いやはや、参りました。
年末年始にかけて、浮世絵に関する雑誌、penと和楽2冊と、あえて洋書の浮世絵特集を購入しました。
とりあえずサラサラと、上っ面の絵だけを一通り見てから、
雑誌の解説などをチマチマ読む。
地震や大火によって江戸の町が崩壊しては復興のため、様々な職人が全国から流れてきて、
貧乏で生活が苦しいながらも日々を楽しもうとする町衆の活気は、”憂き世”を”浮き世”と捉え、そんな時代娯楽の一つとして浮世絵は一般に広まったようです。
また他の娯楽である、歌舞伎の広告がわりとしても、遊郭の美女のファッション画としての役割もあり、値段も様々だったよう。
そして、その町衆を虜にする影響力からしばしば厳しい検閲、規制もあったとか。
そんな中を絵師の様々なアイデアが検閲を”かいくぐり”、浮世絵は広がり続けたそう。
だが現存してる浮世絵が少ないこと、更に浮世絵を町衆が、どう楽しんでたかという明確な資料が残ってないだけに、未だに一般衆にどう扱われてたのかは謎のようです。
隙間風を塞いでいたり、はたまた物を包む紙として使われてたりと、今で言う雑誌のようなものであったともあるとか。
浮世絵とは、肉筆画の一点ものもあるが、主に版画であるが故、
大量に刷られて、本物が沢山出回り、その御蔭で貿易に来た外国人達に渡り、海を越えてゴッホやピカソたちにも強い衝撃と影響を与えた。
カラフルな大量生産印刷の浮世絵は、世界初の多色刷り版画であったのである。
はい、ココです。
ステンシルに通ずるポイント来ました。
和紙を貼り重ねた版を彫り、版を絹に紗張りし、着物の柄などを染めてたジャパニーズステンシル技術が英国に伝わり、
それからシルクスクリーンが発明されたというのは以前、切腹ピストルズの紅緒くんからの報というブログで書きました。
日本の技術が世界をビックリさせてきてるという事実…
浮世絵と言えば、やはり絵師の名前ばかりが挙げられます。
葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳、東洲斎写楽などなど。
でもこれだけ世界を魅了するに至るまでには、多色刷り版画があってこそなわけです。
浮世絵を生産するには、絵師以外に版元、彫り師、摺り師が居て、計4種の仕事人が関わり、出来てます。
絵の意向と出資の版元が絵師に依頼、そしてその出来た墨一色の原画は彫り師の元へ。
彫り師は原画を版木に裏返して貼り付け、原画ごと忠実に墨線を彫りあげる。
白黒の版が出来たら、それを摺り師が20枚摺りあげる。
刷りあがった20枚は再び絵師に渡り、そこで絵師から1色1枚ずつの指定を受けて、また彫り師の元へ。
例えば10色ならば、色の部分ごとに版を彫るので10版制作する。文字や簡単と言われる部位は弟子が、髪の毛など細かい部位は親方がやる。分業ですね。
そして最後に摺り師がズレないように10色を10回順番に刷り、ようやく完成。
だが、摺り師もただ摺るだけでなく、顔料を絶妙な具合でコントロールし、ボカシや、空摺り、校合摺りなど一筋縄ではいかない技術を盛り込みます。
そうした細かく、卓越した技術の結集により、一枚の浮世絵が摺り上がる。
で、更に凄いのが、
版元から絵師に依頼が来て、店頭に並ぶまでの期間なんだけど、
何と、これらの工程は一週間!!
では最後の摺り師は一日に何枚仕上げるかというと、、、
200枚!!!
例えば、一日に浮世絵1枚の10色摺りを200回!!!
正確、且つ速い。
世界を魅了する技術の高さとはこういう事ですね。
今では簡単にコピーしてしまうところを手仕事でヤる。
物の価値ってのは、
その物を作りあげるまでに使った、卓越技術と手間に価値がある。と思います。
作品から滲む人の温もり、そこから感じる存在感。
それが見えない力を発して、作品を観るものを圧倒する。
僕のステンシルTシャツも一枚一枚やってるのは、そうした手仕事の価値と存在感を目指してるから。
シルクスクリーンはやはり、海外の技術。ステンシルは日本の技術。
ステンシルで良かった。11年前の直感は間違ってなかった。と、最近常々思います。
でも、やはり浮世絵に関わる職人たちの仕事を見ると、自分は到底未だ未だ。
気合いも覚悟も鈍ってた。
年末年始に、これまた直感して浮世絵を掘ったら確信に変わった。
去年を終える時に出た気持ちの迷いをバシッと正してくれました。
今のイメージを続けたらステンシル表現の限界は近いと感じ始めてて、何が足りないかは見えてるのに、何から手をつけてイイのかが分からなかったのです。
結局、新しいネタやアイデアの前に、基礎である切り抜く技術を磨けってことでした。
木版の髪の毛の細かさに迫れるよう、刃使いを鍛えなきゃならんのです。
そんで、音楽が好きで、バンドが好きで、憧れて、気持ちが脱線してた部分も多かったと思います。
年末にブログで書いた来年の目標とは、
自分の創作ルーツである、尊敬する絵師と絡むことです。
まだ実現するかはわかりませんが、やれたら最高でしょう。
尊敬する音楽家の皆さんとも今まで通り絡みながら、刺激を貰い、自分は自分の技術をしっかりと見据えて精進します。
僕は、絵師でもなく、彫り師でもなく、摺り師でもない。
与えられる仕事をこなすだけの技術職人には成りたくない。
アイデアから出資、版制作も、色決めもこなす、型紙を切り抜くジャパニーズステンシル職人。
あえて言うなら、抜き師ですかね。
追い抜く、出し抜く、抜き差す、したたかに技術磨いていきたいです。
抜き師、、、オナニストみたいだけどね。
間抜けっぽくてイイ。
力も抜けて、笑えて、カッコイイのが一番。
バイバイ、またね。
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