マカラーニャの森を抜けると、広い平原に出た。
ルールー 「ナギ平原。歴代の大召喚士様が『シン』と戦った土地。
そして・・・・・道が終わるところ。
この先には、もう街も村もない。道なき荒野よ。」
アーロン 「だからこそ、道を見失って迷う召喚士もいる。」
ユウナは空を見上げ、その場に仰向けに寝転がった。
そして、ゆっくりと深呼吸をした。
ユウナ 「わたしは・・・・迷わないよ。」
ティーダはユウナに手を伸ばした。
ティーダ 「オレ・・・・死なせない。
絶対なんとかする。」
ユウナは起き上がってティーダの手をとった。
ユウナ 「・・・・・うん。」
ユウナはみんなの方を向いた。
ユウナ 「行こう。」
ティーダ 「絶対・・・・なんとかする。
言葉にすれば本当になる。
そう・・・信じたかったんだ。」
しばらく行くと、メイチェンが平原を眺めていた。
メイチェン 「ご存知のとおり、この平原はかつては戦場でした。ベベルとザナルカンドが争った、いわゆる機械戦争ですな。
戦のせいで、なーんにもない野っぱらとなったのですわ。
やがて、時は流れ・・・、召喚士たちがこの無人の地に目をつけました。
ここならば激しく戦っても周囲に被害を及ぼしません。『シン』との決戦にうってつけ、というわけですな。
究極召喚を手に入れた召喚士は、ここで『シン』を待ったそうですわ。
いったいどんな気持ちだったのでしょうなあ・・・・。
ともあれ、『シン』はこの地に倒れ、スピラにナギ節が訪れるのですな。
ですから、ここはナギ平原。
誰が呼ぶともなく、ついた名前ですわ。」
平原の真ん中に旅行公司があった。
そこで休憩していると、向こうから男の人が歩いてきた。
ルールー 「ズーク先生!」
ズーク 「久しぶりだな。
ユウナさんだね?
ふむ・・・・。とてもキノック老師を殺した犯人には見えないね。」
ワッカ 「なんだそりゃ!?」
ワッカはいきり立った。
ユウナはワッカの前に立った。
ユウナ 「事情を聞かせて下さい。」
ズーク 「先ほど、マイカ総老師じきじきの指令が出た。
召喚士ユウナとガードがキノック老師を暗殺して逃亡。
発見次第誅殺せよ・・・・・処刑宣告だ。」
ユウナは下を向いた。
アーロン 「他にベベルの状況は?」
ズーク 「表向きは静かなものだが、水面下でごたついている。
キノック老師が亡くなった上に、ケルク=ロンゾ老師が辞任した。」
アーロン 「好都合だな。エボンが混乱すれば、それだけ動きやすい。」
ズーク 「だが、用心したまえ。今や君らはエボンの敵だ。
寺院にも近づかない方が賢明だね。」
ユウナ 「ご忠告、ありがとうございます。」
ユウナは深々と頭を下げた。
ルールー 「先生、それだけを伝えるためにここまで?」
ズーク 「君たちがガードをしている召喚士がどんな人なのか、いささか興味があったのでね。
今度は最後まで行けるといいね。何よりも君自身のためだ。」
ルールー 「はい・・・・先生。」
ズーク 「では、私はこれで。無事を祈るよ。」
ズークとルールーはお互い祈りあった。
そしてそのままズークは去って行った。
ティーダ 「今の誰?」
ルールー 「半年前まで召喚士だった人。私とワッカは先生のガードだった。」
ワッカ 「ま、短い旅だったけどな。」
ルールー 「先生は、途中で旅を止めたのよ。この平原でね。
今はベベル寺院で僧官を勤めているわ。
私のガードの旅はこれが3度目。ズーク先生は2度目の旅。
初めての時は・・・、2回ともこの平原で挫折。私、ここを越えたことないのよ。」
ワッカ 「ズーク先生と旅した時はな、・・・・・ほら、いつか話しただろ。
ブリッツのことが気になって、ガードに専念できなかったってよ。
だから、先生が旅を止めるって言った時は、正直言ってよ、ホッとしたぜ。」
ティーダは俯いたままのユウナが気になった。
ユウナ 「本格的に、反逆者だね
」
ティーダ 「言いたいヤツには言わせとけって。」
ユウナ 「大丈夫。気にしてないから。
・・・・・・・・やっぱり少し・・・・きついかな。
割り切るのは難しいね。」
ティーダ 「無理に割り切ろうとしないでさ、キツけりゃグチっちゃえよ。」
ユウナ 「グチかあ・・・・。
・・・・そのうち、言っちゃうかも。」
ティーダ 「うん。」
ユウナ 「・・・・・・父さんもこの平原で迷ったのかな。」
ユウナは気分を変えようと話を変えた。
ティーダ 「かもよ。オレのオヤジと一緒にさあ。」
ユウナ 「アーロンさんに聞いてみようか。」
ティーダ 「あのおっさん、そういうこと話さないんじゃないか?」
ユウナ 「『他人には関係ない』とか言って?」
ユウナはアーロンの真似をした。
ティーダは笑った。
ティーダ 「そう言うワリに自分は他人を巻き込むんだよな。」
ユウナも笑った。
ユウナ 「ザナルカンドまで、あと少しだね。」
心配そうに見つめるティーダをリュックが引っ張った。
リュック 「もう、止められないのかな。」
ティーダ 「ユウナ、決めちゃってるからな。」
リュック 「でもさ、ほっとけないよ。」
ティーダ 「ほっとかないって。
究極召喚を使っても、ユウナが無事なようにする。」
リュック 「どうやって?」
ティーダ 「その方法を考える。」
リュック 「でも、何も考えつかなかったら?」
ティーダ 「・・・・もうリュックとは話さない。
でもでもってうるさい
」
リュック 「ごめん・・・・
」
リュックは下を向いた。
ティーダ 「一緒に考えようよ。」
リュック 「うん。」
ティーダ 「んでさ、もし、何も考えつかなくても、・・・・・なんとかしよう
」
リュック 「うん!」
旅行公司を出ても、リュックは頭を抱えながら歩いた。
途中でベルゲミーネと会った。
ベルゲミーネ 「ああ、おまえたちか。今や完全に反逆者だな。」
ティーダ 「どーだっていいだろ。」
ベルゲミーネ 「なに、老師どものたわごとなど聞き流せばいい。
召喚士は打倒『シン』がすべて。寺院に従う道具ではない。いいな。」
ユウナ 「・・・・・はい。」
ベルゲミーネ 「どうだ、『シン』を倒せる自身はついたか?」
ユウナ 「わかりません。でも、わたし、やります。」
ベルゲミーネ 「よい覚悟だが、それだけでは『シン』は倒せん。
おまえの力を見せてもらおう。召喚獣で勝負だ。」
ユウナはベルゲミーネに勝利した。
ベルゲミーネ 「さすがだな、すばらしい技量だ。
反逆者になっても『シン』と戦おうとするだけはある。」
ユウナ 「ありがとうございます。」
ベルゲミーネ 「おまえならばきっとやれるだろう。
だが、もし、まだ力が足りないと思うなら秘められた寺院レミアムを探せ。
私はそこで待つ。ではな。」
そう言うと、ベルゲミーネは去って行った。
ナギ平原の北側は底深い谷になっていた。
見張り 「この谷は『シン』の爪あとです。
大召喚士に追い詰められた『シン』が最後の力で大地を裂いたという言い伝えです。
傷ついた大召喚士と『シン』は、谷底で相打ちとなり、ナギ節が訪れたのです。」
ティーダたちはしばらくしてチョコボ屋からチョコボを借りた。
チョコボで平原中を探索すると、チョコボが隠された道を発見した。
先へ進むと、ひっそりと寺院があった。
中に入るとベルゲミーネがいた。
ベルゲミーネ 「よく来たな、ユウナ。」
ユウナ 「ここは・・・・いったい・・・。」
ベルゲミーネ 「レミアム寺院。
かつてナギ平原の中心地だったが、『シン』に襲われ見捨てられたのだ。」
ティーダ 「そんなとこに一人で住んでんのかよ。
あんた・・・・何者なんだ?」
ベルゲミーネ 「話せば長くなるな・・・・。これでわかるはずだ。」
ベルゲミーネの体から幻光虫が現れた。
ティーダ 「あんたも死者か・・・・。」
ベルゲミーネ 「異界送りはやめてくれよ。
こんな体になっても私にはまだやれることがある。
若く未熟な召喚士の修行に力を貸す・・・・。それが私の役目だ。
さあ、ユウナ。
『シン』を倒す力が欲しければ、召喚獣で私に挑むがいい。」
ユウナは召喚獣で応戦した。
そして勝利した。
ベルゲミーネ 「成長したな、ユウナ。
私にとっても喜ばしいことだ。」
ベルゲミーネは微笑んだ。
ティーダたちはレミアム寺院を後にした。
平原を抜けると、橋が架かっていた。
橋を渡っていると、グアド族に呼び止められた。
グアド 「止まれ。
シーモア様がお呼びだ。共に来てもらおう。」
ユウナ 「シーモア老師と話すことなどありません。」
ユウナははっきりと言った。
それを聞いてティーダたちはユウナを守るように囲んだ。
ティーダ 「ちゅうわけだ。どけよ。」
グアド 「シーモア様の命令は絶対。必ずお連れする。
シーモア様はおっしゃられた。死体でもかまわぬ、とな。」
そして足音を響かせながらやってきたのは護法戦機だった。
ティーダたちが護法戦機を倒した時には、もうグアド族はいなくなっていた。
ふと、ティーダが下へ降りる道を見つけた。
ティーダ 「こっちの道は違うのか?」
ルールー 「それ、谷底に降りる道よ。」
ワッカ 「よく知ってんなあ。」
ルールーは何も答えなかった。
ワッカ 「・・・・・・・・あん?」
不思議そうにワッカはルールーを見ていた。
谷底へ降りると洞窟があった。
リュック 「ここ何~?」
ルールー 「奥に、祈り子様がいらっしゃるわ。
・・・・・・・魔物もね。」
ワッカが思い出したようにルールーに聞いた。
ワッカ 「おい、・・・・・ここか?」
ルールーは頷いた。
ティーダ 「なんか、あったの?」
ルールー 「私が初めてガードを勤めた召喚士・・・、ここで死んだの。
・・・・・・・・・・行きましょう、ユウナ。祈り子様が待ってるわ。」
ユウナはルールーを気にしながらも中へ入った。
ルールーはふうっと一息ついてみんなの後を追った。
リュック 「う~・・・・・。
な~んでこんなとこに祈り子があるんだろ?」
リュックは薄暗い洞窟におびえながらティーダに訴えた。
ティーダ 「オレに聞くかあ?」
ルールー 「ずいぶん前に、寺院から盗まれたそうよ。」
ティーダ 「は?」
アーロン 「祈り子がなければ、召喚士は修行にならん。
修行が足らねば、究極召喚も手に入らん。
究極召喚がなければ、『シン』とは戦えん。
そういうことだ。」
リュック 「そしたら、召喚士も死なない?」
ワッカ 「ま、そう考えた奴が盗んだんだろうな。」
ティーダとリュックは顔を見合わせて、ユウナを見た。
ティーダ 「犯人の気持ち・・・・わかるな。」
リュック 「うん。」
祈り子の部屋の前まで来ると、突然ワッカが叫んだ。
ワッカ 「ちっ!グアドの魔物か!?」
キマリ 「違う。死者だ。」
現れたのは幻光虫を身にまとった人間だった。
ルールーが前に出た。
ルールー 「やはり、あなたなのですね、ギンネム様。
私が、・・・・未熟だったばかりに・・・。」
ユウナは異界送りをしようと構えた。
ギンネムはそのユウナを振り払った。
ルールー 「もう、人の心はなくしてしまったのですね。
・・・・・・・・・・・・・わかりました。
ガードとしての最後の勤め、果たさせていただきます。」
ティーダたちはギンネムを倒した。
ルールー 「不思議ね、もっと悲しいと思ってた。
人と別れることに慣れすぎたのかな。」
ルールーは俯いた。
ワッカ 「強くなったんだろ。」
ルールー 「・・・・そうだね。
そうだといいね。」
顔を上げるルールー。
ルールー 「ユウナ、祈り子様はこの奥。祈りをささげていらっしゃい。」
ユウナは頷き、中に入った。
ユウナが祈ると、祈り子が現れた。
祈り子 「我こそは、無頼の剣客、音に聞こえた用心棒。
召喚士に問う。そなた、なにゆえ我を求める?
我の力を求めるならば、ふさわしい銭を納めよ。」
ユウナは用心棒の望む金額を支払った。
祈り子 「よかろう。客と認めたぞ。片手間に一働きしてやろう。
召喚士よ、そなたの旅路、我が剣術にて守ろうぞ。」
こうして、ティーダたちは盗まれた祈り子の洞窟を後にした。
ガガゼト山へ向かう途中、ユウナはふと後ろを振り返り、じっと景色を見た。
ティーダ 「時々、あんな顔で風景を見てた。
その意味、やっとわかったよ。
通り過ぎる景色にお別れをしてたんだよな。」
ユウナは笑ってティーダに頷いて先を歩いた。