雷平原を抜けると、キラキラと光る森に入った。
リュックは雷平原を抜けて大喜びしている。
ティーダはただ、ユウナを見つめて歩いていた。
アーロン 「ユウナのことが気になる、か。」
ティーダ 「気にすんなってのが無理だよ。
なにするつもりなんだ?」
アーロン 「単純に考えれば、・・・結婚を承諾することを材料にして、シーモアと交渉するつもりなんだろうな。」
ティーダ 「なんの交渉?」
アーロン 「さあな。」
ティーダ 「一人で大丈夫かなあ
」
アーロン 「ふっ。・・・・望み薄だな。
シーモアの方が役者が上だ。」
ティーダ 「わかってんならさあ、なんとかしない?」
アーロン 「ユウナがそれを望んでいない。」
ティーダ 「んああ・・・
それもわからないんだよな。オレたち、信用ないのか?」
アーロン 「逆だな。皆を巻き込まぬよう、一人で解決しようと決意している。」
ティーダ 「うん、そんな感じだ。
でも、そっちの方が心配するっつうの。
話してくれるだけでいいのにさ。」
アーロン 「それができん娘なのだ。
生真面目で、思い込みが激しく、・・・・甘え下手だ。」
ティーダ 「よく見てんなあ。」
アーロン 「ユウナはわかりやすい。」
ティーダ 「ははは・・・。たしかに
」
アーロン 「いつかガードの出番がくる。その時は、おまえが支えてやれ。」
ティーダは頷いた。
リュック 「おそ~い!」
先の方でリュックが叫んでいる。
ティーダ 「わりぃ!」
ティーダは走って追いかけた。
ティーダ 「オレは不思議と落ち着いていた。
ユウナの結婚は、オレが想像するようなあれやこれやの結婚じゃなくて、そう、旅を続けるためのちょっとした儀式みたいなもの。
そういうふうに、考えられるようになってたからだと思う。
まあ、なんていうか・・・、あきらめの境地ってやつだったのかもしれないけどさ。」
ティーダ 「行こうか、ユウナ
」
ユウナは微笑んだ。
マカラーニャの森の入り口に、ルチルとエルマがいた。
ルチル 「ユウナ様、無事のご到着、なによりです。
それから、ご婚約のこと、おめでとうございます。」
エルマ 「シーモア老師の使いが迎えに来てるみたいですよ。
ユウナ様の結婚式が終わるまで、寺院の警備を手伝うことにしました。お祝いを邪魔する奴らがいたら、あたしたちが退治しまっす!
あ、そうそう。クラスコはチョコボと一緒に留守番してますよ。時間があったら、声でもかけてやってくださいね。
今度会う時は、かっこいいチョコボ騎兵に戻ってますからね。」
ルチル 「最近、召喚士が行方不明になる事件が多発しているようです。くれぐれもご注意を。
われわれは、この任務が一段落したら北へ向かいます。新たなチョコボを捕まえて、騎兵隊を再編成するつもりです。
それにしても・・・・おめでたいですね。こんな話題は、ずいぶん長い間ありませんでしたからね。」
二人とも嬉しそうだった。
しばらく歩いていると、向こうからバルテロが走ってきた。
バルテロ 「おーい!
・・・あんたたち、ドナを見かけなかったか?」
バルテロはぜいぜい言いながら聞いてきた。
ティーダ 「ドナぁ?見てないッスよ。」
ワッカ 「どうしたんだ?」
バルテロ 「森に入ってからはぐれちまって・・・。
くそっ!どこ行っちまったんだ!?」
アーロン 「落ち着け。」
バルテロ 「でも!あいつにもしものことがあったら・・・
」
アーロン 「取り乱して無駄口をたたいてもなんの解決にもならん。
今はドナの無事を信じて全力で探すことだな。」
バルテロ 「でも!!」
アーロン 「ガードが取り乱していたら、召喚士はどうする。」
バルテロ 「!!
・・・・そうですね。」
急にシャンとするバルテロ。
アーロン 「手伝いが必要か?」
バルテロ 「いいえ。一人で大丈夫です!
アーロンさん、ありがとうございます。」
バルテロはお祈りをすると来た道を戻っていった。
リュックがなにか考えている。
ワッカ 「どーした?」
リュック 「あ、元気出してって言おうと思っただけ
」
森の出口付近になってアーロンがみんなを止めた。
アーロン 「ちょっと待て。
たしか・・・このあたりだ。」
ティーダ 「なんスか?」
アーロン 「見せたいものがある。」
ユウナ 「でも・・・アーロンさん・・・
」
アーロン 「すぐに済む。」
そう言うと、アーロンは剣を振りかざし、周りにあった木の枝を切り始めた。
人が進める程度切ると、先へ進んだ。
そこは木々の光が降り注ぐ湖だった。
ティーダ 「ここって・・・、普通の水じゃないのか?」
アーロン 「スフィアの原料となる水だ。人の想いを封じ、留める力がある。」
ワッカ 「なんだあ!?」
湖の底から魔物スフィアマナージュが現れた。
アーロン 「想いが集まる場所は魔物が生まれやすい。」
ティーダたちはスフィアマナージュを倒した。
スフィアマナージュはスフィアを落としていった。
ワッカ 「ずいぶん古いな。こりゃ中身消えてっかもなあ。」
アーロン 「10年前、ジェクトが残したスフィアだ。見てみろ。」
ティーダ 「お、・・・おう
」
ティーダはスフィアの再生ボタンを押した。
どうやら、出発の時のようだ。
アーロン 「おまえ、何を撮ってるんだ!」
ジェクト 「よくわからねえが、長い旅になるんだろ。珍しいものもたくさん見れそうだ。
となりゃ、全部スフィアに記録しといて、ニョウボとガキにも見せてやらねえとよ
」
アーロン 「この旅は遊びではないんだぞ!」
ジェクト 「しっかし、ブラスカよお。
『シン』と戦うショーカンシ様の出発だってのに、・・・これじゃあなんだか夜逃げみたいじゃないか。」
ブラスカ 「これでいいさ。見送りが多すぎると、かえって決意が鈍りかねない。」
ジェクト 「そんなもんかねえ・・・。
ま、おめえがここに帰る時には、もうちょいにぎやかになるだろうさ。『シン』を倒した英雄として、ハデに凱旋パレードよ!」
ブラスカ 「ははは。
そろそろ行こう。夜が明けてしまう。」
次はここ、マカラーニャの映像だ。
今度はブラスカが撮っているらしい。
ブラスカ 「アーロン、もう少し寄ってくれ。」
アーロンはしぶしぶジェクトに近寄った。
ブラスカ 「よし、それでいい。」
ジェクト 「そんなイヤがんなよ、カタブツ
」
アーロン 「うるさい
」
ジェクト 「ブラスカ、おめえも映っとけよ。ユウナちゃんへのいい土産になるぞ。」
ブラスカ 「・・・そうだな。」
アーロン 「ブラスカ様。
こんなことをしていては、時間がいくらあっても足りません!」
ジェクト 「な~に焦ってんだか。」
アーロン 「この旅がどういうものだか、教えてやろう!」
ブラスカ 「アーロン!」
ティーダ 「なんだよ・・・。なに楽しそうにしてんだよ。」
リュック 「続き、あるみたいだよ。」
次に映ったのは、この湖だった。
ジェクトが自分で撮っていた。
ジェクト 「よう。
おめえがこれを見てるってことは、オレと同じようにスピラに来ちまったわけだな。
帰る方法がわからなくて、ぴーぴー泣いてるんじゃねえか。
まあ、泣きてえ気持ちもわかる。オレも人のこと言えねえよ。
だがよ、いつまでも、ウジウジ泣いてんじゃねえぞ。なんたって、おめえはオレの息子なんだからな。
あー、・・・・なんだ、その・・・、・・・・・だめだ、まとまりゃしねえよ。」
ここで一旦消えるが、また同じ場所が映った。
今度はジェクトの声だけ入っていた。
ジェクト 「とにかく・・・、元気で暮らせや。・・・・・・そんだけだ。
じゃあな。」
ここで映像は終わっていた。
ティーダ 「最後だけマジなふりしたって、説得力ねえっての。」
アーロン 「ふりではない。
あの時、ジェクトはすでに覚悟を決めていた。」
ティーダ 「覚悟?」
アーロン 「ジェクトは、いつでもザナルカンドの家に帰ることを口にしていた。
風景をスフィアに収めて続けていたのは、帰ってからおまえに見せるためだ。
しかし、旅を続け、スピラを知り、ブラスカの覚悟を知り・・・、そう、前に進み続けるうちに、ジェクトの気持ちは変わった。
ジェクトは、ブラスカとともに『シン』と戦うことに決めた。」
ティーダ 「帰るの、あきらめたってことか・・・。」
アーロン 「覚悟とは、そういうものだ。」
ティーダ 「なんとなくわかった。
オヤジは、ザナルカンドに帰る方法が見つからないから覚悟した。
本当は帰りたかったけど、帰れないから覚悟を決めた。
そうしないと前に進めなかったんだと思う。
それに・・・、もし、帰る方法を見つけたとしても、途中で仲間と別れるなんて、できなかったと思う。」
ティーダ 「さーて、出発するッスよ!」
ティーダ 「あきらめが、・・・覚悟に変わったような気がした。」
ジェクトに救われたのか、気持ちがすっきりとしたティーダをアーロンは呼び止めた。
アーロン 「おい。」
ティーダ 「なーんスか?」
アーロン 「ジェクトはおまえを愛していた。」
ティーダ 「んな気持ち悪いこと言うなよ
」
アーロン 「しかし、愛し方がわからなかったと言っていた。」
ティーダ 「オヤジの話はもういいって。」
アーロン 「・・・これだけは伝えたかった。」
ティーダ 「そりゃどーも。・・・・・・・・・ありがとう。」
森を抜けると、冷たい湖だった。
ティーダたちは旅行公司に寄った。
そこでクラスコがチョコボの世話をしていた。
クラスコ 「こんちは。
見てくれよ、これ。いっつもオレひとりが留守番なんだよな。」
チョコボ 「くえ~~っ。」
クラスコ 「あ~、はいはい、首がカユイんだな?」
クラスコはチョコボの首をかいた。
チョコボは嬉しそうに鳴いた。
クラスコ 「おう、よかったなあ
」
ティーダ 「よくわかるなあ。」
クラスコ 「ああ、チョコボの気持ちがなんとな~く伝わってくるんだよね。
もしかしたらオレ、騎兵よりもこういう方が向いてんのかもな。
なあ、オレ、どっちの仕事が向いてるかな?」
ティーダ 「チョコボ飼育係り。」
クラスコ 「そうか、オレもそんな気がしてたけど・・・。うーん、こりゃちょっとマジメに考えてみるかなあ。」
クラスコは嬉しそうに考えていた。
公司の中にいても、ユウナの顔は暗かった。
ユウナ 「ん?」
ティーダ 「ニコニコ旅すんだろ?」
ユウナ 「ん・・・・・そだね。がんばるよ。」
そう言って、引きつった笑顔を見せるユウナ。
ユウナ 「笑顔・・・、練習中・・・。」
ティーダ 「ん。がんばるッス。」
それを心配そうに見つめるルールーとワッカ。
ルールー 「ユウナ、思いつめてるわね。
こうやって立ち止まると、いろんなこと考えてしまうわね。」
ワッカ 「やっぱよう、こんなくら~い気分になる結婚ってヘンだよな
」
ティーダ 「今更やめろよ。」
ワッカ 「ヘン!オレはガキのころからゆ~じゅ~ふだんでよ!」
ティーダ 「あ、開き直ってるし。」
ワッカ 「へへ~ん!ってなもんだ。」
全然、楽しくなんてなかった。
公司の中にメイチェンがいた。
メイチェン 「ユウナ様はシーモア老師とご結婚なさるとか。まずは、おめでとうございますと申し上げておきましょう。
しかし、いささか残念ですなあ。ユウナ様なら『シン』を倒してナギ節を招いてくださると思うだが。」
ティーダ 「ユウナは結婚しても旅はやめないってさ。」
メイチェン 「おお!それはそれは、素晴らしい覚悟ですなあ。
そうそう、このマカラーニャ湖は一年を通じて凍結しとるんですわ。どんなに暑い日でも、氷は絶対に溶けやしません。
湖が凍っているのは寺院の祈り子様が放つ凍気の影響ですな。」
ひと休憩して、ティーダたちは寺院へ向かった。
公司を出ると、トワメルが迎えに来ていた。
トワメル 「ユウナ様。お迎えに参上いたしました。
こんなに早くにお返事をいただけるとは・・・、まったくもって予想外の出来事。
何も告げずに留守にしたこと、シーモア様になり代わり・・・。」
トワメルは頭を下げて言った。
ユウナ 「それはいいんです。
・・・あの、ひとつ聞きたいことが。」
トワメル 「なんなりと。」
ユウナ 「わたし、結婚しても旅を続けたいんです。シーモア老師は許してくださるでしょうか?」
トワメル 「それはもう・・・。シーモア様もそのつもりでいらっしゃいます。」
ユウナは安心するとみんなの方を振り返った。
ユウナ 「いってきます。」
笑顔で言うと、ユウナはトワメルのそばへ行った。
トワメル 「さて・・・、グアドのしきたりがありましてな。
皆様はもう少しだけここでお待ちください。ほどなく、迎えをよこしますゆえ。」
ユウナ 「あの・・・。」
ユウナはアーロンを見た。
アーロン 「ガードはいつでも召喚士の味方だ。好きなようにやってみろ。」
ユウナ 「はい!」
ユウナはトワメルとともに去っていった。
アーロン 「悪かったな。」
アーロンはぼそっとティーダに言った。
ティーダ 「ん?」
アーロン 「おまえのセリフだった。」
それを聞いてティーダは離れていくユウナを呼んだ。
ティーダ 「ユウナ!」
そして指笛を吹いた。
ユウナ 「了解っす!」
ユウナは笑顔で答えた。
ティーダたちはユウナを見送った。
リュック 「あ~っ!!」
ユウナが小さくなる頃、リュックが叫んだ。
ワッカ 「アルベド族だ!」
見ると、ユウナの周りをアルベド族が囲んでいた。
ティーダたちはすぐにユウナたちのところへ向かった。
アーロン 「任せろ。」
トワメル 「かたじけない。」
トワメルはユウナの手を引いて先へ進もうとした。
しかし、ユウナはその手を振り払った。
トワメル 「ユウナ様!?」
アニキ 「リューック!!ビャヤヌウハナ、ヨミユダワミセガ!
(リューック!!邪魔するなら、こいつが相手だ!)」
アニキが高台から叫んだ。
出てきたのは大型の機械だった。
アニキ 「ヤロフコキョフアンビュフコ、クフビヨレセタウゲ!
(魔法も召喚獣も、封じ込めてやるぜ!)」
リュック 「え~!?」
ティーダ 「通訳!」
リュック 「魔法と召喚獣を封印しちゃうって。」
アニキ 「タッヒヤヘ!
(やっちまえ!)」
アルベドシーラーとアルベドガンナーが襲ってきた。
どうやら魔法と召喚獣を封じているのは浮遊機械のアルベドシーラーらしい。
そこで、ワッカが攻撃してアルベドシーラーを壊した。
ワッカ 「ルー!これで魔法が使えるぞ!」
そしてアルベドガンナーの強力な魔法ビームにも負けず、ルールーの魔法で応戦し、勝利した。
トワメル 「ユウナ様!」
ユウナは申し訳なさそうに一礼し、トワメルに連れられていった。
アニキ 「リューック!!」
またアニキが叫んだ。
アニキ 「トタビシミミユテウアナハ!
(オヤジに言いつけるからな!)」
リュック 「ワサキ、ユウナオガードシハッサアナ!
ユウナマガミビョフズ!インハベヤコウアナガミビョフズ!
(あたし、ユウナのガードになったから!
ユウナは大丈夫!みんなで守るから大丈夫!)」
アニキ 「ゴフハッセコキナメネアナハ!
(どうなっても知らねえからな!)」
そう言って、アニキは去っていった。
リュック 「あははははは・・・・・。
ガードになったって言っちゃった。・・・・・・うーん、仕方ないよね
」
リュックはほっぺたをかいた。
ワッカ 「なんでアルベド族の言葉知ってんだ?なあ?」
ワッカはティーダとルールーに聞いた。
ティーダ 「えっと・・・
」
リュック 「あたし、アルベド族だから。あれ、あたしのアニキ。」
リュックは物怖じせずに言った。
ワッカは驚いてティーダとルールーを見た。
ワッカ 「・・・・知ってたのか。」
二人は頷いた。
ワッカ 「なんで黙ってた
」
ルールー 「あんた、怒るでしょ。」
ワッカ 「最悪だぜ・・・。」
ワッカは頭を抱えた。
ワッカ 「反エボンのアルベド族と一緒だなんてよ!」
リュック 「あたしたちはエボンに反対なんかしてないよ!」
二人とも大きな声で言い合った。
ワッカ 「おまえら禁じられた機械を平気で使ってんじゃねえか!わかってんのか?
『シン』が生まれたのは人間が機械に甘えたせいだろうがよ!」
リュック 「しょーこは?しょーこ見せてよ!」
ワッカ 「エボンの教えだ!教訓もたくさんある!」
リュック 「答えになってな~い!
教え教えってさあ!もっと自分のアタマで考えなよ!」
ワッカ 「じゃあ教えてくれ。
な、どうして『シン』は生まれたんだ?」
リュック 「それは・・・・わからないよ。」
ワッカ 「けっ!エボンの教えをバカにして、結局それかよ。」
リュック 「でも!教えだからって、何にも考えなかったらこのままだよ!いつまでたっても何にも変わんないよ!」
ワッカ 「変わんなくてもいいんだよ!」
リュック 「『シン』が復活し続けてもいいの?もしかしたら、それ、止められるかもしれないんだよ。」
ワッカ 「オレたちが罪を償いきれば、『シン』は復活しない。」
リュック 「どうやって償うのさ!」
ワッカ 「教えに従って暮らしていれば、いつかは償えるんだよ!」
リュック 「・・・・・なんか、ハナシにならないね。」
不穏な空気が流れる。
アーロン 「リュック!
これは動くのか?」
アーロンの一言で少し和らいだ。
アーロンが指しているのはアルベド族が乗っていた機械の乗り物だった。
リュック 「うん!」
リュックは駆け寄って機械をいじり始めた。
ワッカ 「あれに乗ろうってのか?まさかアーロンさんもアルベドじゃないだろうな
」
ティーダ 「へんだよ、ワッカ。」
ワッカ 「なにが?」
ティーダ 「リュックがアルベド族だってわかったら、急に怒るなんてさ。ここまで仲良くしてただろ!」
ワッカ 「そりゃあ、おまえ・・・・。」
ティーダ 「オレ、スピラのことはよく知らないけど、アルベド族がどんな人たちなのか全然知らないけど、リュックはいい子だと思う。
リュックはリュックだよ。」
ワッカ 「ルー・・・。」
ワッカは答えきれずにルールーに助けを求めた。
ルールー 「アルベド族を知るいい機会。そう考えてみない?」
ワッカ 「けっ!」
ルールーにも見放された気がしたワッカは一人で歩き出した。
ティーダはワッカを追おうとした。
アーロン 「放っておけ。簡単には受け入れられまい。」
リュック 「・・・・・ごめんね。」
ルールー 「あんたが謝ることないわ。」
ティーダ 「さーて、行くッスか!」
ティーダは明るく振舞った。
リュック 「運転できんの~?」
安心したリュックはティーダに言った。
キマリが転がっていた機械を起こし、それに乗って寺院へ向かった。
ティーダ 「キマリには負けられないッス!」
ルールーを後ろに乗せて、ティーダも出発した。
ルールー 「ワッカのこと、嫌わないであげてね。」
ティーダ 「だいじょぶだって。」
ルールー 「・・・・・・ありがとう。」
ティーダ 「ルールーはリュックのことどう思う?」
ルールー 「私?・・・・・・そうね、見ていて飽きないかな。」
ティーダ 「そんだけ?」
ルールー 「悪い子じゃないわ、それはわかる。」
ティーダ 「だろ~?ワッカもさ、それはわかってると思うんだよな。」
ルールー 「うん。」
ティーダ 「ワッカも頭カタイよな。
エボンの教えって、そんなに厳しいのか?」
ルールー 「教えのせいだけじゃないわ。」
ティーダ 「え?」
ルールー 「あいつがアルベドを嫌うのは、チャップのことがあったから。」
ティーダ 「あ、機械の武器使ってたんだっけ。・・・・・んで、やられたんだよな。
みんな・・・『シン』のせいか・・・・・・。
・・・・・・・・・・くそオヤジ。」
ルールー 「なに?」
ティーダ 「ああ、こっちの話。
あのさ。『シン』って、誰かが変身するものなのか?」
ルールー 「そんな話、聞いたことないけど、どうして?」
ティーダ 「なんとなく。」
ルールー 「『シン』は罰であると同時に、私たちの罪が形になったもの。」
ティーダ 「んあ?
結局、わかんないってことか。」
ルールー 「考える必要、あんまりないから。
逃げるか戦うか、選ぶだけで精一杯よ。
あんまり深いこと考えない方がいいわ。」
ティーダ 「なんかさあ・・・・。いいのか?それで。」
ルールー 「ふふ・・・・。やっぱりあんた、ほんとに『シン』のない世界から来たんだね。」
ルールーは笑いながら言った。
寺院に着くと、まずリュックが僧官に止められた。
僧官 「お待ちなさい!ここはアルベド族が来てよいところではありません。」
アーロン 「この娘はユウナのガードだ。」
僧官 「アルベド族が・・・・ガードですと?信じられませんな。」
リュック 「あたしはユウナを守りたい。誰にも文句は言わせない。」
リュックはまっすぐに僧官を見た。
アーロン 「そういうことだ。ガードに血筋は関係ない。」
僧官 「や、やむをえませんな。」
そう言って僧官は道を開けた。
中に入るとトワメルが迎えた。
トワメル 「おお。ガードの皆様。先ほどはありがとうございました。皆様のおかげで、無事にユウナ様をご案内できました。
心より、感謝申し上げます。
シーモア様とユウナ様はヒトとグアドとの架け橋となるでしょう。
異界のジスカル様もさぞやお喜びでございましょう。
さてさて、式の準備も始めねばなりませんな。これから忙しくなりますなあ。」
トワメルは浮き足立っていた。
シェリンダ 「あっ!来た来た!
ユウナ様、やっぱりご結婚なさるんですよね。
もう、からかわないでくださいよ。」
シェリンダがティーダに駆け寄ってきて言った。
ティーダ 「結局、こうなったよなあ
」
シェリンダ 「嬉しくないんですか?」
ティーダ 「まあ、いろいろあるッスよ。
・・・・・あのさ、ユウナがどこにいるか知らないか?」
シェリンダ 「ユウナ様は、試練の間へ向かわれたようです。シーモア老師とご一緒でした。」
それを聞いて、ティーダたちは試練の間へ向かった。
と、その時、脇の部屋から女官がおびえて出てきた。
女官 「ジスカル様!!
・・・・・・・・ユウナ様のお荷物のスフィアが・・・・。」
ティーダたちはその部屋に入った。
アーロン 「これがユウナを悩ませる原因・・・だな。」
そう言ってアーロンはティーダにスフィアを渡した。
ティーダは再生した。
ジスカル 「わしがこれから言うことは、曇りなき真実。グアドの誇りにかけて誓おう。
心して聞いて欲しい。わが息子、シーモアのことだ。
あやつが何を考えておるのか、わしにもわからぬ。見えるのは、ただあやつの胸に燃え盛る黒い炎。
あやつはエボンを利用し、グアドを利用し、召喚士を利用し、・・・このままでは、スピラに災いをもたらす者と成り果てるだろう・・・。
わしは・・・まもなく死ぬ。わが子によって、殺められ死ぬ。
・・・・・・・・それは受け入れよう。
わしがふがいないばかりに、あやつは苦しみ、歪んでしもうた。
わしは、シーモアとあれの母親を世間から守ってやれなかった。
わしに科せられた罰として、この死を受け入れよう・・・。
しかし、・・・これを見る者よ。シーモアを止めてくれ。息子を・・・・たのむ。」
アーロン 「・・・・こういうことか。」
リュック 「ユウナ、大丈夫かな?」
アーロン 「ここまで大ごととはな・・・。」
みんなは部屋を出ていった。
ワッカ 「どこへ!?」
ティーダ 「シーモアはヤバイ。それははっきりしただろ!」
ワッカ 「相手はエボンの老師だぞ。」
ティーダ 「んああああ!じゃあワッカはここにいろよ!」
耐え切れずにティーダは叫んだ。
ルールー 「ワッカ、行こう。話しを聞いてみよう。」
ワッカ 「どうなっちまってんだよ・・・。」
ワッカは頭を抱えながらみんなの後を追った。
アーロン 「キマリが待っている。先に行け。」
ティーダ 「うっす!」
ティーダは先に走っていった。
アーロン 「相手の出方次第では・・・・やる。」
後から来たワッカに言った。
アーロン 「覚悟しておけ。」
ワッカ 「ははは・・・・。アタマん中、真っ白だぜ・・・・。」
ルールー 「老師に非があれば・・・・・仕方ない!」
ルールーはすでに覚悟を決めているようだった。
試練の間をガードだけでかいくぐり、祈り子の部屋の前まで来た。
シーモアは奥の扉の前にいた。
ティーダ 「シーモア!」
怒りでいっぱいの叫びだった。
シーモアはゆっくりと振り返ってティーダたちを見た。
シーモア 「お静かに。ユウナ殿が祈り子と対面中です。」
ティーダ 「うるせえ!」
ティーダはシーモアを睨みつけた。
その時、奥の扉が開き、ユウナが出てきた。
ティーダ 「ユウナ!」
ユウナ 「どうして!?」
ユウナはティーダたちに駆け寄った。
ティーダ 「ジスカルのスフィア見たぞ!」
シーモアが小さく反応した。
アーロン 「・・・・・・・・殺したな。」
シーモア 「それがなにか?
もしや・・・、ユウナ殿もすでにご存知でしたか?」
頷くユウナ。
シーモア 「ならば、なぜ私の元へ?」
ユウナ 「私は・・・・・・・・・・・、あなたを止めに来ました。」
振り返り、シーモアを見て言った。
シーモア 「・・・・・なるほど。あなたは私を裁きに来たのか。」
そう言うと、シーモアはユウナに手を差し伸べた。
ユウナはティーダたちの方へ下がった。
シーモア 「残念です。」
そして、シーモアの目の色が変わった。
ティーダたちは守るようにユウナを囲んでシーモアを睨んだ。
シーモア 「・・・なるほど。
命を捨てても召喚士を守る誇り高きガードの魂・・・。見事なものです。
よろしい!ならばその命、捨てていただこう!」
シーモアは右手を挙げ、連れてきていたグアド族を戦闘体制にした。
ユウナ 「シーモア老師。ガードはわたしの大切な同士です。その人たちに死ねと言うのなら、わたしもあなたと戦います!」
ユウナも構えた。
ティーダ 「おっし!」
ティーダたちはいつでも戦える。
が、ワッカだけは違った。
ワッカ 「シーモア老師!!」
すがりつくように叫ぶワッカ。
シーモア 「覚悟を決めなさい。」
ワッカ 「老師!もうやめましょう!」
シーモアは黙ったままだった。
ワッカ 「ちっくしょう・・・。どーなってんだよ。」
ユウナ 「老師様が相手でも、わたし、戦います!」
シーモア 「結構。そのひたむきな眼差し、実に美しい。」
ティーダ 「最初っからおまえのこと気に食わなかったんだよ!」
シーモア 「ほう。それはまことに申し訳ない。」
ティーダ 「なめんな!」
ティーダたちはシーモアの魔法攻撃を受けながらも戦った。
すると、シーモアが召喚獣を出した。
シーモア 「私の闇を知るがいい・・・。
出でよ、アニマ!」
ルカで出した召喚獣だ。
ティーダ 「ユウナ!新しい召喚獣だ!!」
ユウナ 「祈り子様、力を貸して!」
ユウナはシヴァを召喚した。
シヴァのダイヤモンドダストでアニマを消した。
シーモア 「アニマを退けたその力、なんとしても手に入れよう。」
シーモアは連続魔法で攻撃してきた。
傷つきながらも、ティーダたちはシーモアを倒した。
深手を負ったシーモアに近づくユウナ。
シーモア 「今更、・・・・私を哀れむのですか。」
ユウナは何も言わずにシーモアを見ていた。
シーモアはばったりとその場に倒れた。
すると、寺院側の扉が開いた。
トワメル 「おお・・・・シーモア様!?
い、いったい何が!」
慌ててシーモアに駆け寄るトワメル。
ワッカ 「オ・・・オレは・・・・。」
まだ混乱の中にいるワッカ。
ティーダ 「ワッカ、気にすんな。先に手を出したのはシーモアだ。」
トワメル 「なんと!あなたたちが!」
驚いてティーダたちを見るトワメル。
アーロン 「ユウナ、送ってやれ。」
トワメル 「お止めなさい!反逆者の手は借りません。」
そう言うと、従者たちにシーモアを抱えさえ出て行った。
ユウナはその場にへたへたと座り込んだ。
ユウナ 「・・・・・・反逆者・・・・・・・。」
ワッカ 「もう、・・・・・終わりだ。」
ティーダ 「ちょっと待てよ!悪いのはシーモアだろ!それを説明すれば、みんなわかってくれるって!」
アーロン 「それほど甘くはないだろうが・・・。
とにかく、ここを出るぞ。」
ティーダたちは試練の間を出た。
そこには、トワメルたちが睨みをきかせて待っていた。
ユウナ 「あの・・・・。」
アーロン 「申し開きの機会をくれ。」
ユウナたちの言葉をトワメルは無視した。
トワメル 「他の老師たちにはわたしが報告しておきましょう。」
アーロン 「と言うと?」
トワメル 「シーモア様は、エボンの老師である前に、グアドの族長ですから。」
ティーダ 「やる・・・・・ってことッスか。」
トワメル 「ここから無事に帰してしまっては、シーモア様が許しますまい。」
リュック 「待ってよ~!
ほら、あのスフィアを見ればわかってくれるよ!」
トワメル 「これですかな?」
トワメルはジスカルのスフィアを叩き割った。
トワメル 「グアドの問題はグアドが解決します。」
キマリ 「どけ!」
アーロン 「走れ!」
ティーダたちは強行突破した。
グアド族の追っ手をうまくかわしながら寺院を出た。
グアド族に追われながら湖に出た。
そこにはウェンディゴという雪男のような魔物がいた。
ティーダたちはグアド族とのはさみうちになった。
やるしかない。
ティーダたちは戦った。
ウェンディゴは倒れる寸前に残りの力を振り絞り、凍った湖面を殴った。
氷にひびが入り、ティーダたちはその中へ落ちた。