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妄想劇場

現実逃避の日々

マカラーニャの森を抜けると、広い平原に出た。

ルールー  「ナギ平原。歴代の大召喚士様が『シン』と戦った土地。

        そして・・・・・道が終わるところ。

        この先には、もう街も村もない。道なき荒野よ。」

アーロン  「だからこそ、道を見失って迷う召喚士もいる。」

ユウナは空を見上げ、その場に仰向けに寝転がった。

そして、ゆっくりと深呼吸をした。

ユウナ  「わたしは・・・・迷わないよ。」

ティーダはユウナに手を伸ばした。

ティーダ  「オレ・・・・死なせない。

        絶対なんとかする。」

ユウナは起き上がってティーダの手をとった。

ユウナ  「・・・・・うん。」

ユウナはみんなの方を向いた。

ユウナ  「行こう。」


ティーダ  「絶対・・・・なんとかする。

        言葉にすれば本当になる。

        そう・・・信じたかったんだ。」


しばらく行くと、メイチェンが平原を眺めていた。

メイチェン  「ご存知のとおり、この平原はかつては戦場でした。ベベルとザナルカンドが争った、いわゆる機械戦争ですな。

        戦のせいで、なーんにもない野っぱらとなったのですわ。

        やがて、時は流れ・・・、召喚士たちがこの無人の地に目をつけました。

        ここならば激しく戦っても周囲に被害を及ぼしません。『シン』との決戦にうってつけ、というわけですな。

        究極召喚を手に入れた召喚士は、ここで『シン』を待ったそうですわ。

        いったいどんな気持ちだったのでしょうなあ・・・・。

        ともあれ、『シン』はこの地に倒れ、スピラにナギ節が訪れるのですな。

        ですから、ここはナギ平原。

        誰が呼ぶともなく、ついた名前ですわ。」



平原の真ん中に旅行公司があった。

そこで休憩していると、向こうから男の人が歩いてきた。

ルールー  「ズーク先生!」

ズーク  「久しぶりだな。

       ユウナさんだね?

       ふむ・・・・。とてもキノック老師を殺した犯人には見えないね。」

ワッカ  「なんだそりゃ!?」

ワッカはいきり立った。

ユウナはワッカの前に立った。

ユウナ  「事情を聞かせて下さい。」

ズーク  「先ほど、マイカ総老師じきじきの指令が出た。

       召喚士ユウナとガードがキノック老師を暗殺して逃亡。

       発見次第誅殺せよ・・・・・処刑宣告だ。」

ユウナは下を向いた。

アーロン  「他にベベルの状況は?」

ズーク  「表向きは静かなものだが、水面下でごたついている。

       キノック老師が亡くなった上に、ケルク=ロンゾ老師が辞任した。」

アーロン  「好都合だな。エボンが混乱すれば、それだけ動きやすい。」

ズーク  「だが、用心したまえ。今や君らはエボンの敵だ。

       寺院にも近づかない方が賢明だね。」

ユウナ  「ご忠告、ありがとうございます。」

ユウナは深々と頭を下げた。

ルールー  「先生、それだけを伝えるためにここまで?」

ズーク  「君たちがガードをしている召喚士がどんな人なのか、いささか興味があったのでね。

       今度は最後まで行けるといいね。何よりも君自身のためだ。」

ルールー  「はい・・・・先生。」

ズーク  「では、私はこれで。無事を祈るよ。」

ズークとルールーはお互い祈りあった。

そしてそのままズークは去って行った。

ティーダ  「今の誰?」

ルールー  「半年前まで召喚士だった人。私とワッカは先生のガードだった。」

ワッカ  「ま、短い旅だったけどな。」

ルールー  「先生は、途中で旅を止めたのよ。この平原でね。

        今はベベル寺院で僧官を勤めているわ。

        私のガードの旅はこれが3度目。ズーク先生は2度目の旅。

        初めての時は・・・、2回ともこの平原で挫折。私、ここを越えたことないのよ。」

ワッカ  「ズーク先生と旅した時はな、・・・・・ほら、いつか話しただろ。

      ブリッツのことが気になって、ガードに専念できなかったってよ。

      だから、先生が旅を止めるって言った時は、正直言ってよ、ホッとしたぜ。」


ティーダは俯いたままのユウナが気になった。

ユウナ  「本格的に、反逆者だねしょぼん

ティーダ  「言いたいヤツには言わせとけって。」

ユウナ  「大丈夫。気にしてないから。

       ・・・・・・・・やっぱり少し・・・・きついかな。

       割り切るのは難しいね。」

ティーダ  「無理に割り切ろうとしないでさ、キツけりゃグチっちゃえよ。」

ユウナ  「グチかあ・・・・。

       ・・・・そのうち、言っちゃうかも。」

ティーダ  「うん。」

ユウナ  「・・・・・・父さんもこの平原で迷ったのかな。」

ユウナは気分を変えようと話を変えた。

ティーダ  「かもよ。オレのオヤジと一緒にさあ。」

ユウナ  「アーロンさんに聞いてみようか。」

ティーダ  「あのおっさん、そういうこと話さないんじゃないか?」

ユウナ  「『他人には関係ない』とか言って?」

ユウナはアーロンの真似をした。

ティーダは笑った。

ティーダ  「そう言うワリに自分は他人を巻き込むんだよな。」

ユウナも笑った。

ユウナ  「ザナルカンドまで、あと少しだね。」


心配そうに見つめるティーダをリュックが引っ張った。

リュック  「もう、止められないのかな。」

ティーダ  「ユウナ、決めちゃってるからな。」

リュック  「でもさ、ほっとけないよ。」

ティーダ  「ほっとかないって。

        究極召喚を使っても、ユウナが無事なようにする。」

リュック  「どうやって?」

ティーダ  「その方法を考える。」

リュック  「でも、何も考えつかなかったら?」

ティーダ  「・・・・もうリュックとは話さない。

        でもでもってうるさいむっ

リュック  「ごめん・・・・しょぼん

リュックは下を向いた。

ティーダ  「一緒に考えようよ。」

リュック  「うん。」

ティーダ  「んでさ、もし、何も考えつかなくても、・・・・・なんとかしようグー

リュック  「うん!」

旅行公司を出ても、リュックは頭を抱えながら歩いた。




途中でベルゲミーネと会った。

ベルゲミーネ  「ああ、おまえたちか。今や完全に反逆者だな。」

ティーダ  「どーだっていいだろ。」

ベルゲミーネ  「なに、老師どものたわごとなど聞き流せばいい。  

          召喚士は打倒『シン』がすべて。寺院に従う道具ではない。いいな。」

ユウナ  「・・・・・はい。」

ベルゲミーネ  「どうだ、『シン』を倒せる自身はついたか?」

ユウナ  「わかりません。でも、わたし、やります。」

ベルゲミーネ  「よい覚悟だが、それだけでは『シン』は倒せん。

          おまえの力を見せてもらおう。召喚獣で勝負だ。」

ユウナはベルゲミーネに勝利した。

ベルゲミーネ  「さすがだな、すばらしい技量だ。

          反逆者になっても『シン』と戦おうとするだけはある。」

ユウナ  「ありがとうございます。」

ベルゲミーネ  「おまえならばきっとやれるだろう。

          だが、もし、まだ力が足りないと思うなら秘められた寺院レミアムを探せ。

          私はそこで待つ。ではな。」

そう言うと、ベルゲミーネは去って行った。




ナギ平原の北側は底深い谷になっていた。

見張り  「この谷は『シン』の爪あとです。

      大召喚士に追い詰められた『シン』が最後の力で大地を裂いたという言い伝えです。

      傷ついた大召喚士と『シン』は、谷底で相打ちとなり、ナギ節が訪れたのです。」




ティーダたちはしばらくしてチョコボ屋からチョコボを借りた。

チョコボで平原中を探索すると、チョコボが隠された道を発見した。

先へ進むと、ひっそりと寺院があった。

中に入るとベルゲミーネがいた。

ベルゲミーネ  「よく来たな、ユウナ。」

ユウナ  「ここは・・・・いったい・・・。」

ベルゲミーネ  「レミアム寺院。

          かつてナギ平原の中心地だったが、『シン』に襲われ見捨てられたのだ。」

ティーダ  「そんなとこに一人で住んでんのかよ。

        あんた・・・・何者なんだ?」

ベルゲミーネ  「話せば長くなるな・・・・。これでわかるはずだ。」

ベルゲミーネの体から幻光虫が現れた。

ティーダ  「あんたも死者か・・・・。」

ベルゲミーネ  「異界送りはやめてくれよ。

          こんな体になっても私にはまだやれることがある。

          若く未熟な召喚士の修行に力を貸す・・・・。それが私の役目だ。

          さあ、ユウナ。

          『シン』を倒す力が欲しければ、召喚獣で私に挑むがいい。」

ユウナは召喚獣で応戦した。

そして勝利した。

ベルゲミーネ  「成長したな、ユウナ。

          私にとっても喜ばしいことだ。」
ベルゲミーネは微笑んだ。

ティーダたちはレミアム寺院を後にした。




平原を抜けると、橋が架かっていた。

橋を渡っていると、グアド族に呼び止められた。

グアド  「止まれ。

      シーモア様がお呼びだ。共に来てもらおう。」

ユウナ  「シーモア老師と話すことなどありません。」

ユウナははっきりと言った。

それを聞いてティーダたちはユウナを守るように囲んだ。

ティーダ  「ちゅうわけだ。どけよ。」

グアド  「シーモア様の命令は絶対。必ずお連れする。

      シーモア様はおっしゃられた。死体でもかまわぬ、とな。」

そして足音を響かせながらやってきたのは護法戦機だった。

ティーダたちが護法戦機を倒した時には、もうグアド族はいなくなっていた。


ふと、ティーダが下へ降りる道を見つけた。

ティーダ  「こっちの道は違うのか?」

ルールー  「それ、谷底に降りる道よ。」

ワッカ  「よく知ってんなあ。」

ルールーは何も答えなかった。

ワッカ  「・・・・・・・・あん?」

不思議そうにワッカはルールーを見ていた。




谷底へ降りると洞窟があった。

リュック  「ここ何~?」

ルールー  「奥に、祈り子様がいらっしゃるわ。

        ・・・・・・・魔物もね。」

ワッカが思い出したようにルールーに聞いた。

ワッカ  「おい、・・・・・ここか?」

ルールーは頷いた。

ティーダ  「なんか、あったの?」

ルールー  「私が初めてガードを勤めた召喚士・・・、ここで死んだの。

        ・・・・・・・・・・行きましょう、ユウナ。祈り子様が待ってるわ。」

ユウナはルールーを気にしながらも中へ入った。

ルールーはふうっと一息ついてみんなの後を追った。


リュック  「う~・・・・・。
       な~んでこんなとこに祈り子があるんだろ?」

リュックは薄暗い洞窟におびえながらティーダに訴えた。
ティーダ  「オレに聞くかあ?」
ルールー  「ずいぶん前に、寺院から盗まれたそうよ。」
ティーダ  「は?」
アーロン  「祈り子がなければ、召喚士は修行にならん。
        修行が足らねば、究極召喚も手に入らん。
        究極召喚がなければ、『シン』とは戦えん。
        そういうことだ。」
リュック  「そしたら、召喚士も死なない?」
ワッカ  「ま、そう考えた奴が盗んだんだろうな。」
ティーダとリュックは顔を見合わせて、ユウナを見た。
ティーダ  「犯人の気持ち・・・・わかるな。」
リュック  「うん。」


祈り子の部屋の前まで来ると、突然ワッカが叫んだ。

ワッカ  「ちっ!グアドの魔物か!?」

キマリ  「違う。死者だ。」

現れたのは幻光虫を身にまとった人間だった。

ルールーが前に出た。

ルールー  「やはり、あなたなのですね、ギンネム様。

        私が、・・・・未熟だったばかりに・・・。」

ユウナは異界送りをしようと構えた。

ギンネムはそのユウナを振り払った。

ルールー  「もう、人の心はなくしてしまったのですね。

        ・・・・・・・・・・・・・わかりました。

        ガードとしての最後の勤め、果たさせていただきます。」

ティーダたちはギンネムを倒した。

ルールー  「不思議ね、もっと悲しいと思ってた。

        人と別れることに慣れすぎたのかな。」

ルールーは俯いた。

ワッカ  「強くなったんだろ。」

ルールー  「・・・・そうだね。

        そうだといいね。」

顔を上げるルールー。

ルールー  「ユウナ、祈り子様はこの奥。祈りをささげていらっしゃい。」

ユウナは頷き、中に入った。


ユウナが祈ると、祈り子が現れた。

祈り子  「我こそは、無頼の剣客、音に聞こえた用心棒。

      召喚士に問う。そなた、なにゆえ我を求める?

      我の力を求めるならば、ふさわしい銭を納めよ。」

ユウナは用心棒の望む金額を支払った。

祈り子  「よかろう。客と認めたぞ。片手間に一働きしてやろう。

      召喚士よ、そなたの旅路、我が剣術にて守ろうぞ。」

こうして、ティーダたちは盗まれた祈り子の洞窟を後にした。




ガガゼト山へ向かう途中、ユウナはふと後ろを振り返り、じっと景色を見た。


ティーダ  「時々、あんな顔で風景を見てた。

        その意味、やっとわかったよ。

        通り過ぎる景色にお別れをしてたんだよな。」


ユウナは笑ってティーダに頷いて先を歩いた。

ティーダたちはマカラーニャの森に逃げ込んだ。


ティーダ  「なんとか無事に逃げ切れたけど、ユウナは相当まいってた。

        仕方ないよな、ずっと信じてきたエボンに裏切られたんだし。

        なんとかしなきゃって思ったさ。だけど・・・・・。

        オレ、どうすればいいか全然わからなくて、それで・・・・。」


野営地で休憩をとっていた。

アーロンが見回りから戻ってきた。

ワッカ  「どうでした?」

アーロン  「追ってはない。

        だが、今後ベベルに近づくべきではないな。

        ・・・・・・・ユウナは?」

リュック  「一人になりたいってさ。」

アーロン  「だろうな・・・。」

ワッカ  「ユウナ・・・・辛いだろうな。」

リュック  「ユウナ、どうするんだろ。

       旅、やめちゃうのかな。」

ティーダ  「そっちの方が、いいだろ?」

リュック  「うーん・・・・・。

       ユウナがホントに旅を続けたかったら、邪魔しちゃいけないのかな・・・とか、そんな風にも思っちゃうんだ。

       究極召喚で『シン』を倒すけど、召喚士は死なない、そういう作戦、ないかなあ・・・。」

リュックは何か考え始めた。

ルールー  「ユウナは森の奥よ。キマリがついていったけど、あんたも行ってみたら?

        あんたにしかできないこと、あると思うわ。」

ティーダはユウナのところへ向かった。




森の奥に行くと、湖に立つユウナをキマリが見つめていた。

ティーダは思い切ってユウナのそばに行った。

ユウナ  「こんなはずじゃなかったのにな・・・。

       みんなに応援してもらって、笑って行けると思ってたんだ。

       頑張ってたのになあ・・・・・。」

ユウナは半泣き状態で、空を見ていた。

ティーダはゆっくりと湖に入った。

ティーダ  「もう・・・・、頑張るのやめろよ。

        ・・・・・聞いたんだ、・・・・・全部。」

ユウナ  「全部?」

ユウナはティーダを見た。

頷くティーダ。

ユウナ  「そっか・・・・。知ってるんだ。」

ティーダ  「うん。・・・・ごめん。

        ほら・・・、その・・・・、オレ、いろいろ言っちゃったろ。

        早く『シン』倒そうとか、ザナルカンド行こうとか、ユウナがどうなるかも知らないでさ。

        なんつーか・・・・、ヤな思いさせたかなって。・・・・悪かった。」

ユウナ  「そんなことない。

       楽しかった。」

ユウナは思い出して笑顔を見せた。

ティーダは湖に浮かんだ。

ティーダ  「・・・・・・・あのさ、思い切ってやめちゃおう。」

ユウナ  「頑張ること?」

ティーダ  「ううん、・・・・・・旅。

        『シン』とか、召喚士とか、そういうの忘れてさあ、・・・・うん、ふつうっつうか、・・・地味に暮らすのも悪くないって。」

ユウナ  「・・・・・いいかもね。」

ユウナは力なく答えた。

びっくりして起き上がったティーダはユウナを見た。

ユウナは下を向いていた。

ユウナ  「・・・でも、みんなびっくりするよね。」

ティーダ  「うん。

        大丈夫、リュックは賛成してくれる。ルールーとワッカもなんとかなんだろ!」

ユウナ  「キマリもわかってくれると思う。アーロンさんは・・・・。」

ティーダ  「任しとけって。オレがハナシつけるッス!」

ユウナ  「ううん、わたしから言うよ。ちゃんとしなきゃ。」

そう言うと、ユウナはゆっくりと湖に浮かんだ。

ユウナ  「・・・・・旅、やめたら何しようかな。」

ティーダ  「うーん・・・・・、あ、ザナルカンド!ザナルカンド行こう!!」

ユウナ  「え?」

ティーダ  「あああ、スピラのじゃなくて、オレんち!」

ユウナ  「ああ。」

ティーダ  「ほら、あの飛空挺借りてさ、みんなも連れてこう。んで、オレんちでパーっとやるんだ。」

ユウナは起き上がった。

ユウナ  「わたし、ブリッツ見たいな。」

ティーダ  「うん!」

ティーダは力いっぱい頷いた。

ユウナ  「キミのザナルカンド・エイブスだよ。」

頷きっぱなしのティーダ。

ユウナ  「真夜中のスタジアムでみんなで応援するんだ。

       喉枯れるくらい叫んで思いっきり騒ぎたい。」

ティーダ  「おお。了解ッス!」

ユウナ  「・・・・ねえ、試合終わったら?」

ティーダ  「そりゃ遊びに行くさ!」

ユウナ  「真夜中に?」

ティーダ  「はは。大丈夫!ザナルカンドは眠らない。

        ・・・・・・・・・・夜明け前に、海を見に行こう。

        街の灯がひとつずつ消えて、星も消えて・・・・・、代わりに水平線がぱーって明るくなってく。

        バラ色っていうんだろうな。海と、空と、街も・・・全部染まる。

        きれいなんだ・・・・、すごく。

        ユウナにも見せたい。」

ティーダは空を見ながらザナルカンドを思い出していた。

ユウナ  「うん・・・・。見に・・・・行きたいな。」

ティーダ  「連れてくって!一緒に行こうよ。」

ティーダは嬉しそうにユウナを見た。

ユウナはぽろぽろと涙を流していた。

ティーダ  「ユッ・・・・。」

ユウナ  「・・・・・できないよ。・・・できないんだよ。

       ・・・・・・・・・・・・・・・・行けないよ・・・・。」

とうとうユウナは泣き出した。

ティーダはそんなユウナを優しく見つめて肩に手を置いた。

ティーダ  「ユウナ。」

ユウナは顔を上げてティーダを見た。

ティーダは優しく微笑んでいた。

そして、ティーダはユウナにキスをした。

びっくりするユウナだったが、そっと目を閉じてティーダを受け入れた。




ユウナ  「旅・・・・、続けるよ。」

二人は、湖のほとりに並んで座っていた。

ティーダ  「うん。」

ユウナ  「やめちゃったらね・・・、どこで何をしていても、・・・・・・・・きっと辛い。

       キミと一緒にいても、・・・・わたし、きっと笑えない。」

ティーダ  「・・・・・うん。」

ユウナはティーダを見た。

ティーダの悲しそうな顔を見て、ユウナは俯いた。

ティーダ  「・・・・・・オレも行くから。」

ユウナ  「え?」

ユウナはまたティーダを見た。

今度は笑顔のティーダ。

ティーダ  「ガードだからな。」

ユウナは答えずにティーダを見つめていた。

ティーダ  「もしかして、クビ?」

ユウナは笑って首を横に振った。

ユウナ  「最後まで、お願い・・・・します。」

頭を下げるユウナ。

ティーダ  「最後じゃなくて・・・・、ずっと。」

ユウナは頷いて答えた。

ユウナ  「・・・・・・・ありがと。」

その様子を見ていたキマリは先にみんなのところへ帰っていった。

その顔には、今まで見せたことのない優しい笑顔が浮かんでいた。

ユウナ  「・・・・・・・・ね、先にみんなのところへ戻る?」

ティーダはユウナの気持ちを考えて答えた。

ティ-ダ  「はーい。」

ティーダはユウナに微笑みかけてみんなのところへ行こうとした。

空を見上げると、一面の星空だった。

ティーダは思わず見とれていた。

その時、指笛が鳴った。

ティーダはユウナのところへ戻った。

駆け寄るユウナ。

ユウナ  「やっぱり、一緒に行く。」

ユウナは照れたように微笑んだ。

ティーダは頷いた。

ユウナは、前を歩くティーダの手をそっと握った。




みんなのところに戻ると、みんな心配そうに立ち上がった。

ユウナ  「えっと・・・・・。

       ・・・・・・・・アーロンさん。

       ワッカさん。」

ユウナは順番に目を合わせていった。

ユウナ  「ルールー。

       ・・・・・・・キマリ。

       リュック。

       ・・・・・・・・・・・夜が明けたら、出発します。

       ・・・・それから・・・・、いろいろ心配かけて、ごめんなさい。」

みんなに頭を下げるユウナ。

ユウナ  「あの・・・。」

アーロン  「もういい。

        ゆっくり・・・・、休んでおけ。」

ユウナ  「はい。

       おやすみなさい。」

笑顔で答えるユウナ。




そして、夜が明けた。

ユウナは真っ白なベールをまとい、シーモアの隣を歩いていた。

その表情は真剣だった。

マイカのいる壇上までの階段を上がっていると、雲の隙間から飛空挺が見えた。

キノックを始め、寺院の兵士たちは飛空挺に銃を向けた。

キノック  「撃て!」

一斉に砲撃される。

飛空挺から大きなワイヤーが下ろされる。

ティーダたちはそのワイヤーをつたって地上に降り立った。

ティーダたちが降り立つと、そのワイヤーも打ち切られ、飛空挺は遠くに飛んでいった。

シーモア  「来なさい。」

シーモアはユウナの手を引っ張り、壇上に上がった。

ティーダ  「ユウナ!!」

ティーダは待ちきれないとばかりにユウナの元へ走ろうとした。

キノック  「茶番は終わりだ。」

キノックは銃を向けた。

ティーダはキノックを振り払おうとした。

が、アーロンがそれを止めた。

アーロン  「見ろ。」

気がつけば、多くの兵士に取り囲まれていた。

キノックはティーダに銃を突きつけた。

シーモアはその様子を壇上から見下ろして笑っていた。

ユウナはこの時を待っていた。

隠し持っていたロッドを出した。

そして、シーモアに向けた。

シーモア  「偽りの花嫁を演じてまで、私を異界に送りたいと?

        強情な方だ。それでこそ我が花嫁にふさわしい。」

ユウナは異界送りを始めようとした。

マイカ  「やめい!」

マイカの言葉にユウナの手が止まった。

マイカ  「この者どもの命、惜しくはないのか。

      そちの選択が仲間の命運を決める。

      受け入れるのか、見捨てるのか。どちらを選ぶのだ?」

ユウナは力なくロッドを手放した。

シーモア  「それでいい。」

そう言うと、シーモアはユウナを抱き寄せた。

ティーダたちはもどかしくも、その光景をただ見ているだけだった。

そして、シーモアはユウナに口づけをした。

祝福の鐘が鳴り響いた。

多くの拍手が鳴った。

ユウナは手に力をこめて握った。

その様子に、ティーダの怒りは最大限に膨れ上がった。

シーモアはユウナから唇を離すと、命令した。

シーモア  「殺せ。」

キノック  「悪いな。エボンの秩序のためだ。」

キノックは笑いながら銃を向けた。

アーロン  「教えに反する武器のようだが?」

キノック  「時と場合によるのだよ。」

その時、ユウナが叫んだ。

ユウナ  「やめて!

       武器を捨てなさい。でないと、わたし・・・。」

ユウナはその高台から飛び降りようとしていた。

シーモアはそれを見て、キノックたちに武器を下ろさせた。

ティーダたちは走ってユウナの元へ向かった。

ユウナ  「早く逃げて!お願い!」

ティーダ  「一緒にだろ!」

ティーダも叫んだ。

ユウナ  「大丈夫、わたしも逃げるから!」

シーモア  「やめなさい。落ちて助かる高さじゃない。」

ユウナは唇を乱暴にぬぐった。

そしてティーダを見た。

ユウナ  「平気だよ、わたしは飛べる。・・・・信じて。」

ティーダは仕方なく頷いた。

それを見て、ユウナは微笑んで、目を閉じて飛び降りた。

ティーダ  「ユウナ!!」

ティーダやシーモアは上からその様子を見ていた。

飛び降りながら、ユウナは召喚獣を呼び出していた。

召喚獣ヴァルファーレはすぐに飛んできて、落ちるユウナを受け止めた。

そして、ゆっくりと降りていった。

リュック  「目つぶって!」

安心したところで、リュックが閃光弾を投げた。

光に乗じてみんな走った。

ワッカ  「なんだ、今の!?」

リュック  「アルベド印の閃光弾!」

ティーダ  「おろせって。シーモアをぶっ倒してやるっ!」

キマリに抱えられながらティーダは叫んでいた。

キマリ  「おろさない。ユウナは逃げろと言った。」

ルールー  「あの子と合流するのが先。」

アーロン  「切り抜ける!」

リュック  「ユウナ、どこに行ったんだろ~?」

キマリ  「ベベル宮は寺院。ユウナが行く目指す場所はひとつ。」

ティーダ  「試練の間か!」

ティーダたちは試練の間へ走った。

ルールー  「静かすぎるわね・・・。ワナ?」

ティーダ  「ワナでも関係ない。ユウナが待ってんだ!」

ティーダは焦っていた。

リュック  「お?」

リュックはそばにある機械をいじり始めた。

どうやらエスカレーターを動かす機械のようだ。

ワッカ  「なんで寺院に機械があんだよ・・・?」

リュック  「だって、便利だし。」

ワッカ  「そういう問題じゃねえ!教えはどうなってんだ、教えは!」

リュック  「あたしに言われても困るよ!」

リュックの言葉にワッカは黙るしかなかった。

エスカレーターを降りると、また機械があった。

ワッカ  「まぁた機械かよ・・・ガーン

ワッカは混乱していた。

アーロン  「これがエボンの本質だ。自らの教えを、影で裏切っている。」

ワッカ  「はぁ~、・・・・・人をコケにしやがって・・・・プンプン

混乱が、怒りに変わった。

ルールー  「ここが試練の入り口ね。」

リュック  「ユウナ、ホントにいるのかな。」

ワッカ  「行きゃあわかる!」

ルールー  「行きましょう!」

ティーダたちは試練の間に入った。

ティーダ  「ユウナは!?」

ワッカ  「たぶん中だ!」

ティーダ  「たぶんじゃなくて、確かめろよ!」

そう言うと、ティーダは祈り子の部屋の扉を開けようとした。

ワッカ  「お、おい・・・・あせる

ティーダ  「今更、掟もないだろ!」

ティーダは重い扉を動かそうと力をこめた。

するとキマリがティーダと一緒に開け始めた。

二人で力を合わせてやっと扉が少し開いた。

キマリはティーダを見て、頷いた。

ティーダも頷き、中へ滑り込んだ。

そこには祈るユウナと、ユウナの前にあの、ザナルカンドで会ったフードをかぶった子供がいた。

ティーダ  「なんなんだ・・・?」

アーロン  「祈り子だ。

        召喚士の心と重なり、召喚獣の力を授ける。

        エボンの秘術で取り出され、像に封じられた人間の魂。あれもまた、哀れな死者だ。」

アーロンがティーダの後に入ってきて言った。

ユウナが祈り続けていると、目の前のフードをかぶった祈り子はすうっと飛んで、ユウナの中に入った。

ユウナはそのまま倒れた。

ティーダ  「ユウナ!」

駆け寄るティーダ。

その様子を見て、アーロンは先に部屋を出た。

ティーダはユウナを抱いて、部屋を出た。

リュック  「待って!出てきちゃダメー!!」

ティーダが部屋を出ると、周りをキノックたち兵隊に囲まれていた。

キノック  「一網打尽。

       おまえたちには、裁判を受けてもらう。」

アーロン  「公平な裁きを期待したいものだな。」

キノックはいやらしい笑みを浮かべて言った。

キノック  「せいぜい祈れ得意げ

ティーダたちは連行された。

裁判官  「これより、エボン最高法廷を開廷する。エボンの名の下、厳正なる審理を行う聖なる法廷である。

       裁かれる者よ、エボンを信じ、真実を述べよ。」

ルールー  「・・・ケルク=ロンゾ老師。」

裁判官はキマリと同じロンゾ族だった。

隣にはマイカ。

両側の参考人席にはシーモアとキノックがいた。

ケルク  「召喚士ユウナ。汝はエボンの民を守る使命をおびた身であろう。」

ケルクは証人台にいるユウナに言った。

ユウナ  「はい。」

ケルク  「ならば問う。

      汝はシーモア=グアド老師に危害を加え、さらに、アルベド族と手を組み騒乱を起こした。

      これは、エボンの秩序を乱す許しがたい反逆行為である。

      何故このような暴挙に及んだ。その意図を延べよ。」

ユウナは下を向いたまま答えた。

ユウナ  「それは・・・・。」

そして、まっすぐにケルクを見た。

ユウナ  「真の反逆者は、シーモア老師です。老師は、父君ジスカル様をその手で・・・!」

ケルク  「なんですと!」

ケルクは慌ててマイカを見た。

シーモア  「おや、初耳でしたか。」

シーモアは冷静に答えた。

ユウナ  「そればかりか・・・、シーモア老師は、すでに亡くなっています!」

ルールー  「さまよう死者を異界に送るのは、召喚士の大切な務め。

        ユウナは召喚士として、当然のことをしただけです。」

ユウナ  「マイカ総老師。どうか、シーモア老師を異界へ!」

マイカ  「死人は異界へ・・・・。そう申すか?」

ユウナ  「はい!」

マイカ  「ふっふっふっふっ・・・・。」

ユウナ  「・・・・・・・老師?」

マイカ  「死人は異界へ、か・・・。」

すると、マイカの体が透け、幻光虫が周りを飛び始めた。

ユウナは驚いた。

マイカ  「さよう。わしも死人よ。」

ワッカ  「なっ!?」

ケルク  「マイカ総老師は、賢明な指導者。死してなお、スピラに必要な人物。」

キノック  「優れた死者による指導は、愚かな生者の支配に勝るのだ。」

シーモア  「生命は所詮、空しい夢。生の後に来る死こそが、永遠。」

マイカ  「人は死ぬ。獣も死ぬ。草木も死ぬ。大地さえも死ぬ。

      スピラのすべてを支配するのは、死の力にほかならぬ。

      逆らうだけ無駄というものよ。」

ユウナ  「ならば・・・『シン』は!

       ・・・・・・わたしは召喚士です!父と同じ召喚士です!

       『シン』がもたらす死を止めようと、旅を続けています!

       それも・・・・、それも無駄だとおっしゃるのですか!?

       ・・・・・・わたしだけじゃない!『シン』に立ち向かってきたたくさんの人たち・・・、その人たちの戦いも、犠牲も、みんな無駄なんですか!?」

ユウナは必死で訴えた。

マイカ  「無駄とは言わぬ。

      確かに召喚士が何人犠牲になろうとも、『シン』は倒せん。復活を防ぐ術はない。

      なれど、戦う者の勇気は民に希望を与えておろう。

      召喚士の生も死も、決して無駄にはならん。」

アーロン  「無駄にはならんが、解決にもならん。」

マイカ  「ふむ・・・。いかにも。それがエボンの真実。」

ユウナ  「マイカ様・・・!」

マイカ  「変わらぬことこそ、エボンの真実。継続こそが、エボンの真実。」

ユウナ  「変だよ・・・・・・。おかしいよ・・・・しょぼん

マイカ  「真実に異を唱える者。これ、すなわち反逆者。」

ユウナ  「マイカ様!」

ユウナの訴えも空しく、ティーダたちは牢に入れられた。

ティーダ  「出せえ!出せってんだコラぁ!

        聞いてんのかあ!」

ティーダは牢の中から叫んだ。

アーロン  「無駄だ。」

みんな、別々の牢に入れられたので、この牢にはアーロンとティーダの二人だけだった。

ティーダ  「う~~。

        ユウナ、どうしてっかな。」

アーロン  「さあな。

        ・・・だが立ち直るさ。強い娘だ。」

ティーダ  「立ち直ったって!旅続けたら死んじゃうんだろ。・・・・・はぁDASH!

ティーダはため息をついた。

ティーダ  「・・・・・スピラってさ。誰かが死ぬとか、殺されるとか、そんなのばっかだな。」

アーロン  「ああ、・・・死の螺旋だ。」

ティーダ  「あ?」

アーロン  「死を撒き散らす『シン』に挑んで召喚士たちは死んでゆく。

        召喚士を守るために、ガードは命を投げ出して死ぬ。

        祈り子の正体は、死せる魂。エボンの老師は、死人。

        スピラには死が満ちている。

        『シン』だけが復活を繰り返し、死を積み重ねてゆく。

        永遠にめぐり続ける、死の螺旋だ。」

ティーダ  「・・・・・はぁあ~DASH!

ティーダは大きなため息をついた。

すると、向こうからキノックがやってきた。

キノック  「出ろ。おまえらの処分が決定した。」

アーロン  「処分?処刑の間違いではないのか。」

キノック  「何を言う。親友を処刑するはずがなかろう。」

またキノックはあのいやらしい笑いを浮かべた。

アーロン  「よく言う。」

ティーダたちは処分場につれて行かれた。

兵士  「さて、次はおまえか?」

ティーダの前に立って言った。

ティーダ  「どういう処分だあ!?」

ティーダが聞くと、兵士はティーダに銃を突きつけた。

そして、水の中に突き落とした。

ティーダ  「わぁ!?」

兵士  「さっさと行け!」

ティーダ  「みんなはどこにいんだよ!」

ティーダは叫んだ。

兵士  「そこら辺に浮いてんじゃねえか?」

どうやら、溺れさせようとしているらしい。

ティーダは泳いでそこらを見回した。

ワッカ  「おおっ!無事か!」

途中でワッカとリュックと合流した。

ティーダ  「どういう処分なんだ?」

ワッカ  「野たれ死に狙いってヤツかもな。」

ティーダ  「インケンなやり方!」

リュック  「ユウナは?」

ティーダ  「わからない。」

リュック  「ここで待ってたら来るかなあ。」

ティーダ  「うーん・・・・。

        出口で待とう。」

リュック  「出口・・・・・・あんのかな。」

リュックはだだっ広い水路を見回した。

とにかく水路の中を3人で泳いで進んだ。

しばらく行くと、広い場所に出た。

そこに現れたのは、ゾンビ化したエルフイエ、エルフイエ=オルタナだった。

ティーダたちは3人でエルフイエ=オルタナと戦った。

水中戦を制し、更に奥まで進んだ。

マイカ  「ロンゾの老師はどうした。」

シーモア  「私の父殺しがお気に召さないようで。」

マイカ  「ふおっふおっふおっふおっ・・・・。

      ふむ・・・・。所詮はロンゾよ。頭が固いばかりで、役に立たん。」

シーモア  「それに比べて、召喚士ユウナは大召喚士ブラスカの娘。生かしておけば、利用価値はあります。」

マイカ  「あの娘はエボンの秩序を乱す。生かしてはおけぬ。」

シーモア  「・・・・・かしこまりました。」

キノック  「あきらめろ、シーモア。あの浄罪の路に放り込まれて生きて出た者はおらん。」

マイカ  「なれど万一、突破せぬとも限らぬ。出口に兵どもを配し、あやつらが現れたら始末せい。」

シーモア  「その任、私にお任せを。」

マイカ  「ほう・・・・。花嫁を手にかけると申すか。」

シーモア  「花嫁だからです。せめて私の手で。」

キノック  「待て。オレもゆく。」

シーモア  「私を信用できぬと?」

キノック  「父殺しの男を信用できるか。」

シーモア  「結構。ご勝手に。」

兵士  「ユウナ様、すまねえ!」

ユウナが連れてこられたのは、暗い路だった。

ユウナは手探り状態で先へ進むと、キマリ、ルールー、アーロンに会った。

キマリ  「ユウナ、離れてすまない。」

ユウナ  「ううん・・・・・、いいの。」

今はユウナの顔には笑顔はなかった。

ユウナ  「ルールー、わたし・・・。」

ルールー  「今は何も言わなくてもいいわ。」

アーロン  「どこかに出口があったはずだ。それを探すしかないな。」

入り組んだ迷路のような道を歩き続けていると、イサールと会った。

イサール  「ユウナ君!やはり君か・・・。」

ユウナ  「なぜここに・・・・・。」

イサール  「ナギ平原で飛空挺から降りてベベルに来たら、キノック老師に呼び出されてね。

        反逆者を始末しろとの命令だ。」

アーロン  「やる気か。」

イサール  「寺院の命令は絶対だ。たとえ、ブラスカ様のご息女といえど・・・、やらねばならん。」

ルールー  「ガードは?二人いたはずよ。」

イサール  「マローダとパッセなら、ここにはいない。

        汚い仕事を請け負うのは、僕だけでいい。

        ユウナ君・・・・・・残念だ。」

イサールは召喚獣で向かってきた。

イサール  「さあ、召喚獣で勝負だ。」

ユウナも召喚した。

ユウナの召喚獣の方が圧倒的に強かった。

イサール  「くっ・・・。」

ユウナは倒れたイサールに手を貸そうとした。

イサール  「寄らないでくれ!」

ユウナは俯いた。

ルールー  「ユウナ、行きましょう。」

イサール  「この先に、地上への通路がある。」

ユウナはイサールに一礼して先へ進んだ。

アーロンがイサールに話しかけた。

アーロン  「もう旅はやめろ。」

イサールは下を向いたまま、答えなかった。



浄罪の路を抜けると、ティーダたちとユウナたちは合流した。

リュック  「ユウナ~!

       よかった~!」

リュックはユウナに抱きついた。

リュック  「ほんっとよかった。心配してたんだよ~!」

ユウナも抱きしめ返した。

ユウナ  「うん・・・・。ありがと。」

ティーダ  「あ・・・・・。あのさ・・・あせる

ユウナの辿る先で待っているもの、それを知ってしまったことをティーダは話そうかどうか迷っていた。

すると、向こうからシーモアがグアドの従者を連れてやってきた。

従者の一人はキノックの亡骸を持っていた。

ティーダたちのところまでくると、それを乱暴に投げ捨てた。

アーロン  「キノック・・・!」

ティーダ  「てめえ!」

シーモアは淡々と答えた。

シーモア  「私は彼を救ったのだ。

        この男は権力の亡者だった。大きな権力を得たばかりに、それを失うことを恐れ、見えない敵におびえつつつまらぬ謀略をめぐらす日々。ひとときの安らぎも知らず、追い詰められていたはず。

        だが、もはや思い悩むこともない。永遠の安息を手に入れたのだ。

        死は甘き眠り。ありとあらゆる苦しみを優しく拭い去り、・・・癒す。

        ならば、すべての命が滅びれば、すべての苦痛も・・・また癒える。

        そう思うだろう?」

シーモアはユウナに手を差し伸べた。

シーモア  「だからこそ、あなたが必要なのだ。

        さあ、ユウナ殿。

        ともにザナルカンドへ。最果ての死者の都へ。

        死の力を持ってスピラを救う。そのために。

        あなたの力と命を借りて、私は新たな『シン』となり、スピラを滅ぼし、そして、救う。」

ティーダ  「なんだそりゃあ・・・プンプン

ティーダは怒りでいっぱいだった。

最初に動いたのはキマリだった。

キマリは槍を思いっきりシーモアの胸に突き刺した。

シーモア  「目障りな・・・・。

        よかろう。ならばおまえにも安息をくれてやろう。」

シーモアは体中に幻光虫をまとわせたかと思うと、体を変形させ、異体となった。

キマリ  「走れ!ユウナを守れ!!」

槍を向けたまま、キマリが叫んだ。

アーロン  「行け!」

ティーダ  「おっさん、ふざけんなッ・・・。」

ティーダは振り返り、アーロンを睨んだ。

アーロンは剣をティーダに向けた。

アーロン  「行けと言っている!」

ティーダとユウナは目を合わせ、頷き、そして走った。

ティーダ  「くっそおおおおおお!」

でも、ユウナは立ち止まった。

ユウナ  「キマリを置いて行けません!」

アーロン  「奴はガードだ。おまえを守ることがすべてだ。」

ユウナ  「でも!」

ティーダ  「・・・そうだよ!ガードなんだよ!

        ああ、オレはガードだ!だから、ユウナの行くとこ、どこでもついて行く!」

ティーダは笑ってユウナを見た。

ユウナ  「どこでも?」

ティーダ  「んで、守る!」

ユウナ  「じゃあ・・・。」

ティーダとユウナは頷いた。

ティーダ&ユウナ  「行こう!」

二人はキマリの元へ走った。

ティーダ  「キマリ~!一人でカッコつけんな~!」

ワッカ  「おらぁ!オレも混ぜろ~!」

置いていかれたワッカが叫んだ。

リュック  「あたしも!」

二人はティーダたちを追いかけた。

ルールーはアーロンに笑顔で言った。

ルールー  「私も走ります。」

アーロンもみんなを追いかけた。

一人で戦おうとするキマリを守るようにみんなが集まった。

キマリはそんなみんなを見てあきらめるように首を横に振った。

シーモア  「よくぞ戻ってきたと言いたいが、私と行く気はないようだな。」

ユウナ  「行くのはあなた一人、異界へ送ります!」

シーモアはティーダを見た。

シーモア  「そうか、おまえも死の安息がほしいか。」

ティーダ  「ごちゃごちゃうるせえんだよ!」

アーロン  「おまえが虫けらのように殺したキノックは、あれでも昔の友でな。

        敵はとらせてもらう。」

シーモア・異体は以前のシーモアよりも強力だった。

ティーダたちは異体となったシーモアを倒すと、急いでベベルを出た。

ワッカは心配してリュックに話しかけた。

ワッカ  「まあ、その・・・・あれだ。そんなに落ちこまねえでよ。

      ドカ~ンと一発、景気づけの花火ってことで・・・・なあ?」

リュック  「ぜんっぜん景気よくないよ!サイアク~!!」

リュックに怒られ、ワッカは肩を落とした。

ワッカ  「・・・・ふざけたこと、言っちまったよな、オレガーン

ワッカはティーダに今までのアルベドへの態度を反省して言った。

リュックは大丈夫だと言って、一生懸命笑顔を作ろうとしていた。


ティーダはシドに聞いた。

ティーダ  「ユウナのこと、なんかわかったか?」

シド  「これから調べんだよ。

     今、スフィア波検索装置で調べてるところだから安心しろ!」

ティーダ  「スフィアハケンサクソウチ?」

シド  「1000年前の機械だ。仕組みなんてわからねえから、なんにも聞くんじゃねえぞ!」

ルールー  「何もわからずに使っているの!?」

シド  「おう!

     コイツがどういう仕組みで飛んでるかも、わかってねえ!」

ワッカ  「いっ!?」

ワッカは慌てて身構えた。

シド  「エボンの機械禁止のせいで、オレたちは何にも知らねえ愚か者よ!

     まったく、愉快痛快じゃねえか!」

シドは笑いながらその検索装置をいじり始めた。

そんなシドにアーロンが話しかけた。

アーロン  「ユウナを救出して、その後どうする。おまえの望みは、ユウナの身の安全だろう。

        旅をやめさせるつもりか。」

シド  「あたりめえよ!このまま旅を続けりゃ、ユウナは必ず死んじまう。そんなふざけた話があるか!

     定めだかなんだか知らねえが、黙って姪っ子を死なせられっか!

     ユウナを助けたら、召喚士なんざ、即、廃業させたる!」

アーロン  「ユウナの意志に反しても、か。」

シド  「死んじまうよりゃマシだ!

     文句のある奴ァ前に出ろ。たたき出したるわ!」

アーロン  「・・・・・やむをえんな。」

シド  「おーし!満場一致だな!」

シドは満足そうな顔をした。

アニキ  「トタビ!ユウナオミザキョダカアッサ!

       (オヤジ!ユウナの居場所がわかった!)」

シド  「ゴヨガ!?

     (どこだ!?)」

アニキ  「ミヤ、フユヌ!

       (今、映す!)」

アニキは映像を映した。

ティーダ  「ユウナ!」

そこには花嫁衣裳を身にまとったユウナがいた。

となりにはシーモアがいた。

ティーダ  「どこだ!?」

ルールー  「聖ベベル宮。エボンの総本山よ。」

ティーダ  「おっさん、行ってくれ!」

ティーダはシドに指示した。

シド  「わかってんのか、小僧。ベベルの防衛網はハンパじゃねえ!」

ティーダ  「なんだよおっさん、ビビってんのか!

        そこにユウナがいる。だったら助けに行く。・・・そんだけッスよ!」

ティーダは今までにない強気な態度を見せた。

シド  「へっ、・・・吹かしやがる得意げ

     ・・・・・・・キンノ、ベベルガ!ゲンホルベズッソザヘ!

     (・・・・・・・進路、ベベルだ!全速でぶっとばせ!)」

アニキ  「ニョフアミ!

       (了解!)」

アニキはスピードを一気に上げた。

ティーダはその勢いで後ろに転がった。

シド  「ベベルまではちょいと時間がかかる。その間に・・・・。」

ティーダ  「戦闘準備だろ!」

ティーダは勢いよく起き上がった。

シド  「ユウナはサヌビア砂漠でつかまったらしいな。

     ホームを襲ったグアド族の別働隊が見つけたらしい。 

     ケッ!なにが結婚式だ!乗り込んでブチ壊したるわ!

     見とれよ、エボンの石頭ども!一泡吹かせたる!!」

シドも興奮しているようだ。

それに輪をかけるようにリュックが言った。

リュック  「なんでシーモアが生きてんの!?あんにゃろ、マカラーニャでやっつけたのに!」

アーロン  「死んでいるさ。

        ジスカルと同じだ。強い想いに縛られ、異界に行かずにとどまったのだ。」

リュック  「うわ~!?しつこ!」

ルールー  「おかしいわ。マイカ総老師はなぜシーモアを放置しているの・・・。」

アーロン  「ユウナは、奴を異界送りする気かもしれん。」

リュック  「うまくいくかな?」

アーロン  「シーモアがスキを見せればな。」

みんな、士気が高まっていた。

その時だった。大きく飛空挺が揺れた。

ワッカ  「なんだぁ!?」

リンが操縦室に入ってきた。

リン  「内部からの攻撃です。

     ホームを襲ったグアドの魔物がもぐり込んでいたようですなかお

シド  「何余裕かましてやがる!」

リン  「こういう性格なもので。」

シド  「仕方ねえ!こうなったら・・・・メラメラ

リュック  「『こうなったら、船ごと爆破して一気に倒したるわ!』」

リュックはシドの言わんとすることを先に言った。

シド  「うっ・・・!?」

言葉を失うシド。

それを見てリュックはあきれた。

リュック  「オヤジは手加減ってものを知らないんだからシラー

       そんなことされたら、ユウナ助けに行けないでしょ!

       魔物は、あたしたちがやっつけるグー

ティーダ  「おーっし!やるッス!」

リュックはティーダを見た。

リュック  「・・・・ありがとニコニコ

それを見てリンが微笑んだ。

リン  「リュックさんは、よいお友達を見つけましたな。

     よろしくお願いします。」

そう言って、ティーダの肩をたたいた。




ティーダたちはキャビンへ向かった。

そこで目に入ったのは大型の鳥獣だった。

アーロン  「ほう・・・・、なかなかの見物だ。」

ティーダ  「うわ、でか!?」

リュック  「なにアレ~!?」

ルールー  「エボン守護龍、エフレイエ。聖ベベル宮を防衛する最強の聖獣よ。」

アーロン  「ふっ、最大級の歓迎だ。」

ティーダ  「んじゃ、ベベルは近いってことだな!」

ティーダは拳に力を入れた。

シド  「リュック!聞こえるか!」

シドがアナウンスを流した。

シド  「これからあのデカブツと一戦交えるぞ!

     おめえらは甲板に出て、あんにゃろうを迎え撃て!いいな!」

リュック  「ま~た勝手に決めちゃって・・・・ガーン

アーロン  「高い船賃だな。」

そう言いながらも、ティーダたちは甲板に向かった。。


アーロン  「ハッチを開けろ。打って出る。」

アーロンはリンに命令した。

リンは淡々と答えた。

リン  「エフレイエは強敵です。ご準備はぬかりなく。」

そう言うと、リンは商売を始めた。

ワッカ  「金取るってか!?オレらがやられたら、おまえも死ぬんだぞ!」

リン  「皆様の勝利を確信しておりますのでかお

ワッカ  「よく言うぜ。」

あきれながらも、戦闘準備を整え、甲板に出た。


シド  「ヤツに近づきすぎるのは危険だ!つかず離れずで戦うからな!」

甲板の不安定な上でティーダたちは強敵エフレイエと戦った。

その強敵もなんとか倒すことができた。

が、ティーダたちだけでなく、飛空挺にもダメージを受けていた。

アニキ  「ルホッサエ!キュユニョルダトヒタダッサ!

       (くそったれ!出力が落ちやがった!)」

シド  「トミ!イネサボ!ベベルガ!

     (おい!見えたぞ!ベベルだ!」

ベベルへ向けて、飛空挺はほとんど落下状態だった。

ティーダたちは甲板にしがみつき、ベベルを見下ろしていた。




地上では、ちょうど、式が始まったばかりだった。


次に気がついたのは砂漠のオアシスだった。

ティーダ  「今度はどこッスか・・・。

        ま、かんべんしてやるか。

        しばらくおとなしくしてろよな。」

ティーダは微笑んだ。

しかし、一人は少し心細かった。

そして、魔物と遭遇。

大きな大きな鳥のような魔物、ズーだ。

ティーダ  「うひゃ~ガーン

ティーダは戦ったが、一人で戦うには荷が重すぎる。

アーロン  「手伝ってやろうか?」

途中でアーロンがかけつけた。

ルールー  「大丈夫?」

ルールーも助けにきてくれて、ズーを倒すことができた。

ティーダ  「みんなは?」

ルールー  「近くにはいないみたい。こういう時は最初の場所を動かないのが鉄則なのに・・・むっ

ルールーはティーダに説教した。

ティーダ  「じっとしてろっての、無理だよ。」

アーロンはすでに先に歩き始めていた。

ティーダ  「ほらな?」

ルールーは頭を抱えた。


しばらく行くと、屋根の下でワッカが休んでいた。

ティーダ  「おーい!」

ティーダたちは駆け寄った。

ティーダ  「一人か?」

ワッカ  「ユウナは?」

ティーダとルールーは顔を合わせた。

ワッカ  「くそっ!ユウナは見失うわ、機械にゃ襲われるわ・・・、どうなってんだ!」


キマリは砂漠丘でもがいていた。

キマリ  「ユウナは・・・いない!」

ティーダ  「キマリのせいじゃないって。」


そして、リュックがいた。

リュック  「あ!みんな~!!

       ユウナは?」

ティーダ  「いない。」

ルールー  「最悪。ガード失格だわガーン

リュック  「えっと・・・。話したいことがあるんだけど、何も言わずに聞いてくれる?」

ワッカはリュックを睨んだ。

リュック  「睨むのも禁止!

       ・・・この砂漠は、ビーカネルって島にあんのね。で、近くに、アルベド族のホームがあるんだ。

       ユウナはたぶんそこにいる!

       あたしたちより先に、仲間が見つけて助けたんだよ!」

ワッカ  「助けたんじゃなくて、さらったんじゃねえのか?」

ティーダ  「ユウナが無事ならどっちでもいいだろ!」

リュック  「そうそう!

       で、みんなをホームに案内したいんだけど・・・、ホームのことは、ナイショにしてほしいんだ。

       特にエボンの連中にはヒミツってことで!

       アルベドは寺院から嫌われてっからね。バレたら何されるかわかんないんだよあせる

ワッカ  「寺院が何をするって?人聞きの悪いこと言うなよ。」

リュック  「昔、そういうことが、本当にあったんだよ・・・。」

ワッカ  「そりゃアルベドが悪いからだ!」

ティーダ  「あ~。今はさあ!どっちでもいいだろ?」

ティーダがワッカを止める。

リュック  「・・・・この島のことは、誰にも言わない。約束してくれる?」

リュックはワッカを見る。

ティーダ  「なあ、ワッカ!」

ワッカ  「わーったよ。案内、頼むわ。」

リュック  「まっかせといて!」

リュックは胸をたたいた。




リュック  「こっちこっち!」

リュックの案内はあっちこっちでいまいち信用ならなかったが、なんとかホームにたどり着いた。

リュック  「あああああ!?」

ホームに着くなり、リュックが走り出した。

ティーダ  「リュック!?」

慌ててみんなで追いかける。

そこは火の海で、アルベド族が魔物たちと戦っていた。

ワッカ  「あそこにユウナがいるってのか!?」

ルールー  「仲間が行ったら・・・・でしょ。」

ティーダたちは走った。

ワッカ  「ユウナはどこだ!」

ワッカは周りを見渡した。

リュック  「ケヤック!」

リュックが倒れているアルベド族に走り寄った。

リュック  「誰!?誰がこんなことしたの!?

       トホッセチサオマガエ?

       (襲ってきたのは誰?)」

ケヤックは息も絶え絶えに答えた。

ケヤック  「エボン・・・・・・グアド・・・・・。」

そして、動かなくなった。

リュック  「ケヤック!?ケヤック!」

涙をこらえるリュック。

ルールー  「エボンとアルベドの戦争・・・・・?」

???  「ホフビャメネ!グアドオメナミマキョフアンキガ。

       (そうじゃねえ!グアドのねらいは召喚士だ。)」

突然、はげたオヤジが現れた。

リュック  「トタギ・・・。

       (オヤジ・・・。)」

リュックの知り合いのようだ。

オヤジ  「テメエら、リュックのダチか?

       ちょうどいい、手ぇ貸せ!

       ホームに入り込んだグアド族をたたき出すぞ!」

みんなはオヤジについていった。

ティーダ  「誰?」

リュック  「シド。アルベド族の親分で、・・・・あたしのオヤジ。」

リュックは力なく答えた。

ティーダ  「行こう。」

リュック  「うん。ユウナ、助けなくちゃ・・・。」

ティーダ  「ユウナだけじゃないだろ!」

ティーダの言葉にリュックは喜んだ。

リュック  「うん!」

ティーダたちはホームの中に入った。




ワッカ  「ユウナ!どこだ!」

必死でユウナを探すワッカ。

が、それ以上にひどい現状が目に入る。

ワッカ  「グアドのやつら、やりすぎだろ、これ汗

リュック  「ひどいよ・・・・しょぼん

その時、スピーカーからシドの声がした。

シド  「ルホッサエッ!リュック!チミセウア!?

     トヤネサヒコヒアシシデノ!ホームムザルマヌウ!ヤコオゾソ、クッソザヌ!

     (くそったれっ!リュック!聞いてるか!?

     おまえたちも地下に逃げろ!ホームを爆破する!魔物ごと、吹っ飛ばす!)」

リュック  「うそぉ!?」

ワッカ  「通訳!」

リュック  「と、とにかく、地下に非難!」

アーロン  「ユウナはどこだ?」

リュック  「たぶん、召喚士の部屋。こっち!」

リュックに連れられ召喚士の部屋へ向かった。


ワッカ  「ここはもうダメだな・・・。」

悲惨な様子にワッカが呟いた。

リュックは下を向いて言った。

リュック  「そだね・・・・。ダメだね・・・・・。

       アルベド族には、ふるさとがなかったんだ。昔住んでた島は『シン』にやられちゃったからね。

       一族はバラバラになって、あちこちでに暮らしてた。でも、オヤジが一族を呼び寄せたんだ。

       力を合わせて新しいふるさとを作ろうってね。

       うまくいってたんだよ。みんな頑張ったんだよ。

       ・・・・なのに・・・・どうしてこんなんなっちゃうかなあ・・・。」

最後は涙まじりだった。

ワッカ  「リュック・・・。」

ワッカはリュックを抱きしめた。

ワッカ  「チッ!好き放題に暴れやがって!グアドは何がしてえんだ!?」

ワッカは叫んだ。

ルールー  「・・・ねえ、リュック。召喚士の部屋って何?」

リュック  「アルベドは、召喚士を保護してるの。・・・・死なせたくないから。」

ワッカ  「んで、さらったってワケか。」

リュック  「うん。

       わかってもらえないかもしれないけど・・・・。」

ワッカ  「理屈はわかるけどよ・・・。」

ティーダ  「オレはイマイチわかんないんだよな。旅で死ぬかもしれないからって、誘拐はやりすぎじゃないか?

        だって、召喚士が旅をしないと、『シン』は倒せないんだろ?

        心配なのはわかるけど、ガードもついてるしさ。ガードがしっかり守っとけば、召喚士は死なないって!

        なあ?」

誰も答えない。

ティーダ  「なあ!」

キマリ  「・・・・・・静かになった。キマリは行く。」

ティーダの話を避け、キマリが口を開いた。

みんなもキマリの後を追いかけた。

ティーダはいつかのリュックの言葉を思い出していた。


リュック  「お願いユウナ。ここにいて!」


ティーダはワケのわからないまま後をついて行った。

キマリ  「ユウナ!!」

そこには、たくさんのアルベド族が倒れていた。

その中に、ドナとイサールたちがいた。

ドナ  「ここにはいないわ。

     久しぶりね。だけど、話は異界送りが済むまで待って。」

イサール  「彼らは僕らを守って犠牲になったんだ。せめて僕らの手で送らねば、申し訳がたたない。」

そう言うと、二人は異界送りを始めた。

パッセがティーダのところへ来て言った。

パッセ  「ねえ、イケニエって何?召喚士はイケニエだってアルベドの人が言ってたんだ。

      召喚士は旅をやめなきゃいけないんだって。」

ティーダ  「召喚士のことは、ガードに任せろよ。

        むりやり旅をやめさせるなんてさあ・・・。」

リュック  「やめなきゃダメなんだよ!」

ティーダはリュックの言葉に驚いた。

リュック  「このまま、旅を続けて・・・・、ザナルカンドに行って・・・・、『シン』をやっつけても、・・・・・その時・・・ユウナは・・・・。

       ・・・・・・・・・・・・・ユウナ、死んじゃうんだよ!!

       キミ知ってるよね?召喚士は究極召喚を求めて旅してるって!ユウナから聞いたよね!?

       究極召喚なら『シン』に勝てるよ?だけど、・・・・だけど、あれ使ったら、召喚士は死んじゃうんだよ!

       『シン』を倒しても、一緒にユウナも死んじゃうんだよ!」

リュックはその場に泣き崩れた。

ティーダ  「知らなかったの、・・・・オレだけか?」

ティーダはリュックの肩をゆすった。

ティーダ  「知らなかったの、オレだけかよ!

        オレだけか!なんで隠してたんだよ!」

リュックは泣いて答えなかった。

ワッカ  「隠してたんじゃねえ。」

ルールー  「言葉にするのが・・・・怖くてね。」

ティーダは悔しくてその場でひざを突き、四つんばいになった。

床を殴りながらティーダは言った。

ティーダ  「ルールー、ユウナのこと、ユウナのこと妹みたいに思ってたんじゃないのかよ!

        ワッカもそうだよな!

        どうして止めないんだ!」

ルールー  「止めなかったと思うの!?

        ・・・・・・・・・ユウナの・・・・意志なのよ。」

ルールーも泣いていた。

ワッカ  「あいつは、みんな承知の上で、召喚士の道を選んだんだ。

      『シン』と戦って死ぬ道をよ!

リュック  「そんなの絶対おかしいよ!みんなの幸せのためだからって、召喚士だけが犠牲になるなんて!」

イサール  「犠牲とは、心外だな。」

異界送りを終えて、イサールとドナがやってきた。

ドナ  「あなただって『シン』の恐怖は知ってるでしょう。」

イサール  「『シン』のいない世界。それこそが、すべてのエボンの民の夢だ。

        たとえそれが僕の命と引き換えでも、迷いはしないさ!」

ティーダは壁を殴った。

ティーダ  「オレ・・・、オレ、ユウナに言っちゃったぞ!

        早くザナルカンドに行こうって・・・。『シン』を倒そうっ・・・。倒した後のこともいっぱい、いっぱい!

        あいつの気持ちもなんにも知らないでさあ!

        なのに・・・・・ユウナ・・・・・。あいつ・・・・笑ってた。」

そして、ルカでユウナが言ってたセリフを思い出していた。


ユウナ  「笑いながら、・・・・旅、したいんだ。」


ティーダ  「ユウナに謝らなくちゃ・・・。

        助けるんだ!」

ティーダたちは脱出ルートを進んだ。

その先にあったのは、飛空挺だった。




シド  「ビアンダメネ!ラッラソマッキンニノ!

     (時間がねえ!さっさと発進しろ!)」

アニキ  「ワソ3クンガ!

       (あと3分だ!)」

シド  「コサコサムウンビャメネ!1ピンベタエ!

     (もたもたするんじゃねえ!1分でやれ!)」

シドたちはバタバタと発進準備をしていた。

ティーダ  「ユウナはどこだ!!」

シド  「ハアヤマゲンミンオッサア?

     (仲間は全員乗ったか?)」

シドはティーダに目もくれず、テキパキと指示していた。

アルベドA  「ミチオヨニマゲンミン!

         (生き残りは全員!)」

ティーダはシドのそばまで寄っていって大声で言った。

ティーダ  「どこだって聞いてんだよ!

        答えろ!ユウナはどこだ!!」

ティーダはシドの胸倉を掴んだ。

シド  「ユウナを見つけて、どうするってんだ。」

ティーダは手を緩めた。

ティーダ  「オレ・・・・、何にも知らないで、勝手なことばっか言ってた。

        あいつを追いつめて、悲しい思いさせて・・・しょぼん

        謝るんだ。謝らなきゃいけないんだ。」

シド  「なんでえ!謝って、それでおしめえか!

     その後また旅に引っ張り出して、『シン』と戦わせるってか?

     召喚士に全部おっかぶせて、一人で死なせる気だろうが!」

シドは思いっきりティーダを投げ飛ばした。

ティーダ  「違うっ!!

        ユウナは・・・・、絶対に死なせない!」

ティーダは立ち上がりながら言った。

シド  「ヘッ!口だけなら何とでも言えんだよ!」

ティーダ  「死なせねえって言ってんだろうが!!」

ティーダはシドを睨みつけた。

シド  「・・・・小僧。その言葉、ウソはねえんだな。・・・・口だけのガキじゃねえって証明してみろ。」

ティーダ  「おう!」

シドは地図を見た。

ティーダ  「居場所、知ってんのか!?」

シド  「わかりゃしねえよ!だから探すんだ。この飛空挺でな!」

ワッカ  「ひ、・・・飛空挺ぃ!?」

その時、大きく飛空挺が揺れた。

アニキ  「トタビ!マッキンビュンジアンニョフガ!

       (オヤジ!発進準備完了だ!)」

シド  「モッキャワ!!1000メンズニオクナミソガ!

     (よっしゃあ!!1000年ぶりのフライトだ!)」

そして、飛空挺が動き出した。

アニキ  「ヌデネ!フゾミセウ!

       (すげえ!動いてる!)」

シド  「ハ?ザルヒフッセイウコンガノ?

     (な?バクチうってみるもんだろ?)」

飛空挺は砂漠の中から外へ出た。

アニキ  「ヌデネ!ソンベウ!

       (すげえ!飛んでる!)」

シド  「ユヂマ、ワエ・・・ユアフボ。

     (次は、あれ・・・使うぞ。)」

アニキはしばらくためらってからつぶやいた。

アニキ  「・・・・・キアサハミモハ。

       (・・・・・・しかたないよな。)」

そして、アルベド族は祈りの歌を歌い始めた。

ワッカ  「何が始まるんだ?」

リュック  「ホームを・・・・、爆破するんだよ。」

ルールー  「どうやって?」

シド  「禁じられた機械ってやつでな。

     ・・・・・・・トッキ!マッキャ!

     (・・・・・・・おっし!発射!)」

シドの掛け声で、飛空挺から大量のミサイルがホーム目がけて打ち込まれた。

ホームは一瞬で爆破した。

爆風にあおられながら、飛空挺は進んだ。

シド  「・・・・・ダママママ!チエミラップニガゲ!

     (・・・・・がはははは!きれいさっぱりだぜ!)」

そして、泣いているアニキに言った。

シド  「ハルンビャメネ!チアミオミミソヨノマハ、ヤサユルエザミミッセヨソガ。

     (泣くんじゃねえ!機械のいいところはな、また作ればいいってことだ。)」

いろんな思いを乗せて、飛空挺は飛んだ。