リアルオプション -5ページ目

昼間、賃貸マンションのテナントを訪問した。

私が引っ越しをする理由はない。

約90分にわたり、あれこれと条件をつけては、部屋の間取りを物色した。

改めて訪問することを伝え、女性担当者から名刺を受け取った。


その後、ハナの家に向かった。

ハナが住む1DK部屋の荷物は、ほとんど実家へ送られていた。

数日経てば、今この部屋にある全てのモノが空になる。


私は、「山西加奈子」と書かれた名刺をテーブルに置き、席に座った。

その後、彼女を連れてくるところまでの計画内容を再確認した。

「任せて」といった笑顔でハナは頷き、そして就職用に購入したばかりの名刺入れに、それをしまった。


今日も彼女のブログは更新されている。

わずか数時間でコメント24件が追加されている。


私は、彼女の虚像にメスを刺したいだけなのである。


動機はいつも曖昧である。

行動科学なんていう言葉は学術の世界であって、

実生活では断片的な心理状態に従って行動している。


彼女はミスコンで優勝した。


私はいつもミーハーで、同学年の彼女を目で追いかけていた。

知的な文章で綴られる彼女のブログも愛読していた。

それは今でも続けている。


キャンパス内での彼女の周りには、男女問わず6,7人の仲間がいる。

そして私のように、一定の距離から憧れのような眼差しで彼女を見つめている

輩も少なからずいる。


それは、半年間というつかの間であった。

「あいつによく直視されてるんだよね、何なの。」


一定距離を守れなかったせいか日ごろの鬱憤がたまっていたせいか、

ついに仲間全員から攻撃的な視線を浴びることになった。





まもなく全ての準備は完了する。


計画を実行する仲間がもう1人いる。

バイトの先輩で、22歳(大学4年)のハナという。

ハナは2ヵ月後にUターン就職で、実家へ戻る。

つまり、東京で過ごす時間はあと僅かなのだ。


計画の場所はハナか私の部屋だろう。

ここにアイドル気取りの彼女を連れてくる。

ちなみにハナと彼女には全く面識がない。当然私も。


じゃーどうやって?


もちろん彼女自らの意思で部屋へ来てもらう必要がある。

でないと、我々がちょっとした犯罪者になってしまう。


一考し、答えはすぐに見つかった。

成功する確率は50%程度であろう。