ガンを治療する食事法」であり、予防する物としては考えるべきではないかと考えています。
また、本書では「ガンとの闘いは主治医との闘い」
と題をつけるほど、強気な内容も書かれています。
「抗がん剤をやめるならもう来なくていい」「そんな患者の面倒は見切れない。検査はできない」と激怒したり、不機嫌になる医師がいることを著者は残念がっています。
しかし、ガンの検査には主治医は欠かせません。
「標準治療は行いたくないが、検査だけは受けたい」という要望を受け入れてくれるように、主治医を説得しなくてはならないことを「闘い」と称していると思われます。
で、結局ゲルソン療法はガンの寛解に効果があるのか?
本書の巻末にて、ゲルソン療法にてガンを治療した五名の患者さんのお話が語られていますので、ご興味があればぜひ本書を一読ください!!