妄想劇場 -17ページ目

妄想劇場

現実逃避の日々

ティーダ  「オヤジ!どこにいる!」

アーロン  「こちらから出向くしかあるまい。」

ティーダ  「前進あるのみ!案内はまかせてくれ。」

ユウナ  「まかせるよ。」

ティーダ  「行こう。」

ティーダたちは悲しみの海を進んだ。




悲しみの海を越えると、嘆きの園となった。

そこで待っていたのはシーモアだった。

シーモア  「ふふふ・・・・。」

ティーダ  「しつっこい野郎だな。」

シーモア  「『シン』は私を受け入れたのだ。

        私は『シン』の一部となり、不滅の『シン』と共にゆく。

        永遠にな。」

ティーダ  「吸収されただけじゃねえか。」

シーモア  「いずれ内部から支配してやろう。時間は・・・・そう、無限にある。

        おまえたちがユウナレスカを滅ぼしたおかげで、究極召喚は永久に失われ、『シン』を倒すすべは消えた。

        もはや、誰も『シン』を止められん。」

言いながらシーモアは変形していった。

ティーダ  「止めてやるよ。」

シーモア  「ならば、『シン』を守らねばならんな。

        感謝するがいい。私はおまえの父親を守ってやるのだ。」

そう言うとシーモアは攻撃を始めた。

ティーダたちは最終異体となったシーモアをなんとか打ち負かすことができた。

シーモアはその場に崩れた。

シーモア  「ばかな・・・。」

ワッカ  「今だ!異界に送っちまえ!」

ワッカの叫びにユウナが答えた。

ユウナ  「はいっ!」

ユウナはシーモアの前に立ち、舞った。

シーモア  「私を消すのは、やはりあなたか。」

ユウナは舞い続けた。

シーモア  「私を消しても、・・・・スピラの悲しみは消えはしない。」

そして、幻光虫に覆われ、消えていった。

ティーダがつぶやいた。

ティーダ  「・・・・『シン』ごと消してやるよ。」

ティーダたちは死せる夢の都を抜けた。




先へ進むと、頭上から死せる塔が降ってきた。

ティーダたちは迷うことなくその中に入った。

入ると、ジェクトが背を向け、腕組みをして待っていた。

ティーダは思いっきりジェクトを睨みつけた。

そしてゆっくりと近づいた。

ジェクト  「おせえぞ、アーロン。」

アーロン  「・・・・・・すまん。」

ジェクトは振り返ってティーダを見た。

ジェクト  「よう。」

左手を挙げて、気恥ずかしそうに挨拶をするジェクト。

ティーダ  「ああ。」

ティーダも目を泳がせながら返事をした。

ジェクト  「へっ!背ばっか伸びて、ヒョロヒョロじゃねえか!

       ちゃんとメシ食ってんのか、ああん?」

ティーダは答えなかった。

ジェクトはため息をついた。

ジェクト  「でかくなったな。」

ティーダは下を向いて答えた。

ティーダ  「まだ、あんたの方がデカイ。」

ジェクト  「はっはっは!

       なんつってもオレは、『シン』だからな。」

ティーダ  「笑えないっつーの。」

ティーダの声は震えていた。

ジェクト  「ははは・・・・・。

       じゃあ、まあ、なんだ、その・・・・・ケリ、つけっか。」

ティーダ  「オヤジ。」

ジェクト  「おお?」

ティーダ  「・・・・・ばか。」

ジェクト  「・・・・・・・はははは・・・・・・・・・。

       それでいいさ。」

ティーダは下を向いて震えていた。

ジェクト  「どうすりゃいいか、わかってんな。」

ティーダは顔を上げた。

ティーダ  「ああ!」

ジェクト  「・・・・・もう、歌もあんまし聞こえねえんだ。

       もうちっとで、オレは・・・・心の底から『シン』になっちまう。

       間に合って助かったぜ。

       んでよ・・・・・、始まっちまったら、オレは壊れちまう。

       手加減とか、できねえからよ!

       ・・・・・すまねえな。」

ティーダ  「もういいって!

        うだうだ言ってないでさあ!」

ティーダはすでに涙声だった。

ジェクト  「・・・・だな。じゃあ、・・・・・いっちょやるか!!」

そう言うとジェクトは後ずさりして、下に落ちていった。

ティーダは慌ててジェクトに手を伸ばしたが、ジェクトは微笑を浮かべてティーダを見ながら落ちた。

ティーダは悔しさと悲しさでその場にへたり込んだ。

そして、ジェクトの雄叫びとともに、下からモンスターと化したジェクトが現れた。

ティーダ  「すぐに終わらせてやるからな!さっさとやられろよ!」

ティーダはジェクトを睨みつけた。

ティーダ  「絶対、負けねえ!」

ティーダはジェクトに切りかかった。

ジェクトは自分の胸から大刀を取り出し、ティーダの攻撃に対応した。

ティーダはジェクトの攻撃をかわし、強烈な一撃を与えた。

アーロンもユウナも泣きながら戦った。

そして、巨大化したジェクトは突き立てた大刀に寄りかかって消えた。

大刀の前に、元のジェクトが現れた。

ふらっとジェクトは倒れそうになった。

アーロンより早く、ティーダが駆け寄って支えた。

ティーダはジェクトを抱きとめ、自分のひざの上にのせた。

ジェクトはティーダを見上げながら言った。

ジェクト  「泣くぞ、すぐ泣くぞ、絶対泣くぞ、ほら泣くぞ。」

ティーダは顔をぐしゃぐしゃにして泣いた。

ティーダ  「・・・・・だいっきらいだ。」

ジェクトは笑ったが、ふっと真剣な顔になった。

ジェクト  「はは・・・・まだ早いぜ。」

ティーダは涙をふいて、ジェクトをその場に寝かせ立ち上がった。

ティーダ  「全部終わらせてから・・・だよな。」

ジェクト  「わかってるじゃねえか。さすがジェクト様のガキだ。」

ティーダはまた涙を浮かべた。

ティーダ  「初めて・・・・思った。

        あんたの息子で、・・・・・よかった。」

ジェクト  「・・・・・けっ。」

ユウナ  「ジェクトさん・・・・。あの・・・・。」

ユウナが駆け寄った。

ジェクト  「ダメだ、ユウナちゃん!時間がねえ!」

ふと気づくと、光の塊が周りを飛んでいた。

エボン=ジュだ。

ティーダ  「邪魔すんじゃねえ!」

ジェクト  「ユウナちゃん、わかってんな。召喚獣を・・・。」

祈り子  「僕たちを・・・。」       

ジェクト  「呼ぶんだぞ!」

祈り子  「呼ぶんだよ!」

その瞬間、ジェクトは幻光虫に包まれ消えた。

ユウナ  「・・・・・はい。」

そして、エボン=ジュが大刀を包み込んだ。

ルールー  「来るよ!」

突然、辺りが真っ白になる。

ティーダはゆっくりと目を開けた。

気がつくと、大刀の上にみんな乗っていた。

ユウナがしっかりとロッドを握った。

ティーダ  「ユウナ!」

ユウナは頷いて召喚獣を召喚した。

すぐにエボン=ジュが乗り移った。

ティーダたちは乗り移った召喚獣を倒した。

召喚しては倒し、召喚しては倒した。

最後の召喚獣を倒すと、行き場をなくしたエボン=ジュが姿を現した。

それを見てティーダが言った。

ティーダ  「みんな!一緒に戦えるのは、これが最後だ。よろしく!」

ワッカ  「へっ?」

みんな驚いてティーダを見た。

ティーダ  「なんつったらいいかな・・・・。

        エボン=ジュを倒したら、オレ、消えっから!」

ルールー  「あんた、何言ってんのよ!?」

話がわからず、みんな混乱した。

ティーダはユウナを見た。

ユウナも心配そうにティーダを見た。

ティーダはそんなユウナをかわし、先頭に立ち、剣を抜いた。

ティーダ  「さよならってこと!」

リュック  「そんなぁ・・・・・。」

ティーダ  「勝手で悪いけどさ!

        これがオレの物語だ!」

ティーダは一番にエボン=ジュに向かっていった。

みんなも後に続いた。

エボン=ジュはティーダたちの攻撃に耐え切れず、身をよじらせて消えた。




エボン=ジュが消えると、ユウナはその場で異界送りを始めた。

すると、アーロンの周りにも幻光虫が飛び始めた。

ユウナは気づいて手を止めた。

アーロン  「・・・・・続けろ。」

ユウナ  「でも・・・。」

アーロン  「これでいいさ。」

アーロンはみんなを一人ひとり見て、最後にティーダを見た。

アーロン  「10年、待たせたからな。

        もう、おまえたちの時代だ。」

アーロンは笑ってそのまま消えた。


甲板に出ると祈りの歌がこだましていた。

リュック  「聞こえるよ・・・!」

ルールー  「・・・・本当だわ。」

リュック  「みんな歌ってくれてる!」

ティーダ  「期待に答えるッス!」

ティーダはユウナを見た。

ティーダ   「ユウナ。

        これ、もういらないだろ?」

ティーダはガガゼトで拾ったユウナのスフィアを出した。

ユウナ  「あっ!?えっと、あの・・・。」

ユウナは慌てた。

ティーダ  「いらないよな!」

ティーダは思いっきりスフィアを投げた。

ユウナは笑って頷いた。

その時、飛空挺が揺れ出した。

ワッカ  「おいおいおいおい・・・・。なんかやばいぞ!?」

ティーダは振り返ってシンを見た。

シンはエネルギーを集めているようだった。

シンと同じくらいの大きさのエネルギーの球が出来上がろうとしていた。

そのせいで、地上に広がる海は渦を巻き、空の雲は台風の目のようにシンの頭上だけぽっかりと空いていた。

シンはそのエネルギーを一気に放出した。

ティーダたちはしっかりと甲板に捕まっていた。

ふと見ると、海が割れていた。

そして、次の瞬間、大きな水しぶきをあげ、爆発を起こしながらこっちに迫ってきた。

ティーダたちはその場に倒れこむしかなかった。

衝撃が去り、ティーダはゆっくりと目を開けた。

目の前にはシンがいた。

ティーダ  「くそオヤジ・・・・。」

シド  「おい!『シン』の腕んところ、光ったの見えたか?

     ありゃ絶対なんかあるぜ!」

スピーカーからシドの声がした。

そして、飛空挺が大きく揺れた。

アニキ  「ヤブミ!

      (まずい!)」

シド  「ゴフキサ!

    (どうした!)」

アニキ  「『シン』シリチモヘナエセンガ!

      (『シン』にひきよせられてんだ!)」

リュック  「『シン』に引き寄せられてるって!」

シド  「おまえら、中に戻れ!」

アニキ  「タザミ!ルウボ!!

      (やばい!くるぞ!!)」

ティーダたちはその場で応戦した。

狙いは光っている左腕。

しばらく戦っているとシンが少し離れた。

シド  「ためしに一発かましてやらぁ!

     おまえら、そこで待機してろ!

     行くぞ!」

飛空挺からレーザービームをシンに打ち込んだ。

そして、シンの腕がちぎれ落ちた。

ティーダ  「やった!」

シド  「おまえらもよくやったじゃねえか!

     おっし!この勢いで反対側もやっちまうぞ!」

リュック  「勝手に決めるなあ!」

ティーダたちは右腕も同様に狙い撃ちした。

そしてまたシンが少し離れた時にレーザービームを打った。

シド  「トッキ!マッキャ!

    (おっし!はっしゃ!)」

右腕もちぎり落とした。

シド  「おっし!次はどこだ!?」

アニキ  「・・・・トカミダ。

      (・・・・おわりだ。)」

シド  「ワロスアヘ!ヨエアナビャメネア!

    (アホぬかせ!これからじゃねえか!)」

アニキ  「ガッセ、キュロフズッヨカエヒヤッサモ!

      (だって、主砲ぶっこわれちまったよ!)」

シド  「ハンガソ!?

    (なんだと!?)」

リュック  「主砲・・・、壊れたってさ・・・・。」

シド  「仕方ねえ。おまえら戻れ!作戦練り直~し!」

ティーダ  「いーや、行くッス!!

        勢いがある時は、勢いに乗るッス!

        これ、ブリッツの鉄則!!」

そう言うとキマリが走り出した。

キマリ  「ロンゾの心意気を見ろ。」

ティーダ  「待てよ!エースはオレだっつーの!」

ティーダはキマリに続いてシンに飛び移った。

みんなもその後に続いた。

まず、シンのコケラ:グナイを倒し、直接シンを攻撃した。

その部分が動かなくなるとシンは落下し始めた。

ティーダたちは即座に飛空挺に非難した。

シンが落ちた場所はベベルだった。

ティーダたちは操縦室に戻った。

アニキ  「トタビ!トエ・・・、トエキンビナエメネモ!

      (オヤジ!おれ・・・、おれ信じられねえよ!)」

シド  「セメネオレンサヤガノフダ。キンビメネベゴフヌウッセンガ!

    (てめえのめんたまだろうが。信じねえでどうするってんだ!)」

アニキ  「リュック、タッサハ!

      (リュック、やったな!)」

倒れたままのシンを見てユウナが言った。

ユウナ  「復活・・・・するかな?」

ティーダ  「たぶんな。」

シド  「なんでぇ!?そうなのかよ!」

ティーダ  「『シン』の中にいるヤツを倒さなくちゃならない。」

ワッカ  「これだけで倒せたら、討伐隊だって苦労しねえよな。」

ルールー  「でも、『シン』を弱らせたのは確かじゃない?」

リュック  「そうだよそうだよ!」

シド  「おっし。今のうちに主砲の修理だ。」

そう言うとシドは操縦室を出て行った。

ユウナも考え事をしながら出て行った。

ティーダはユウナの後を追った。

ユウナは甲板からシンを見ていた。

ユウナ  「ジェクトさん・・・・苦しいのかな。」

ティーダ  「終わらせよう、早く。

        祈り子も協力してくれるっていうしさ。」

ユウナ  「あの言い方、気になるんだ。」

ティーダ  「ん?」

ユウナ  「ずっと一緒に戦ってくれてたのに、今になって『協力する』なんて・・・・。」

ティーダ  「まあ・・・・な。」

ユウナ  「・・・・・あっ!

       『シン』が復活するのは、エボン=ジュが召喚獣に乗り移るから・・・・だよね。

       わたしが召喚したら、きっとエボン=ジュは乗り移ってくる。

       それは・・・・・小さな『シン』だよね?」

ティーダ  「あ!それなら、究極召喚じゃなくても倒せるかも!」

ユウナ  「倒しても、またエボン=ジュが乗り移るよ。」

ティーダ  「そうなったらまた倒す!

        最後にはエボン=ジュは行き場をなくしてさあ!

        あ・・・・・・。」

ユウナ  「やらなくちゃ・・・・・ならないんだよね。」

ティーダ  「そう・・・・だな。

        ほら、祈り子も疲れたって言ってたしさ。

        休ませてやろうよ。」

ユウナ  「祈り子様、夢見ることをやめるって言ってた。

       夢は消えるって・・・・言ってた。

       どういう意味かな?

       ねえ、エボン=ジュは『シン』の中で何を召喚しているのかな。」

ティーダ  「祈り子の・・・・夢。」

ユウナ  「キミは・・・・消えないよね。」

ユウナは俯いた。

その時、リュックの声がスピーカーから聞こえた。

リュック  「ユウナたち!どこにいるの!?

       『シン』を見て!」

見るとシンは羽を広げていた。

そして少し飛んでベベルの上空でとまった。

ティーダたちは操縦室に戻った。

アーロン  「ジェクトは・・・・待っているようだな。」

シド  「オレたちゃ、どうすりゃいいんだ。

     言っとくが、もう援護はできねえぞ。」

ティーダ  「もうどうもこうもないだろ。

        正面から行く。」

みんな頷いた。

シド  「おっし!

     ヤツの口の正面につけろ!

     ちっとでもズレたら、その髪の毛、むしってやるからな!」

シドはアニキに命令した。

アニキ  「まかせろ、オレに。

       送ってやる。間違いないッス。」

アニキは片言で答えた。

ティーダ  「また甲板から飛び移ろう!」

ユウナ  「父さんたちの願い・・・・叶えに行こう!」



ティーダたちは甲板に出た。

シンはティーダたちを待っていたかのように飛空挺と向き合った。

シド  「行くぞ!」

ティーダ  「おう!

        待ってろよ、オヤジ!」

飛空挺で徐々にシンに近づいた。

シンは大口を開けた。

飛空挺のままシンの中に入った。

幻光虫が多く飛び交っていた。

ふと、シーモアの声が聞こえた気がした。

アニキ  「ゴヨシミチャミミンガ?

      (どこに行きゃいいんだ?)」

シドはティーダたちの顔を眺めた。

シド  「シケたツラだな・・・。」

アニキ  「ゴヨミルンガモ!

      (どこ行くんだよ!)」

リュック  「どこ行くどこ行くって、しつこいよ!

       少しは自分でも考えてよね!」

アニキは黙った。

アーロン  「どうする。

        名案を期待しよう得意げ

アーロンはティーダに言った。

ティーダ  「一緒に考えろよ。」

アーロン  「そうだな・・・・。

        ・・・・『シン』はジェクトだ。

        おまえと『シン』は、確かに通じ合っている。

        それが突破口になるかもしれん。」

ティーダ  「んで、どうすんだよ?」

アーロン  「それがわかれば苦労はせん。」

ティーダ  「だよなあ・・・・しょぼん

がっくりと肩をおとすティーダ。

ユウナはみんなの様子を見ながらシドのところへ向かった。

そして、シドに頭を下げた。

ユウナが頭を上げると、シドは背中を向けていた。

ユウナは微笑んで頷いた。

シドは顔をしかめて涙をこらえていた。

ユウナはキマリと一緒に操縦室を出て行った。

ティーダはユウナを追いかけた。

ユウナ  「わたし、ダメだねしょぼん

ティーダ  「なんだよ、いきなり。」

ユウナ  「どうやって『シン』を倒すか、ずっと考えてる。

       けど・・、エボンの教えにないことは、わたしには・・・わからなくて。

       ・・・・・ごめん。」

キマリ  「ユウナ、謝るな。」

ユウナ  「え?」

キマリ  「逃げているように聞こえる。

      ユウナには似合わない。」

ユウナ  「・・・・うん。

       ありがとう、キマリ。」

ティーダ  「あのさ、キマリはなんかいい考え、ない?」

キマリ  「エボンの教えだ。」

ユウナ  「教えじゃ、『シン』は倒せないよ。」

キマリ  「教えの中に答えはない。答えは教えの外にある。

      教えの中と外を知れば、答えは見つかる。」

ユウナ  「教えか・・・・・。」

ユウナは考え込んだ。

キマリ  「キマリなら、マイカに聞く。力ずくでも、しゃべらせる。」

ティーダ  「それだ!キマリ、すげえよ!」

キマリ  「ふん。」

キマリは笑った。

ユウナ  「ベベルに行くんだよね?」

ティーダ  「乗り込むッス。

        ・・・・・・心配?」

ユウナ  「ううん、大丈夫。もう立ち止まれないからね。」

ティーダは笑った。

そして、操縦室に戻った。

戻るとワッカが嬉しそうに言った。

ワッカ  「おい!すんげえこと考えたぞ!」

リュック  「あたしが思いついたんだよ!あたしに言わせなよ!」

ワッカはリュックを振り払った。

ワッカ  「よーするにだな!」

リュックがワッカをすり抜けて前に出る。

リュック  「え~っとねえ!」

ルールー  「歌がカギよ。」

ワッカ&リュック  「ああっ!?」

二人は悔しそうにルールーを見た。

ティーダ  「歌って?」

ルールー  「ジェクトさんは、祈りの歌が好き・・・・・。そうでしょう?」

ティーダ  「うん。」

リュック  「だからマカラーニャ湖の底で歌を聞いてたんだよね。」

ルールー  「あれほど凶暴な『シン』が静かに歌を聞いていた・・・・。」

ワッカ  「あのな・・・、おまえのオヤジさんのことだから、言いにくいけどよ。」

ティーダ  「ううん、いいって。

        どうしようもないんだからさ。」

ルールー  「じゃあ、言うわね。

        正面から『シン』に立ち向かっても、到底勝ち目はないわ。

        けれど、祈りの歌を聞かせれば、『シン』はおとなしくなる。」

ワッカ  「そのスキをつけば、なんとかなるんじゃねえか!?

      まあ・・・・・反則かもしれねえけどよ、こだわってらんねえしな。

      な?」

リュック  「ね?すごい作戦でしょ!」

ワッカとリュックはティーダを覗き込んだ。

ティーダ  「ああ。試す価値、アリだな!」

ティーダは笑って言った。

シド  「どうやら、次の手が決まったらしいな。

     どこだろうと、こいつでひとっ飛びだぜ!」

ティーダたちはマイカのいるベベルへ飛んだ。



ベベルに着くと、すぐに兵士に銃を向けられた。

兵士A  「反逆者ユウナ!」

ワッカ  「ちっ!めんどうなことになりそうだぜ!」

ワッカは頭を抱えた。

兵士B  「よくもおめおめと姿を見せたな!エボンの名の下、成敗してやる!」

ティーダはため息をついた。

ティーダ  「だってさ。どうする。」

リュック  「売られたケンカは買うよ~。」

嬉しそうにリュックが答えた。

兵士A  「突撃準備!」

その時。

シェリンダ  「待ちなさ~い!」

シェリンダが走ってきた。

兵士A  「監督官殿・・・・?」

兵士たちは銃を下ろしてシェリンダを見た。

シェリンダ  「あなたたち、ユウナ様になんてことするんですか!

         ユウナ様が反逆者だというのは、アルベド族が流したデマです。」

その言葉にリュックが反応した。

リュック  「なにそれ!」

シェリンダ  「マイカ様がおっしゃいました。」

兵士B  「では、自分たちはどうすれば?」

リュック  「下がってなさい!」

いらつきながらシェリンダより早くリュックが言った。

シェリンダ  「そうしなさい。」

兵士たちは道をあけた。

リュックはシェリンダにつめよった。

リュック  「さっきの話、どういうことさ~!」

シェリンダは冷静に答えた。

シェリンダ  「あの、本当はわたしにもよくわからないんです。

         寺院全体がどたばた混乱していて・・・、わたしも、昨日突然呼ばれて門衛の監督を命じられたんです。」

アーロン  「ふっ、人手不足のようだな得意げ

シェリンダ  「はい。はっきり言って、寺院はかなり混乱してます。

         もう、ひどいんです!

         僧たちがみんなで責任を押し付けあってるんですよ。

         ああもう、エボンはどうなってしまうのでしょう・・・しょぼん

         でも!他の人が慌てているなら、わたしがしっかりしないとですよね!

         ユウナ様も、頑張っていらっしゃるんです。わたしだって、弱音は吐けません。」

ティーダ  「それよっかさ、マイカ総老師に会いたいんだけど・・・・・できる?」

シェリンダ  「はい!大丈夫だと思います。」

そう言うとシェリンダは走って戻っていった。

シェリンダ  「裁判の間でお待ちくださ~い!」

リュック  「あ、ちょっと待って~!アルベドの流したデマってナニさ~!」

シェリンダの背中に向かってリュックが叫んだが、そのまま走っていった。

アーロン  「気にするな。マイカもユウナに頼るしかないのだ。」

リュック  「はぁ・・・・・・、そゆことか。」

リュックは納得した。

ルールー  「虫がいいにもほどがあるわね。」

ティーダ  「んじゃ、説教してやるッスよ。」

ユウナ  「うん、行こう。」


ティーダたちは裁判の間でマイカを待った。

マイカ  「今更、何をしろうというのだ。早く『シン』を倒せばよかろう。

      ユウナレスカにまみえ、究極召喚を得たのであろう。」

現れたマイカは以前の偉そうな態度ではなかった。

バツが悪そうに俯いていた。

ティーダ  「ユウナレスカに会ったけどさ。」

ユウナ  「・・・・・・わたしたちで、倒しました。」

マイカ  「なんと!?」

マイカは驚いて顔を上げた。

アーロン  「もはや召喚士とガードが、究極召喚の犠牲になることはない。」

マイカ  「1000年の理を消し去ったというのか。

      この、おおたわけ者どもが!何をしたか、わかっておるのか。

      『シン』を鎮める、ただ一つの方法であったものを・・・・。」

ティーダ  「ただ一つなんて決めつけんなよ。新しい方法、考えてる。」

マイカ  「な・・・・。

      そのような方法など、ありはせぬわ!」

アーロン  「尻尾を巻いて、異界に逃げるか。」

マイカ  「スピラの救いは失われた。もはや、破滅は免れえぬ。

      エボン=ジュが作り上げた、死の螺旋に落ちゆくのみよ。

      わしは、スピラの終焉を見とうない・・・・。」

がっくりと肩を落とすマイカ。

ユウナ  「終わりにはしません!」

ティーダ  「なあ、エボン=ジュって・・・・・・。」

ルールー  「ユウナレスカ様もおっしゃってたわ。」

リュック  「ちょっとじーさん!エボン=ジュってなんなのよ!」

マイカ  「・・・・死せる魂を寄せ集め、鎧に変えて纏うもの。

      その鎧こそ、『シン』にほかならぬ。『シン』はエボン=ジュを守る鎧。

      その鎧を打ち破る究極召喚をおまえたちが消し去った!

      誰も倒せぬ。」

そう言うと、マイカは両手を挙げた。

マイカの体をたくさんの幻光虫が舞った。

そして、マイカは消えた。

ワッカ  「ふざけやがって!好き勝手ほざいて逃げやがった!」

そこにシェリンダがやってきた。

シェリンダ  「あの、マイカ総老師は?」

ユウナ  「あの・・・・。」

ユウナが慌てて答えようとしたのを、アーロンが遮った。

アーロン  「まだ来ないぞ。いつまで待たせる気だ。」

シェリンダ  「変ですねぇ・・・・。わたし、探してきますね。」

シェリンダはまた走っていった。

ふと、目の前に祈り子がいた。

ティーダ  「おまえ・・・・。」

祈り子  「僕の部屋へ来て。」

ユウナ  「・・・・・はい。」

そして祈り子は消えた。

ワッカ  「誰と話してんだ?」

どうやら、ティーダとユウナ以外には見えないらしい。

ティーダ  「ああ、なんでもないよ。」

ユウナ  「祈り子様に会いに行ってきます。」

ユウナはアーロンに言った。

アーロン  「・・・・なるほどな。」


ティーダとユウナは祈り子の部屋に入った。

祈り子  「やあ。」

ユウナ  「いつも、お世話になっています。」

ティーダ  「で、なんだ?」

祈り子  「『シン』を復活させずに倒す方法、わかった?」

ティーダ  「う~んと・・・・・。わかったつもり。」

祈り子  「どうするの?」

ティーダ  「エボン=ジュを倒す!」

祈り子  「そう。エボン=ジュを倒せば、・・・・終わる。

       ねえ、エボン=ジュのこと、どれぐらい知ってる?」

ティーダ  「『シン』が復活するカギ。」

ユウナ  「『シン』という鎧を纏った存在。」

祈り子は頷いた。

祈り子  「エボン=ジュはね、昔、召喚士だった。

      あれほどの召喚士はいない。

      でも今は、ただ召喚を続けているだけの存在。

      悪意も善意もなく、永遠の夢を願っているだけの存在。

      永遠なんて・・・・・ないのにね。」

ティーダ  「ああ。オレたちが、終わらせるからな。」

祈り子  「うん。

      究極召喚で『シン』を倒しても、エボン=ジュは倒せない。

      エボン=ジュは究極召喚獣に乗り移って、それを新しい『シン』に作り変えてしまう。」

ユウナ  「エボン=ジュが、乗り移る・・・。」

祈り子  「そして、新しい『シン』に守られて、エボン=ジュは召喚を続けるんだ。」

ティーダ  「永遠に・・・・か。」

祈り子  「でも、キミたちが終わらせるから、永遠なんて・・・ない。」

ティーダ  「おう。」

祈り子  「エボン=ジュは『シン』の中にいるよ。

      ねえ、ユウナ。僕たちも協力するから、エボン=ジュと戦う時は、必ず召喚して欲しい。

      キミたちの剣や魔法じゃ、倒せないと思う。

      だから・・・・呼んで。必ずだよ。」

ユウナ  「はい。」

祈り子  「それから、・・・・・キミ。」

祈り子はティーダを見た。

祈り子  「すべてが終わったら・・・、僕たちは夢みることをやめる。

      僕たちの夢は、・・・・・消える。」

ティーダ  「うん。

        あんたたち、長い間頑張ったもんな。」

ティーダは笑顔で答えた。

祈り子  「・・・・・・ごめん。」

ティーダ  「おつかれさん!」

ティーダは右手を挙げた。

祈り子は消えた。

ユウナ  「なんの話?」

ティーダ  「なんでもない。」

ユウナは心配そうにティーダを見た。

ティーダ  「そんな顔すんなよ!

        オレたち、『シン』を倒せるんだぞ!もっと嬉しそうな顔しろよ!」

ユウナ  「何か隠してるよねむっ

ユウナはまっすぐティーダを見た。

ティーダ  「隠してない。」

ティーダはそっぽを向いた。

そして部屋を出ようと歩き出した。

ユウナ  「本当に?」

ティーダは手を挙げた。

ユウナ  「ウソ・・・・・下手だねしょぼん

ユウナはつぶやいた。


部屋を出るとシェリンダが走ってきた。

シェリンダ  「あの、・・・・マイカ総老師がどこにもいらっしゃらないんです。」

ティーダ  「それ、もういいんだ。」

シェリンダ  「はあ・・・・・そうですか。」

不思議そうにティーダを見るシェリンダ。

そして急にリュックが言った。

リュック  「そうだ!」

ティーダは驚いてリュックを見た。

リュックはティーダに言った。

リュック  「歌のこと、頼んでもいい?」

ティーダ  「ああ!そうそう!」

リュックはシェリンダに言った。

リュック  「えっとね。できるだけ大勢の人に伝えて欲しいんだけど。」

シェリンダ  「はい、なんでしょう?」

リュック  「空を飛ぶ船が祈りの歌を歌う。

       それが聞こえたら、みんなも一緒に歌ってください。」

ワッカ  「スピラ中に伝えてくれ!」

シェリンダ  「意味が・・・・・わかりません。」

頭を抱えるシェリンダ。

リュック  「なんでもいいの!このまま伝えて!」

シェリンダ  「空を飛ぶ船が祈りの歌を歌う。それが聞こえたら、みんなも一緒に歌ってください・・・ですね。」

ティーダ  「それで、『シン』を倒せるかもしれないんだ。」

シェリンダ  「ほんとですか!」

やっと意味がわかり、興奮するシェリンダ。

ユウナ  「はい!」

シェリンダ  「すごいです!

         まかせてください!スピラ中に伝えます!」

シェリンダは嬉しそうに走っていった。



飛空挺に戻ると、突然ワッカがシドに言った。

ワッカ  「今のうちに、ケジメつけたいことがあってよ。

      オレ・・・・、アルベドのこと、何にも知らなかった。

      よく知らないくせに、話、聞こうともしねえで・・・、毛ギライしてたんだ。

      だから、ええと、その・・・・・・・、オレが悪かった。

      申し訳ありませんでした!」

ワッカは深く頭を下げた。

そんなワッカをシドは笑った。

シド  「気にすんじゃねえ。

     オレだってエボンの民ってヤツが大っキライでよ。

     ま、世の中にはいろんなヤツがいる。いいヤツもいれば、イヤなヤツもいる。

     そんだけの話よ。」

リュックもその様子を見て微笑んでいた。


ふと、下を見ると、寺院らしきものがあった。

ティーダたちはそこによることにした。




飛空挺が降り立ったのは、以前ティーダが初めてスピラに来た時にいたバージ=エボン寺院だった。

祈り子の部屋にいたのは、シーモアの母親だった。

ユウナ  「シーモア老師の母君ですね。」
シーモアの母  「知っていて、わたしの力を求めるのですか。
         息子を…憎んでいたのでしょう?」
ユウナは答えなかった。
シーモアの母  「…よいのです。
         憎しみの始まりはあの子。あの子のせいなのですから。
         そして、あの子を歪めてしまったのは、わたしの過ち…。
         グアドと人との間に生まれたあの子は、ずっと一人でした。
         ですから、一人でも生きてゆける力を与えたくて、わたしは祈り子になったのです。
         けれど…、あの子は力を得たあまり、逆に力にとりつかれてしまいました。
         わたしの力では満足できず、より大きな力を求めて…。」
ティーダ  「それで、『シン』かよ。」
ティーダはつぶやいた。
シーモアの母  「ええ…。
         おいでなさい、召喚士。我が力を授けましょう。
         暗黒の召喚獣、アニマ。
         呪われた闇の力で、あの子が目指した『シン』を消してください。
         それがあの子へのせめてもの償いです…。」
そういうと、シーモアの母は消えた。




帰ってくると、シドが興奮して言った。

シド  「いつおっぱじめてもいいぜ!『シン』との最終決戦ってやつをよ!」

ティーダは頷いた。

シド  「いよいよってわけだな。」

ティーダ  「『シン』の中に、エボン=ジュってのがいるんだ。そいつを倒す。」

シド  「ずいぶん単純な答えじゃねえか。」

ティーダ  「フクザツじゃなくてよかったろ得意げ

シド  「そりゃそうだ。」

リュック  「んで、アレ頼むよ!」

シド  「おう。アレだな?」

シドは機械を操作した。

祈りの歌が響き渡った。

シド  「どうだ?」

リュック  「バッチリ!」

ユウナは祈るように目を閉じた。

ルールー  「空飛ぶ船が歌う・・・・・か・・・。」

ワッカ  「あとはみんなが歌ってくれてばいいんだけどな。」

すると、目の前にシンが現れた。

アニキ  「『シン』!!」

ティーダは拳に力を入れた。

ティーダ  「おっし!行くぞ!」

ワッカ  「どうやって『シン』の中に入るんだ?」

ティーダ  「一番単純な方法しかないッス。」

リュック  「だね。」

ルールー  「じゃ、行きましょう。」

みんなは頷いた。

そして走った。

シド  「おい!何やらかすってんだ!?」

ティーダ  「口から入るか、『シン』の体に穴開けるかどっちかだな。」

シドはお腹を抱えて笑った。

シド  「そりゃまたどえらい作戦じゃねえか!」

アニキ  「トタビ、ワエムユアトフゲ!

      (オヤジ、あれをつかおうぜ!)」

シド  「おう。アレだな!」

ティーダ  「アレか!」

シド  「おうよ!

     風穴開けてやっからよ、そっから飛び込め!」

ティーダ  「うっす!」

シド  「気をつけろなんて言わねえ。思いっきりやってこい!」

ティーダ  「うっす!!」

アニキ  「ヤセ!

      (まて!)」

ティーダはアニキを見た。

アニキは一つ咳払いをして言った。

アニキ  「リュック、たの・・・・・む。」

ティーダ  「まかせとけ!」

ティーダは頷いてみんなの後を追った。




甲板に出ると祈りの歌がこだましていた。

リュック  「聞こえるよ・・・!」

ルールー  「・・・・本当だわ。」

リュック  「みんな歌ってくれてる!」

ティーダ  「期待に答えるッス!」

ティーダはユウナを見た。

ティーダ   「ユウナ。

        これ、もういらないだろ?」

ティーダはガガゼトで拾ったユウナのスフィアを出した。

ユウナ  「あっ!?えっと、あの・・・。」

ユウナは慌てた。

ティーダ  「いらないよな!」

ティーダは思いっきりスフィアを投げた。

ユウナは笑って頷いた。

その時、飛空挺が揺れ出した。

ワッカ  「おいおいおいおい・・・・。なんかやばいぞ!?」

ティーダは振り返ってシンを見た。

シンはエネルギーを集めているようだった。

シンと同じくらいの大きさのエネルギーの球が出来上がろうとしていた。

そのせいで、地上に広がる海は渦を巻き、空の雲は台風の目のようにシンの頭上だけぽっかりと空いていた。

シンはそのエネルギーを一気に放出した。

ティーダたちはしっかりと甲板に捕まっていた。

ふと見ると、海が割れていた。

そして、次の瞬間、大きな水しぶきをあげ、爆発を起こしながらこっちに迫ってきた。

ティーダたちはその場に倒れこむしかなかった。

衝撃が去り、ティーダはゆっくりと目を開けた。

目の前にはシンがいた。

ティーダ  「くそオヤジ・・・・。」

シド  「おい!『シン』の腕んところ、光ったの見えたか?

     ありゃ絶対なんかあるぜ!」

スピーカーからシドの声がした。

そして、飛空挺が大きく揺れた。

アニキ  「ヤブミ!

      (まずい!)」

シド  「ゴフキサ!

    (どうした!)」

アニキ  「『シン』シリチモヘナエセンガ!

      (『シン』にひきよせられてんだ!)」

リュック  「『シン』に引き寄せられてるって!」

シド  「おまえら、中に戻れ!」

アニキ  「タザミ!ルウボ!!

      (やばい!くるぞ!!)」

ティーダたちはその場で応戦した。

狙いは光っている左腕。

しばらく戦っているとシンが少し離れた。

シド  「ためしに一発かましてやらぁ!

     おまえら、そこで待機してろ!

     行くぞ!」

飛空挺からレーザービームをシンに打ち込んだ。

そして、シンの腕がちぎれ落ちた。

ティーダ  「やった!」

シド  「おまえらもよくやったじゃねえか!

     おっし!この勢いで反対側もやっちまうぞ!」

リュック  「勝手に決めるなあ!」

ティーダたちは右腕も同様に狙い撃ちした。

そしてまたシンが少し離れた時にレーザービームを打った。

シド  「トッキ!マッキャ!

    (おっし!はっしゃ!)」

右腕もちぎり落とした。

シド  「おっし!次はどこだ!?」

アニキ  「・・・・トカミダ。

      (・・・・おわりだ。)」

シド  「ワロスアヘ!ヨエアナビャメネア!

    (アホぬかせ!これからじゃねえか!)」

アニキ  「ガッセ、キュロフズッヨカエヒヤッサモ!

      (だって、主砲ぶっこわれちまったよ!)」

シド  「ハンガソ!?

    (なんだと!?)」

リュック  「主砲・・・、壊れたってさ・・・・。」

シド  「仕方ねえ。おまえら戻れ!作戦練り直~し!」

ティーダ  「いーや、行くッス!!

        勢いがある時は、勢いに乗るッス!

        これ、ブリッツの鉄則!!」

そう言うとキマリが走り出した。

キマリ  「ロンゾの心意気を見ろ。」

ティーダ  「待てよ!エースはオレだっつーの!」

ティーダはキマリに続いてシンに飛び移った。

みんなもその後に続いた。

まず、シンのコケラ:グナイを倒し、直接シンを攻撃した。

その部分が動かなくなるとシンは落下し始めた。

ティーダたちは即座に飛空挺に避難「した。

シンが落ちた場所はベベルだった。

ティーダたちは操縦室に戻った。

アニキ  「トタビ!トエ・・・、トエキンビナエメネモ!

      (オヤジ!おれ・・・、おれ信じられねえよ!)」

シド  「セメネオレンサヤガノフダ。キンビメネベゴフヌウッセンガ!

    (てめえの目んたまだろうが。信じねえでどうするってんだ!)」

アニキ  「リュック、タッサハ!

      (リュック、やったな!)」

倒れたままのシンを見てユウナが言った。

ユウナ  「復活・・・・するかな?」

ティーダ  「たぶんな。」

シド  「なんでぇ!?そうなのかよ!」

ティーダ  「『シン』の中にいるヤツを倒さなくちゃならない。」

ワッカ  「これだけで倒せたら、討伐隊だって苦労しねえよな。」

ルールー  「でも、『シン』を弱らせたのは確かじゃない?」

リュック  「そうだよそうだよ!」

シド  「おっし。今のうちに主砲の修理だ。」

そう言うとシドは操縦室を出て行った。

ユウナも考え事をしながら出て行った。

ティーダはユウナの後を追った。

ユウナは甲板からシンを見ていた。

ユウナ  「ジェクトさん・・・・苦しいのかな。」

ティーダ  「終わらせよう、早く。

        祈り子も協力してくれるっていうしさ。」

ユウナ  「あの言い方、気になるんだ。」

ティーダ  「ん?」

ユウナ  「ずっと一緒に戦ってくれてたのに、今になって『協力する』なんて・・・・。」

ティーダ  「まあ・・・・な。」

ユウナ  「・・・・・あっ!

       『シン』が復活するのは、エボン=ジュが召喚獣に乗り移るから・・・・だよね。

       わたしが召喚したら、きっとエボン=ジュは乗り移ってくる。

       それは・・・・・小さな『シン』だよね?」

ティーダ  「あ!それなら、究極召喚じゃなくても倒せるかも!」

ユウナ  「倒しても、またエボン=ジュが乗り移るよ。」

ティーダ  「そうなったらまた倒す!

        最後にはエボン=ジュは行き場をなくしてさあ!

        あ・・・・・・。」

ユウナ  「やらなくちゃ・・・・・ならないんだよね。」

ティーダ  「そう・・・・だな。

        ほら、祈り子も疲れたって言ってたしさ。

        休ませてやろうよ。」

ユウナ  「祈り子様、夢見ることをやめるって言ってた。

       夢は消えるって・・・・言ってた。

       どういう意味かな?

       ねえ、エボン=ジュは『シン』の中で何を召喚しているのかな。」

ティーダ  「祈り子の・・・・夢。」

ユウナ  「キミは・・・・消えないよね。」

ユウナは俯いた。

その時、リュックの声がスピーカーから聞こえた。

リュック  「ユウナたち!どこにいるの!?

       『シン』を見て!」

見るとシンは羽を広げていた。

そして少し飛んでベベルの上空でとまった。

ティーダたちは操縦室に戻った。

アーロン  「ジェクトは・・・・待っているようだな。」

シド  「オレたちゃ、どうすりゃいいんだ。

     言っとくが、もう援護はできねえぞ。」

ティーダ  「もうどうもこうもないだろ。

        正面から行く。」

みんな頷いた。

シド  「おっし!

     ヤツの口の正面につけろ!

     ちっとでもズレたら、その髪の毛、むしってやるからな!」

シドはとさか頭のアニキに命令した。

アニキ  「まかせろ、オレに。

       送ってやる。間違いないッス。」

アニキは片言で答えた。

ティーダ  「また甲板から飛び移ろう!」

ユウナ  「父さんたちの願い・・・・叶えに行こう!」

ティーダたちはまっすぐシンを見つめた。


ザナルカンドに着くと、日が暮れかけていた。

ティーダたちはそこで休憩することにした。

焚き火を囲んでみんなで座った。

みんな、いろんな想いをかかえて黙っていた。

ティーダはふと立ち上がって丘に登った。

そして、そこから遺跡のザナルカンドを見ながら言った。

ティーダ  「最後かもしれないだろ?だから、全部話しておきたいんだ。」

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ティーダ  「なあ、もっといろいろあったよな?

        そういえばあの時とか・・・・、誰か、なんかない?」

ティーダは焦っていた。

辺りはすっかり暗くなっていた。

スッとユウナが立った。

ユウナ  「・・・・・・・あのね。」

ティーダ  「なに?」

ティーダは待ってましたとばかりに嬉しそうに返事した。

ユウナ  「思い出話は・・・もう、おしまいっ。」

ユウナは笑った。

ユウナ  「行こう。」

ティーダは黙ったまま、頷くしかなかった。

ティーダたちはザナルカンドの道を歩いた。

至るところに幻光虫が浮かんでいた。

ワッカ  「異界・・・・みたいだな。」

アーロン  「似たようなものだ。」

ティーダたちはエボン=ドームへ向かった。

着くと、案内人がいた。

案内人  「長き旅路を歩むものよ、名乗りなさい。」

ユウナ  「召喚士ユウナです。ビサイドより参りました。」

案内人  「顔を・・・・。そなたが歩いてきた道を見せなさい。」

案内人はユウナの顔をじっと見た。

案内人  「よろしい。大いに励んだようだな。

       ユウナレスカ様もそなたを歓迎するであろう。

       ガード衆共々、ユウナレスカ様のみもとに向かうがよい。」

ユウナ  「・・・・はい。」

ユウナたちを見送ると、案内人はすうっと消えた。

中に入ると、多くの幻光虫がいた。

そのせいか、いろんな思いが形となっていた。

女  「スピラを救うためならば、わたしの命など喜んで捧げましょう。

    ガードとして、これほど名誉なことはありません。

    ですからヨンクン様、・・・・必ずや『シン』を倒してください。」

それを見てリュックは震えた。

リュック  「ナニ?今のナニ~?」

アーロン  「かつてここを訪れた者だ。」

ルールー  「ヨンクン様って言ってたわね・・・。

        あの人、大召喚士様のガード!?」

アーロン  「幻光虫に満ちたこのドームは、巨大なスフィアも同然だ。

        想いを留めて残す。いつまでもな・・・・・。」

しばらく行くと、幼い頃のシーモアが現れた。

シーモア  「いやだ!やだよ、かあさま!かあさまが祈り子になるなんて!」

シーモアの母  「こうするしかないの。

           わたしを召喚して、『シン』を倒しなさい。

           そうすれば、みんなあなたを受け入れてくれる。」

シーモア  「みんななんてどうでもいいよ!

        かあさまがいてくれたら、何にもいらないよ!」

シーモアの母  「わたしには、もう時間がないのよ・・・・。」

ワッカ  「おい、今のってよ・・・・。」

リュック  「シーモア?」

不思議な現象にとまどいながら先へ進んだ。

ティーダ  「あっ・・・。」

今度はブラスカ一行だった。

ジェクト  「なあ、ブラスカ。やめてもいいんだぞ。」

ブラスカ  「気持ちだけ受け取っておこう。」

ジェクト  「・・・・わーったよ。もう言わねえよ。」

アーロン  「いや、俺は何度でも言います!

        ブラスカ様、帰りましょう!あなたが死ぬのは・・・・・嫌だ・・・・。」

ブラスカ  「君も、覚悟していたはずじゃないか。」

アーロン  「あの時は、・・・・・どうかしていました。」

ブラスカ  「私のために悲しんでくれるのは嬉しいが・・、私は悲しみを消しに行くのだ。

        『シン』を倒し、スピラを覆う、悲しみを消しにね。

        わかってくれ、アーロン。」

アーロンは黙ったままだった。

回廊を抜け、試練の間の前まできた。

また、ブラスカたちがでてきた。

ジェクト  「もしかして、この先、試練か?」

ブラスカ  「たぶんな。」

ジェクト  「かったりぃなあ・・・・・。ここまで来てまたかよ。

       オレはまた歓迎の花火でもバンバン上がるかと思ってたぜ。」

ブラスカ  「私が『シン』を倒したら、そうしてもらえばいいさ。」

ティーダたちは試練の間に入った。

試練の間を抜けると、アーロンが言った。

アーロン  「ユウナ・・・・着いたぞ。」

ユウナ  「究極召喚・・・・・ですね。」

アーロン  「行け。」

ユウナ  「はい。」

ユウナはアーロンに一礼して奥の部屋に進んだ。

ジェクト  「ああん?究極召喚がねえだあ!?」

アーロンの中で、あの時のジェクトの言葉が響いた。

そして、ユウナが戻ってきた。

ユウナ  「アーロンさん!

       みんな来て!」

ティーダたちは祈り子の部屋へ入った。

ユウナ  「これ、祈り子様じゃない。ただの石像なの。」

すると、奥からあの案内人が出てきた。

案内人  「その像はすでに祈り子としての力を失っておる。

       史上初めて究極召喚の祈り子となったゼイオン様。そのお姿を留める像にすぎぬ。

       ゼイオン様は、もう・・・・消えてしまわれた。」

ワッカ  「消えたぁ!?」

リュック  「てことは、究極召喚もなくなっちゃったの!?」

案内人  「ご安心なされい。

       ユウナレスカ様が新たな究極召喚を授けてくださる。

       召喚士と一心同体に結びつく、大いなる力を・・・。

       奥に進むがよい。ユウナレスカ様のみもとへ。」

そう言って、また案内人は消えた。

ユウナは先へ行こうとした。

ティーダ  「ちょっと待てよ。

        アーロン、あんた、最初っから知ってたんだよな?」

アーロン  「ああ。」

リュック  「どーして黙ってたの!?」

アーロン  「おまえたち自身に、真実の姿を見せるためだ。」

キマリ  「ユウナ。」

ユウナ  「もう戻れないよ。」

ユウナは前を向いたまま答えた。

キマリ  「わかっている。」

キマリはユウナのそばに行った。

キマリ  「キマリが先に行く。

       ユウナの前はキマリが守る。」

ユウナは微笑んで頷いた。

そして、キマリを先頭に奥の部屋に入った。

リュック  「なんか出てくるよ!?」

入ってすぐにリュックが叫んだ。

ユウナ  「ユウナレスカ様・・・・。」

ユウナレスカはさらに奥の扉からゆっくりと出てきた。

ユウナレスカ  「ようこそ、ザナルカンドへ。

           長い旅路を越え、よくぞ辿り着きました。

           大いなる祝福を今こそ授けましょう。

           我が究極の秘儀・・・・・・究極召喚を。

           さあ・・・・選ぶのです。」

ユウナは何を言われてるのかわからずたじろいだ。

ユウナレスカ  「あなたが選んだ勇士を一人、わたしの力で変えましょう。

           そう・・・・・。あなたの究極召喚の祈り子に。」

みんな驚いた。

ユウナレスカ  「想いの力。絆の力。その結晶こそ、究極召喚。

           召喚士と強く結ばれた者が、祈り子となって得られる力。

           二人を結ぶ想いの絆が、『シン』を倒す光となります。

           1000年前、・・・・わたしは我が夫、ゼイオンを選びました。

           ゼイオンを祈り子に変え、わたしの究極召喚を得たのです。

           恐れることはありません。

           あなたの悲しみはすべて解き放たれるでしょう。

           究極召喚を発動すれば、あなたの命も散るのです。

           命が消えるその時に、悲しみは消え去ります。

           あなたの父、ブラスカもまた、同じ道を選びました。」

その瞬間、幻光虫がブラスカたちを映した。

アーロン  「まだ間に合う。帰りましょう!」

ブラスカ  「私が帰ったら、誰が『シン』を倒す。

        他の召喚士とガードに同じ思いを味あわせろと?」

アーロン  「それは・・・・・。

        しかし、何か方法があるはずです!」

ジェクト  「でも、今は何もねぇんだろ。

       ・・・・・決めた。

       祈り子にはオレがなる。

       ずっと、考えてたんだけどよ・・・・。

       オレの夢は、ザナルカンドにいるあのチビを一流の選手に育て上げて、てっぺんからの眺めってやつを見せてやりたくてよ。

       でもな・・・・、どうやらオレ、ザナルカンドにゃ帰れねえらしい。

       アイツには・・・・・、もう会えねえよ。

       となりゃ、オレの夢はおしまいだ。

       だからよ、オレは祈り子ってやつになってみるぜ。

       ブラスカと一緒に『シン』と戦ってやらあ。

       そうすればオレの人生にも意味ができるってもんよ。」

アーロン  「ヤケになるな!

        生きていれば・・・・、生きていれば無限の可能性があんたを待っているんだ!」

ジェクト  「ヤケじゃねえ!オレなりに考えたんだ。

       それによ、アーロン。

       無限の可能性なんて、信じるトシでもねぇんだ、オレは。」

ブラスカ  「ジェクト。」

ジェクト  「なんだ。止めても無駄だぞ。」

ブラスカ  「すまん・・・・・・・。いや、ありがとう。」

ジェクト  「ブラスカにゃ、まだ『シン』を倒すって大仕事が待ってる。

       オレの分までブラスカを守れよ。」

アーロン  「・・・・・・・・・。」

ジェクト  「んじゃ、行くか!」

アーロン  「ブラスカ様!ジェクト!」

ジェクト  「まだ何かあんのかぁ!?」

アーロン  「『シン』は何度でも蘇る!

        短いナギ節の後で、また復活してしまうんだ!

        この流れを変えないと、二人とも無駄死にだぞ!」

ブラスカ  「だが、今度こそ復活しないかもしれない。

        ・・・・・・・賭けてみるさ。」

ジェクト  「ま、アーロンの言うことももっともだ。

       よし、オレが何とかしてやる。」

アーロン  「何か策があるというのか?」

ブラスカ  「ジェクト?」

ジェクト  「無限の可能性にでも期待すっか!

       ははははははは。」

二人は奥の部屋へ入っていった。

アーロンは一人座り込むだけだった。

アーロンは幻光虫が見せる幻に向かって、過去の自分に向かって切りかかった。

アーロン  「そして・・・・何も変わらなかった。」

ティーダ  「オレたちが変えてやる。」

ワッカ  「どうやって!作戦なんて何もねえんだろ?」

ルールー  「誰かが、祈り子になる必要があるなら・・・、私、いいよ。」

ずっと俯いたままのユウナにやさしく言うルールー。

ワッカ  「オレもだ、ユウナ!」

ティーダ  「それじゃあオヤジたちと一緒だろ!ナギ節作って、・・・・そんだけだ!また復活しちゃうだろ!」

ワッカ  「あのな・・・『シン』を倒してユウナも死なせねえ。そんで『シン』の復活も止めたいってか?

      全部叶えば最高だけどよ!」

ルールー  「欲張りすぎたら・・・・全部失敗するわ。」

ティーダ  「イヤだ、欲張る。」

ワッカ  「青臭いこと言うなよ!」

ティーダ  「青くてもいい!

        オトナぶってカッコつけてさ。言いたいことも言えないなんて絶対イヤだ!

        そんなんじゃ何も変えられない!

        オレ、・・・・・・この青さはなくさない。

        ああどうしたらいいかなんてわかんないよ。

        でも、10年前のアーロンが言ってたこと・・・・、オレも信じるッス。」

リュック  「無限の・・・可能性?」

ティーダ  「うん。

        オレ、行ってくる。ユウナレスカに話聞く。」

リュック  「聞いたら、なんとかなるのかあ?」

ティーダ  「さあな。わかんないけど・・・・。

        オレの物語・・・・・。

        くだらない物語だったら、ここで終わらせてやる!」

ユウナ  「待って。

       ねえ・・・。わたしにとっては、私の物語なんだよ。

       振り回されてちゃダメ。ゆらゆらゆれて流されちゃダメ。どんな結末だって、きっと後悔する。

       そんなの・・・・・・いやだ。

       わたし・・・・・、決める。自分で決める!」

ユウナたちはみんなで奥に進んだ。

そこは、外だった。

一面に輝く星たちがティーダたちを見守っていた。

ユウナレスカ  「祈り子となる者は決まりましたか。

           誰を選ぶのです。」

ユウナ  「その前に、教えてください。

       究極召喚で倒しても、『シン』は絶対に蘇るのでしょうか。」

ユウナレスカ  「『シン』は不滅です。

           『シン』を倒した究極召喚獣が新たな『シン』となりかわり、必ずや復活をとげます。」

ティーダ  「そんでオヤジが『シン』かよ・・・・。」

ユウナレスカ  「『シン』はスピラが背負った運命。永遠に変えられぬ宿命です。」

ワッカ  「永遠にって・・・。

      でもよ!人間が罪を全部償えば、『シン』の復活は止まるんだろ?

      いつかはきっと、なんとかなんだろ!?」

ユウナレスカ  「人の罪が消えることなどありますか?」

ルールー  「答えになっていません!

        罪が消えれば『シン』も消える。エボンはそう教えてきたのです!

        その教えだけが・・・・スピラの希望だった!」

ユウナレスカ  「希望は、・・・なぐさめ。

           悲しい定めも、あきらめて受け入れるための力となる。」

ティーダ  「ふざけんな!」

アーロン  「ふざけるな!」

ティーダの言葉と、幻のアーロンの言葉が重なった。

アーロン  「ただの気休めではないか!

        ブラスカは教えを信じて命を捨てた!

        ジェクトはブラスカを信じて犠牲になった!」

ユウナレスカ  「信じていたから、自ら死んでゆけたのですよ。」

アーロンはユウナレスカに剣を向けて走った。

そしてユウナレスカの力によってはじき返されて倒れた。

ユウナレスカ  「究極召喚とエボンの教えはスピラを照らす希望の光。

          希望を否定するのならは生きても悲しいだけでしょう。

          さあ、選ぶのです。あなたの祈り子は誰?

          希望のために捧げる犠牲を。」

ユウナはしばらく下を向いたまま黙っていた。

そして、まっすぐユウナレスカを見た。

ユウナ  「・・・いやです。

       死んでもいいと思ってました。わたしの命が役に立つなら・・・・死ぬのも怖くないって。

       でも・・・・究極召喚は・・・・何一つ変えられないまやかしなのですね。

ユウナレスカ  「いいえ、希望の光です。

          あなたの父も・・・希望のため犠牲となりました。悲しみを忘れるために。」

ユウナ  「違う。

       父さんは・・・・、父さんの願いは!悲しみを消すことだった。

       忘れたり、ごまかすことじゃない・・・・。

ユウナレスカ  「消せない悲しみに逆らって、何の意味があるのです。

ユウナ  「父さんのこと・・・・、大好きだった!だから・・・、父さんにできなかったこと、わたしの手で叶えたい!

       悲しくても・・・生きます。生きて、戦って、いつか!今は変えられない運命でもいつか・・・・必ず変える!

       まやかしの希望なんか、いらない!」

ユウナレスカ  「哀れな・・・。自ら希望を捨てるとは。

          ならば・・・、あなたが絶望に沈む前に、せめてもの救いを与えましょう。

          悲しい闇に生きるより、希望の光に満ちた死を。

          すべての悲しみを忘れるのです。」

ユウナレスカは戦闘体制にはいった。

アーロン  「さあ、どうする!

        今こそ決断する時だ。死んで楽になるか。生きて悲しみと戦うか!

        自分の心で感じるままに物語を動かす時だ!」

キマリ  「キマリが死んだら、誰がユウナを守るのだ。」

リュック  「あたし、やっちゃうよ!」

ワッカ  「ユウナレスカ様と戦うってのか?冗談キツイぜ・・・。」

ルールー  「じゃあ逃げる?」

ワッカ  「へっ!

      ここで逃げちゃあ・・・・、オレぁ、オレを許せねえよ。たとえ死んだってな!」

ルールー  「・・・・・同じこと考えてた。」

ティーダ  「ユウナ!

        一緒に続けよう。オレたちの物語をさ!」

頷くユウナ。

ユウナレスカは3段階の変形をしたが、なんとか倒すことができた。

消える前にユウナレスカが言った。

ユウナレスカ  「わたしが消えれば・・・・、究極召喚は失われる。

          あなた方はスピラの希望を消し去ったのです。」

ティーダ  「だから他の方法を探すんだよ!

ユウナレスカ  「愚かな・・・・・。そのような方法などありません。

          たとえ、あったとしても・・・、万一『シン』を倒せても・・・・、永久に生きるエボン=ジュが新たな『シン』を生み出すのみ。」

ティーダ  「エボン=ジュ!?」

ユウナレスカ  「ああ・・・ゼイオン、許してください。

          希望の光を失って、スピラは悲しみの螺旋に落ちる・・・。」

ユウナレスカは幻光虫に包まれて、消えた。

ユウナ  「とんでもないこと・・・・、しちゃったのかな。」

ティーダ  「もっととんでもないこと、しよう。」

リュック  「どんな?」

ティーダ  「『シン』を倒す。

        究極召喚なしで。しかも復活させないように。

        『どうやって』って、聞くなよな得意げ

ティーダはニヤリと笑った。

ティーダたちは前の部屋に戻った。

みんなが先へ進む中、アーロンがティーダを呼び止めた。

アーロン  「話がある。」

ティーダ  「なんだよ。」

アーロン  「そろそろ、はっきりさせておこう。」

ティーダ  「・・・・・そっか。やっぱ、あんたも・・・・。」

アーロン  「ああ。俺も死人だ。

        もっと驚くと思ったが?」

ティーダ  「なんか・・・・・、そんな気がしてたんだ。

        ユウナレスカにやられたんだろ。」

アーロン  「ブラスカが『シン』と戦い、命を落とした後でな。

        納得できなかったんだよ。

        あいつらの敵を討つために、もう一度ここに来て・・・・、・・・・返り討ちだ。

        なんとか一命をとりとめて、ガガゼトを這い降りたが、ベベルの手前で力尽きてな。

        その時会ったのが、キマリだ。

        ユウナをまかせて、・・・・・俺は死んだ。

        それ以来、異界にも行かず、こうしてさまよっている。」

ティーダ  「アーロン・・・・。」

アーロン  「そんな顔をするな。

        こういう体で得したこともある。

        『シン』に乗って、おまえのザナルカンドにも行けたしな。」

ティーダ  「そんで、・・・・・ずっとオレの事見守ってくれたのか。

        どうして・・・・。どうしてそこまでするんだよ、あんた!」

アーロン  「こういうことはな、口では説明できんのだ。

        いいだろう。見せてやろう。」

ティーダ  「え?」

アーロン  「俺の記憶だ。」

そう言うと、アーロンは目を閉じた。

ジェクト  「最後に・・・・、いっこだけ、いいか。

       あのよ・・・、わりい、やっぱ、やめとくわ。」

アーロン  「いいから言えよ!」

ジェクト  「そうか。じゃあ言っちまうぞ。

       ・・・・息子を、頼む。

       ザナルカンドのあいつを頼む。あいつ・・・・泣き虫だからな。

       誰かついててやんねえと、心配で心配でよ。

       だからよ・・・・頼むわ。」

アーロン  「しかし、ザナルカンドなんて、どうやって行けば・・・。」

ジェクト  「なんでえ、なっさけねえな!

       おめえの言う、『無限の可能性』ってヤツでなんとかしてみろよ。」

アーロン  「・・・・ああ!やってやろうじゃないか!

        約束しよう。

        あんたの息子は、俺が守る。死んでも・・・・守ってやる。」

ジェクト  「すまねえな、アーロン。

       おめえはカタブツ野郎だが・・・、そういうとこ、キライじゃなかったぜ。」

アーロン  「こういうことだ。」

そして、アーロンはそれ以上何も言わなかった。

外に出ると、夜明けだった。

うっすらとした明かりの中で、大きくうごめくものがあった。

シンだ。

それは、まるでティーダたちの帰りを待っているかのようだった。

ティーダ  「オヤジ・・・・・。

        もう、究極召喚はないんだ。

        でもなんとかするから。

        もう少し・・・・・待っててくれよな。」

ティーダがそう言うと、シンはゆっくりと去っていった。

そして、シンとすれ違うように、飛空挺がやってきた。

ティーダたちは飛空挺に乗り込んだ。

雪に覆われたガガゼト山に入ると突然ビランが目の前に降り立った。

周りを見ると多くのロンゾ族に囲まれていた。

ケルク  「召喚士ユウナとガード衆よ。早々に去れ。」

その奥から、ケルク=ロンゾが現れた。

ケルク  「ロンゾが守護するガガゼトはエボンの聖なる山。

      教えに背いた反逆者には御山の土は踏ませない。」

ビラン  「エボンの敵はロンゾの敵。帰れ、反逆者!」

ユウナ  「わたしは寺院を捨てました。もう寺院の命令には従いません。」

ユウナは攻められる言葉に臆することなく言った。

ケルク  「その言葉、取り返しがつかぬぞ!」

ユウナ  「かまいません。

       寺院は教えを歪め、スピラを裏切っています。」

ワッカ  「裏で小細工ばっかしやがってよ!」

ティーダ  「そうだそうだ!」

リュック  「そうだそうだ!」

ティーダもリュックも拳を振り上げた。

ユウナ  「未練はありません。」

エンケ  「言わせておけば!」

ケルク  「召喚士とガードともあろう者が・・・。」

ルールー  「お言葉ですが、ケルク=ロンゾ様。

        あなたもベベルを離れたのではありませんか?」

アーロン  「それでも山を守るのは一族の誇りのため。

        ユウナも同じだ。」

ケルク  「むっ・・・・・。」

ビラン  「ケルク大老!

      こいつら、ビランが八つ裂きにしてくれよう!」

エンケ  「一人も逃がさん!」

ビランは前に出た。

それを見てキマリがエンケの前に立った。

下から見上げるキマリ。

ユウナ  「ええ。逃げません。戦って旅を続けます。」

ケルク  「反逆者の汚名を着せられてなお、『シン』に挑むと言うか。

      寺院に背き、民に憎まれても旅を続けると言うか!

      そこまでして戦うのは何ゆえか!」

ユウナは一息ついて、笑った。

ユウナ  「スピラが好きです。

       ナギ節を待つ人たちにわたしができる贈り物。たった一つの贈り物。

       それは、『シン』を倒すこと。・・・・・・・・・・それだけです。」

ケルクはあきれたように首を横に振った。

ケルク  「己を犠牲にしても、か・・・。」

ケルクはユウナに背を向けた。

ケルク  「者ども、道を開けい。

      召喚士ユウナよ。汝の思いはハガネより硬い。

      ロンゾの強者が束になろうと、汝の意思は曲がらぬであろう。

      まこと、見事な覚悟である。

      ・・・・・・・行くがよい。霊峰ガガゼトは、汝らを受け入れようぞ。」

ケルクは両手をガガゼト山に向けて挙げた。

ユウナ  「ありがとうございます。」


ティーダたちは歩き出した。

ルールーがささやいた。

ルールー  「ユウナ、強くなったわね。」

ティーダ  「強い・・・のかな。

        すごく必死になってる。そんな気しないか。」

ルールー  「だから強いのよ、あの子は。

        ちゃんと前に進んでる。

        弱い人が必死になっても自分を追い詰めて壊すだけ。ちゃんと前に進めるのは、強いからよ。

        ユウナは・・・・強くなった。私は、泣き言を言わずにいるのが精一杯あせる

ルールーは優しくユウナを見つめた。

アーロン  「決定的だな。」

ティーダ  「何がさ?」

アーロン  「エボンは揺れている。まだマイカが抑えているが、遠からず崩壊が始まるだろう。」

ティーダ  「そういうの、オレ、どうでもいいな。」

アーロン  「おまえはスピラの者ではないからな。

        純粋に教えを信じていた者にとっては、苦しい時代が始まるかもしれん。」

ふうっとため息をつくアーロン。

アーロン  「10年前も、ここでガガゼトを見上げたものだ。」

ティーダ  「オヤジは・・・・どうしてた?」

アーロン  「覚えていない。・・・・どうやってブラスカを死なせないようにするか・・・、俺はそればかり考えていた。」

アーロンは遠い目をしていた。

ふと、リュックがティーダのそでを引っ張った。

リュック  「なんか、思いついた?」

ティーダは首を横に振った。

リュック  「あたし、焦っちゃって、なんかダメだよ・・・しょぼん

そう言いながらも、リュックは頭を抱えて歩いていた。

ワッカ  「首、痛くなってくんな。」

高いガガゼト山のてっぺんを見てワッカが言った。

ティーダ  「この向こうがザナルカンドか・・・。」

ワッカ  「ああ。おまえの故郷だ。」

ティーダ  「信じてないくせに。」

ワッカ  「今は違うさ。

      そりゃあ山の向こうにあるのは遺跡かもしれねえ。けど、それとは別におまえのザナルカンドがどっかにある。

      きっと、な。なーに、そのうち帰れるって。」

ティーダ  「だと・・・いいなあせる

ティーダは下を向いた。

そんなティーダの肩をたたくワッカ。

ワッカ  「おら、元気ねえなあ。ま、締まってくぞ。」

苦笑いをするティーダ。

ふと見ると、キマリが辺りを気にしながら歩いていた。

キマリ  「ビランとエンケが消えた。」

ティーダ  「なーんかたくらんでそうだよな。ま、だいじょぶだって!」

キマリ  「ビランはロンゾ一の勇士。エンケも侮れない強者だ。」

ティーダ  「あ・・・・。たしかに、ごっついよな。」

キマリ  「それでもキマリは勝たねばならない。」

キマリはまっすぐに前を向いていた。




しばらく行くと、ビランとエンケが現れた。

ビラン  「待て!」

ティーダ  「また邪魔するってのかよ!」

ビラン  「召喚士は通す。ガードも通す。キマリは通さない。

      キマリはロンゾの面汚し。ロンゾの使命を捨てた者。」

エンケ  「一族を捨て、御山も捨てた!

      小さいロンゾ。弱いロンゾ!」

ビラン  「御山は、弱く小さい者を嫌う。

      登りたければ・・・・・。」

キマリ  「力を示せばいいのだな。」

キマリは力強く言い返した。

ビラン  「勝てると思うか?

      誰がキマリのツノを折ったか、忘れてはいまい。」

エンケ  「キマリは一度もビラン大兄に勝てなかった。」

キマリ  「今度は勝つ。勝つと決めた。」

キマリは前に出た。

ティーダも前に出ようとしたが、キマリが止めた。

ティーダ  「ロンゾの問題だってのかよ!」

キマリ  「キマリの問題だ。」

そしてキマリは二人に向かっていった。

ティーダたちはその様子を見ているだけだった。

ビラン  「ビランが八つ裂きにしてくれよう!」

エンケ  「ツノなし!ツノなし!」

二人がかりでキマリに向かってきた。

キマリは一人で二人を倒した。

ビラン  「強くなったな、キマリ。ビランは嬉しいぞ。」

ビランは山の頂を見た。

ビラン  「霊峰ガガゼトよ!

      ビランを負かした強者の栄えある名前を伝えよう!

      しかと覚えよ、ガガゼトよ!その名はキマリ=ロンゾなり!」

そして、ユウナを見た。

ビラン  「御山はキマリの強さを知った。キマリを受け入れるだろう。

      召喚士!

      寺院からの追っ手は、我らロンゾが食い止める。」

ユウナ  「本当ですか!」

ビラン  「昔、キマリのツノを折った償いだ。」

エンケ  「召喚士の後ろから来る敵は、我らが倒す。」

キマリ  「ユウナの前に立つ敵は、キマリが倒す。」

ビラン  「おまえほど恵まれた召喚士はいない。」

ユウナ  「ありがとうございます。」

エンケ  「おまえの像ができたら、ロンゾが磨いてやる。」

ユウナ  「・・・・・はい。

       でも、わたしは反逆者ですから、きっと像は作ってもらえません。」

ビラン  「ならばロンゾが作る。」

エンケ  「立派なツノをつけてやる。」

ユウナ  「はい。お願いします。」

ユウナは微笑んだ。


ティーダ  「オレも、ユウナの像を見上げたいと思った。

        ・・・・・・・・ユウナと一緒にさ。」


ビラン  「召喚士ユウナ!」

ティーダ  「しつこいっつうの!」

すると、ビランとエンケは祈りの歌を歌いだした。

気がつくと、他のロンゾ族も歌っていた。

ティーダたちはロンゾに見送られてガガゼト山を登った。




途中の道にいくつもの墓標があった。

ルールー  「ここで力尽きた召喚士や、ガードたちの墓標よ。この山で命を落とした召喚士は、異界送りされないのよ。」

ティーダ  「なんで・・・・。」

ルールー  「別の召喚士がいないと、誰も送れないでしょう?」

ティーダ  「ってことは・・・・。」

ルールー  「何人かは魔物になって、この辺りにいてもおかしくない。」

ティーダ  「ユウナは、大丈夫だけどな!」

ルールー  「そうね。

        でも、ここまで来て倒れるのは、悔しかったでしょうね・・・。」


そして、よくユウナの写真を撮って去っていく少年と会った。

少年  「はじめまして。ユウナ様。ボク、ワンツっていいます。」

ユウナ  「今まで、何度か会ってますよね。」

ティーダ  「今日は逃げないのか?」

ワンツ  「うん。兄さんの代わりに、ちゃんと仕事しないとね。

      旅の商人、23代目オオアカ屋。知ってる・・・・・よね?」

オオアカ屋はずっとユウナたちの旅についてきていた。

ベベルでの戦いの時にも味方してくれていた。

ティーダ  「おまえ、あいつの弟!?」

ワンツ  「うん。兄さん、ユウナ様を助けに来たがっていたけど、反逆者に協力した罪で寺院に捕まったんだ。」

ティーダ  「オレたちのせいか!?」

ワンツ  「でも、兄さんは後悔はしてない。だって、捕まる前に言ってたしね。

      自分の代わりに、ユウナ様を助けてくれって。」

ユウナ  「どうしてそんなに良くしてくれるんですか?」

ワンツ  「それは・・・。

      ほら!そんなこと気にしてる場合じゃないだろ?

      ボクの仕事、やらせてよ。

      オオアカ屋、よろしく!」

ワンツは誤魔化した。

ティーダたちはワンツからアイテムを購入した。

ユウナ  「お兄さんのご無事、祈ってます。」

ワンツ  「ユウナ様こそ、お気をつけて。」

ユウナ  「はい。」




峠にさしかかった時、リュックがティーダを止めた。

リュック  「山、越えたらザナルカンドだよ・・・。」

ティーダ  「わかってる。」

リュック  「ユウナ、究極召喚手に入れちゃうよ。」

ティーダ  「わかってるよ。」

リュック  「あたし・・・・、なんも思いつかないしょぼん

ティーダ  「オレもだ。」

二人で俯いた。

リュック  「どうしよ~?」

リュックは半泣きだ。

ティーダ  「なんとかなる。

        今のオレたちは何も知らない。

        このままじゃ、ユウナを助けられないけど、・・・・・ザナルカンドへ行こう。

        行けば何かわかるって。

        きっと、そこから始まるんだ。」

ティーダは顔を上げて、自信ありげに言った。

リュック  「へ~・・・・。」

リュックはニヤリと笑った。

ティーダ  「ん?」

リュック  「今、頼れるエースってカンジしたよ。」

ティーダ  「ザナルカンド・エイブスのエース!最初から言ってんだろ。」

リュック  「はは~っ!」

リュックはお辞儀した。

リュックが顔を上げた。

リュック  「あ~っ!?」

すぐ後ろにシーモアがいた。

シーモア  「ほう・・・・・。ジェクトの息子か。」

ティーダ  「リュック。先に行ってアーロンに伝えろ。」

リュック  「一人で戦う気!?」

ティーダ  「いいから行けって!」

リュックは頷いて走った。

シーモア  「ふっ・・・。よかろう。死の安息に沈め。」

ティーダ  「スカしてんじゃねえよ!」

ティーダは構えた。

キマリ  「かっこうをつけるな。」

すぐ前にいたのか、みんなが戻ってきた。

シーモア  「ユウナ殿、お久しゅう。」

ルールー  「ユウナ!」

ユウナは祈りのポーズをとった。

シーモア  「ふっ・・・。異界送りか。

        その前に、ロンゾの生き残りに伝えたいことがある。

        ふふふ・・・・。実に、実に勇敢な一族だった。

        私の行く手を阻もうと、捨て身で挑みかかり・・・、ひとり・・・、またひとり・・・・・。」

キマリ  「ばかな・・・。」

ユウナ  「キマリ・・・・・・。」

シーモア  「そのロンゾの悲しみ、癒してやりたくはないか?」

ユウナ  「何を言いたいのです。」

シーモア  「彼を死なせてやればいい。悲しみは露と消える。」

シーモアはユウナたちに背を向けた。

シーモア  「スピラ・・・・。死の螺旋に囚われた悲しみと苦しみの大地。

        すべて滅ぼして癒すために、私は『シン』になる。

        そう、あなたの力によって。」

シーモアはユウナを見た。

シーモア  「私と共に来るがいい。」

ティーダはユウナの前に立った。

シーモア  「私が新たな『シン』となれば、おまえの父も救われるのだ。」

ティーダ  「・・・・・・・おまえに何がわかるってんだ!!」

ティーダはシーモアに向かって走った。

シーモア  「あわれなものだな。

        だが、その絶望もここで消える。すべての嘆きを断ち切ってやろう。」

シーモアは終異体と変化した。

キマリ  「キマリはおまえを許さない!ロンゾの怒りが宿った槍で、撃ち滅ぼす!!」

シーモア  「スピラの悲しみを癒したくはないのか。

        滅びの力に身をゆだねれば、安らかに眠れるのだ。」

ユウナ  「あなたは逃げているだけです!」

ティーダたちはなんとかシーモアを倒すことができた。

シーモアは幻光虫をまとって消えた。

ティーダ  「もう邪魔すんなよ!」

ティーダたちは先へ進もうとした。

ユウナが立ち止まった。

ユウナ  「わたしの力で『シン』になる・・・・。」

アーロン  「たわごとだ。忘れろ。」

ユウナ  「彼が『シン』になれば、ジェクトさんが救われる・・・・?」

アーロン  「行くぞ。」

アーロンはユウナを無視しようとした。

ユウナ  「何か知ってるなら、教えてください!」

アーロンは黙ったままだった。

それを見てユウナはティーダの元へ行った。

ユウナ  「教えて。」

ティーダは隠せなかった。

下を向いたまま答えた。

ティーダ  「『シン』・・・・・・・オヤジなんだ。」

ワッカ  「なんだそりゃ?」

ティーダ  「『シン』はオレのオヤジだ。オヤジが『シン』になったんだ。

        リクツとかそういうの、よくわからない。

        でも、オレ、・・・・・感じた。『シン』の中にはオヤジがいる。

        オヤジがスピラを苦しめてるんだ。

        ・・・・・・・・・ごめん。」

ユウナ  「・・・・・・・・・ごめん。」

ユウナは下を向いたが、すぐティーダを見た。

ユウナ  「たとえ、『シン』がジェクトさんでも、・・・・・『シン』が『シン』である限り、わたし・・・。」

ティーダ  「わかってる。倒そう。

        オヤジもそれを望んでる。」

ルールー  「父親と、・・・・戦える?」

ティーダ  「大丈夫。やるよ、オレ。」

下を向いたまま、ティーダは答えた。

ワッカ  「なあ、その話よお・・・・。『シン』の毒気にやられて、夢を見た・・・・・・わけじゃねえよな。」

ティーダ  「・・・・・おう。」

ワッカ  「んじゃ、チャップは・・・・。

      ・・・・・・・・・・わりいけどよ、オレ、何も聞いてねえことにしとくわ。

      アタマこんがらがってきたぞ?

      なんでまたそんなことになっちまったんだ。」

アーロン  「行けばわかる。もうすぐだ。」

ティーダたちは登山道に入った。




ユウナ  「あっ!?」

そこは祈り子の断崖。

壁一面、祈り子で埋め尽くされていて、異様な気を放出していた。

その気の流れ出た先では渦となり、空高く竜巻のようになっていた。

ワッカ  「なんだこれ!?」

ユウナ  「祈り子様だよ。」

ユウナはそっと壁に近寄った。

ユウナ  「召喚されてる・・・。誰かが召喚してる。この祈り子様たちから力を引き出してる。」

リュック  「こんなにいっぱい?」

ルールー  「並外れた力ね。いったい誰が・・・・・何を?」

リュックはアーロンの元に駆け寄った。

リュック  「ねえ、何か知ってるんでしょ?教えてよ!」

アーロン  「他人の知識などあてにするな。何のための旅だ。」

リュック  「ユウナの命がかかってるんだよ!」

ティーダ  「いや・・・・・、アーロンの言うとおりだ。」

リュック  「へ?」

ティーダ  「これはオレたち・・・・、オレの物語なんだから。」

そう言うと、ティーダは祈り子に触れた。

ティーダ  「うわっ!?」

次の瞬間、ティーダは違う場所に倒れていた。


ティーダ  「あ?」

辺りを見回すティーダ。

そこはまぎれもなく、ザナルカンド、ティーダの故郷だった。

ティーダは自分の家に入った。

ふと、部屋の隅っこに、祈り子がいるのに気づいた。

祈り子  「おかえり。」

ティーダ  「おまえ・・・・。」

祈り子  「ベベルで会ったよ。覚えてる?」

ティーダ  「あ・・・ああ。」

祈り子  「けど、あれが最初じゃないよね。

      キミのこと、前から知ってる。ずっと、ずうっと昔から。」

ティーダ  「オレも、・・・・・知ってるような気がする。

        ここは?」

祈り子  「ヘンなこと言うなあ。キミの家だろ?」

そう言うと、祈り子はふっと消えた。

遠くでみんなの声がした。

ワッカ  「どうしちまったんだよ、おい!?」

リュック  「ねえ、起きてってば~!」

ティーダは考えた。

ティーダ  「もしかして、・・・・・全部夢だろ?」

そして祈り子が現れた。

祈り子  「あたり。」

ティーダ  「夢!?

        ざけんなっての。

        夢なんか見てるヒマないんだからさあ。」

祈り子  「違うよ。

      キミは夢を見てるんじゃない。キミが夢なんだ。」

ティーダ  「あ?なんだよ、それ。」

祈り子  「・・・・・・・昔、大きな戦争があった。」

ティーダ  「ああ・・・機械の?」

祈り子  「うん。ザナルカンドと、ベベルが戦ったんだ。

      始めから勝負はついてた。ベベルの軍隊はみんな機械で・・・、ザナルカンドの召喚士たちはバタバタやられちゃったよ。

      ザナルカンドは、滅びるしかなかったんだ。

      だから・・・・、姿だけでも残そうとしたんだよ。」

ティーダ  「なに・・・したんだよ?」

祈り子  「生き残った召喚士と、それに街の人たちもみんな、・・・祈り子になったんだ。召喚するためにさ。」

ティーダ  「召喚って・・・・・『シン』!?」

祈り子  「違うよ。ここだよ。

      眠らない街、ザナルカンド。」

ティーダ  「んああ?」

祈り子  「祈り子たちの夢を束ねて、街の思い出を召喚したんだ。

      一つ一つの建物だとか、街に住んでた人とかね。」

ティーダ  「人って・・・・それも夢かよ!

        オレ・・・・・・・も?」

祈り子は頷いた。

祈り子  「キミは、祈り子たちの夢。

      キミのお父さんもお母さんも、みんな、みんな・・・夢。

      祈り子たちの夢が消えたら・・・・・・・・。」

周りの景色が歪み始めた。

そして、暗い世界に変わろうとしていた。

ティーダ  「やめろよ。

        夢でもなんでもいいよ。

        オレを・・・消すな。」

祈り子  「ずっと夢を見てて、なんだか疲れちゃった。

      ・・・・・・・・ね、キミとキミのお父さんなら、僕たちを眠らせてくれるかな。

      キミとお父さんは、『シン』に触れた。

      スピラを巡る死の螺旋、その中心にいる『シン』にね。」

ティーダ  「ワケわかんねえよ・・・。」

祈り子  「キミたちはもう、ただの夢じゃない。」

遠くでユウナの声がする。

ユウナ  「お願い、目を開けて!」

祈り子  「もう少し、走ってみせてよ。

      キミは、夢を終わらせる夢になれるかもしれない・・・。」


ティーダは意識を取り戻した。

ユウナ  「大丈夫?」

立ち上がるティーダ。

ユウナ  「よかった・・・・。」

リュック  「もー・・・・、すんごく心配したんだから~!」

ルールー  「大丈夫?」

ティーダ  「・・・・・・うん。」

ユウナ  「どう・・・したの?」

心配そうに覗き込むユウナ。

ティーダ  「なんでもないよ。気ぃ失って、夢見てた。

        みんなに呼ばれて・・・・目が覚めた。」

ティーダは伸びをした。

ティーダ  「よく寝たし、気力回復!

        んじゃ、行くッス!」

ティーダたちは先へ進んだ。

 



登山洞窟を進んでいると、アーロンがユウナに言った。

アーロン  「そろそろ・・・来るはずだ。

        召喚士の力を試すために、奴は魔物を放った。」

ユウナ  「誰が・・・・ですか?」

アーロン  「ユウナレスカだ。」

ユウナ  「ユウナレスカ様!?」

アーロン  「ザナルカンドで、強い召喚士を待っている。」

ユウナ  「生きて・・・・いらっしゃる?」

アーロン  「マイカやシーモアと同じだ。」

ユウナ  「・・・・・そうですか。」

アーロン  「怖気づいたか。」

ユウナ  「いいえ。もう、何も怖くないんです。」

アーロン  「・・・・・ブラスカの娘だな。」

ユウナ  「最後まで、そうありたいと思っています。」

ユウナはまっすぐ前を向いていた。




洞窟を抜けると、魔物、聖地のガーディアンが待ち伏せていた。

アーロン  「来る!」

ティーダたちは戦った。

勝利すると、リュックが言った。

リュック  「ねえ!ちょっと休憩しない?」

アーロン  「休む必要はない。あと一息で山頂だ。」

リュック  「あとちょっとだから休みたいんだってば!」

リュックは座り込んだ。

リュック  「考える時間、少ししかないんだもん。」

ユウナ  「リュック・・・・。」

リュック  「いいよ。歩きながら考えるから。」

すねたように言うと、リュックは歩き出した。

みんなもそれについて行った。

最後尾で下を向くティーダにワッカが気づいた。

ワッカ  「おう、どした。行こうぜ。」

ティーダ  「ほんとに・・・・、もうすぐなんだよな。」

ワッカ  「とうとうここまで来ちまったなあ・・・・。」

アーロン  「ふっ・・・・得意げ

ティーダ  「何がおかしいんだよ。」

アーロン  「昔の俺と同じだ。」

ティーダ  「え?」

アーロン  「あの時、・・・・・ザナルカンドに近づくほど、俺も揺れた。

        辿り着いたら、ブラスカは究極召喚を得て、『シン』と戦い、死ぬ。

        旅の始めから覚悟していたはずだったが、いざ、その時が迫ると怖くなってな。」

ワッカ  「なんつうか・・・・意外です。

      伝説のガードでも、迷ったりするなんて・・・。」

アーロン  「何が伝説なものか。

        あの頃の俺は、ただの若造だ。ちょうど、おまえくらいの歳だったな。

        何かを変えたいと願ってはいたが・・・・、結局は、何もできなかった。

        それが・・・・、俺の物語だ。」
アーロンはまっすぐ歩き出した。

ティーダも、いろいろ考えながら後をついていった。




山道からは夕日を受けたザナルカンドが見えた。


ティーダ  「1000年前に滅んだ都市。

        この目で確かめたいと思っていた街。

        ユウナの旅の目的地。

        オレの物語の最終章なのかも・・・・・。

        いろんな思いが・・・・浮かんでは消えていった。

        言葉にはならずに、・・・・通り過ぎていった。」


リュック  「みんな、ホントにいいの!?」

リュックは泣きそうな顔で訴えた。

リュック  「あそこに着いたら、ユウナは・・・・。」

リュックは下を向いた。

ユウナはそんなリュックを見て微笑んだ。

ユウナ  「リュックの気持ちはとても嬉しいんだ。

       でもね・・・、もう、引き返さない。」

リュック  「引き返せなんて言わないよ。

       でも、考えようよ!

       ユウナ助かる方法、考えようよ!」

ユウナ  「考えたら・・・・・、迷うかもしれないから。」

リュック  「ユウナ・・・。」

ユウナはそっとリュックを抱きしめた。

ユウナ  「ありがとう、リュック。大好きだよ。」

リュック  「いやだよ、ユウナ。

       そんなこと言っちゃいやだよ・・・・・。」

ユウナ  「シドさんに、よろしく。」

リュック  「いやだよ、自分で言いなよ。」

ユウナはリュックを離し、笑った。

ユウナ  「・・・・・お願い。」

リュック  「そんなこと、言わないでよ・・・・。

       もう会えなくなるみたいでいやだよ!」

ユウナ  「キマリ、行こう。」

半泣きのリュックを引っ張って、ユウナは先へ進んだ。

ふと、ユウナがスフィアを落とした。

ティーダはそれを拾って、再生した。


そこはミヘン街道の旅行公司だった。

夕焼けを見ながら、公司の前の丘にユウナはいた。

ユウナ  「アーロンさん。キマリから聞きました。

       わたしを、ベベルから連れ出せという、父さんの言葉・・・。

       キマリに伝えたのは、アーロンさんですよね。

       いつかお会いしたいと思っていました。お会いできて、嬉しいです。

       ガードまで勤めていただいて、どうお礼をしたらいいのか・・・。

       いいえ・・・・、お礼は『シン』を倒すこと。そうですよね。

       はい、わたしは『シン』を倒します。

       みんながこれを見る頃には、『シン』はもういないでしょう。

       それに・・・・わたしも。

       だから今のうちに言っておきます。

       アーロンさん、ありがとうございます。

       キマリ・・・・。

       初めて会った日のこと、覚えてる?わたしが七つの時だよ。

       父さんが『シン』を倒して、ベベルは大騒ぎでね、みんなが父さんを褒め称えて・・・、自分のことみたいに、嬉しかった。

       でも、夜になって思ったんだ。

       『シン』を倒したけど、父さん、死んじゃったんだ。わたし、一人ぼっちなんだって。

       眠れなくて、そのまま街に出て、お祭り騒ぎを抜けて・・・、ベベルの長い橋に立って、一人で眺めてた。

       父さんを見送った橋から、父さんが戦った平原を。

       そしたら、キマリが現れたんだ。

       ブラスカの娘を探しているって言ったでしょ?

       最初は・・・怖かった。

       でも、すぐにわかったよ、優しい人なんだって。

       子供と話すの、慣れてなかったんだよね。

       わたしがブラスカの娘ですって答えたら、・・・ベベルから一番遠いところへわたしを連れて行くって・・・。これは、死にゆく者の願いだって。

       わたし、泣いちゃったよね。

       あれはね・・・・、父さんが死んだんだって、もう会えないんだってわかったから・・・。

       キマリ、何も言わずに抱きしめてくれた・・・・・・。

       ビサイドに着いてからも、わたし、泣いたっけ。

       わたしを寺院に預けたら、キマリ、村を出ようとしたじゃない。

       行かないでって、しがみついて泣いた。

       あれから、ずっとそばにいてくれて・・・、・・・・キマリ、本当に、ありがとう。

       折れたツノ、好きだよ。

       ワッカさん、ルールー。

       ビサイドで暮らした日々、ずうっと忘れない。チャップさんと、3人でよく遊んでくれた。

       だから、わたし、いつも元気でいられたよ。

       召喚士になるって言った時、あんなに反対してたのに、・・・・ごめんなさい。いつか謝ろうと思ってた。

       でもね、反対された時、とても嬉しかったんだ。わたしのこと、心配してくれてるんだなあって。

       本当に、兄さんと姉さんができたみたいだった。ううん、本当の、兄さんと姉さんだと思ってる。

       ・・・・・・・ヘンかなあ?

       ブリッツをしているワッカさん、好き。

       怒りんぼのルールー、どんなに叱られても、好き。

       それから、新入りガード君。ザナルカンド・エイブスのエース。

       キミは・・・。キミが・・・・。えっと・・・、キミと・・・会えて良かった。

       まだ、会ってから、そんなに経ってないけど。・・・不思議・・・・。こういうものなのかって思った。

       それは、想像してたより、とっても素敵な気持ちで、・・・・素敵だけど、・・・・・・・・つらいよ。

       うーん・・・・・・、なんだろ。

       うまく言えないや、とにかく、会えてよかった。

       だからつらいのかな・・・・・。キミと別れる時のこと考えると、・・・・怖いよ。

       ・・・・・・なんかヘンだなぁ・・・・、ここ、取り直しっす。えっと・・・・・。」

ティーダ  「なーにしてるッスか?」


ここで、スフィアは終わっていた。

ティーダたちは峠を越え、ザナルカンドへ向かって下りて行った。