【第9話のあらすじ】
撮影に必要な30人以上のエキストラ。
なんとか集めることには成功した。
だが僕は、大きなミスをしていた。
人を集めることに集中しすぎて、経歴を確認していなかったのだ。
当然、個性的な人たちも多く、現場をまとめるだけで一苦労。
それでも、このメンバーでやるしかない。そして撮影がスタート。
不安とは裏腹に、現場は意外なほどスムーズに進んでいく。
無事に1日目が終了。
だが本当の運命の瞬間は、2日目に待っていた――
第10話
ついに撮影2日目。朝早くから準備を始める。
主演をホテルに迎えに行き、そのまま現場へ向かう。
束の間の休息の時間だった。
この日の撮影場所は、中目黒にある中華料理屋。
オーナーのご厚意で、撮影場所を提供してもらうことになった。
この協力がなければ、今回の撮影は成立していない。
感謝しかなかった。
まずは大量の機材を運び込む。
――そのとき。
駐車場がない。
「うそやろ…」
出だしから駐車場探しが始まった。
時間だけが過ぎていく。
なんとか駐車場を見つけ、急いで機材を店内に運び込む。
だが、この店は撮影日も通常営業。
つまり――
撮影できる時間が限られている。
失敗すれば、そのまま時間ロス。余裕はない。そして撮影開始。
だが現場は思うように進まない。
NG。準備の遅れ。どんどん時間が削られていく。
さらに――
監督が現場での監督経験が浅く、進行が難航。
現場の空気が徐々に重くなる。
「これ、どうするんだ…?」
そんな空気が流れたとき。
一人の人物が動いた。
僕が最も信頼して仕事をお願いしたディレクター。
正直に言えば、この人が監督ならもっと早く進む。
そう思うほどだった。
だが彼は、現場を壊すことなく、見事に采配を振るう。
その判断で現場が一気に動き出した。
そして――
ギリギリ。
本当にギリギリで、すべての撮影を終えることができた。
安堵したのも束の間。
このあと、僕と監督の間で
とんでもない揉め事が起きることになる。
続く。