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里守り犬(2)

【里守り犬とは】


通常モンキードッグといわれているサル対策は、専門のハンドラーが犬を使って猿を追い払うか、農家が訓練所で訓練された犬の提供を受けてサルを追い払うというやり方です。


しかしサルが出てくる地域で恒常的に専門家を使うことはコストがかかりすぎるのが難点です。また、訓練された犬を提供されて使う方式は、提供された農家の側が犬をコントロールする技術を持っていないために、折角の犬の能力が発揮されないし、訓練された犬の能力も急速に低下してしまいます。


里守り犬事業では、飼い主が犬同伴で研修を受け、犬を扱う技術や日常の犬の飼い方を習得してもらい、地域に根付いた害獣の追い払い体制を確立することを目的とします。


また、研修を受ける農家の方々は、自分の農地だけを守るだけではなく集落全体を守る活動にも協力していただくことを前提として、研修を受けていただきます。


モンキードッグとしてよく紹介される犬はシェパードやラブラドールリトリーバーという犬種が多いのですが、これらの犬は訓練しやすいけれど野生動物への対応能力についてはやや疑問があります。

猟師が猟犬としてシェパードやラブラドールをつかわないのには、それなりの理由があるのです。


今回の山梨県北杜市と南アルプス市の里守り犬としては、昔から優秀な猟犬として知られている地元の伝統的な犬種である甲斐犬をモデル犬として子犬の時から訓練することにしました。

もちろんすでに自分で犬を飼っている方は、自分の持ち犬で参加することもOKです。サルに徹底的な恐怖心を与える目的のためには運動能力や猟欲の強い猟犬が最適ですが、サルを里に近づきにくくするためには、よく訓練された犬を適材適所で使うことも必要です。


研修会では、参加者は飼い犬もしくは協議会からの提供犬(甲斐犬)のどちらかで参加しています。


写真は甲斐犬です。山梨原産の日本犬で天然記念物にも指定されています。忠誠心が高く、日本の急峻や山での運動能力は抜群。里守り犬となる素質を備えた犬ですが、適正な管理とトレーニングは必須です。



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【事業母体について】


今回の事業母体は長野県から静岡県までの広域的な連携軸で活動をしている「中部西関東市町村地域連携軸協議会(運営事務局 地域交流センター)」の鳥獣害対策検討会で行なわれています。

「里守り犬(3)」へつづく