私はハナの家に息を潜めて待機している。
もっと具体的にいうと、トイレに座っているのだ。
玄関のドアが開く音のみに耳を澄ましている。
玄関に姿を最初に見せるのは彼女であろう。
その後ろからハナの声が聞こえるはずだ。
私はTVドラマの銀行強盗のようななマスクをしている。
チープな変声機をセットし、自分の声色を調整する。
そして自分の姿を鏡で確認し、見事な変装ぶりに笑みを浮かべる。
ドアが静かに開く。
「どうぞ入ってください。」とハナの声が聞こえる。
「はい、失礼いたします。」久々に彼女のトーンを感じた。
シナリオどおりである。