ご無沙汰してます。俺氏。です。というか遥弥生です。
やりたいことが多すぎてなにも出来なくなるというのが僕の本当に悪いところです。何事も締め切りがないとできないというのはよくないことですね。放置してしまっていることも、決してやる気がなくてそうしているわけではないんですが。楽な方へ流されがちなのが人間の宿命ですね。
でも何とか新しい小説を書き終えました。そちらは公開され次第また告知しますが、せっかく終わったので、記念に過去の作品を一つここに掲載しようと思います。サークルの新入生歓迎号に掲載したものなのでご覧になった方も多いかと存じますが、この機会に再読いただければ書き手としてこれ以上ないぐらいの喜びです。
縦書きリンクはこちら。
https://1drv.ms/w/s!AnKjpk89pTussl-TInSGgnDF0qoe?e=FIJuAe
8月31日現在、サークルで試し読み公開が続いております故、現時点ではこちらのリンクを利用していただくことも可能です。
もし見づらかったら、以下の横書き表記版を利用してください。
このページの末尾には作者としてのコメントも用意しました。
余談ですが、最近同僚が僕のことをペンネームで呼んでくれます。とてもうれしいですが、人前で呼ばれると恥ずかしくもあります。
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なくのはよるがあけるまで
遥 弥生
七歳の時にお葬式の説法で聞いた、時間に節目なんてないんだ、出会いも別れも今日も明日も、本当は全部「空」なんだって言葉が忘れられなくて、でもわたしは確かに出会いを歓んだり別れを哀しんだりして、今日が辛くて、明日に救いを見出していて、だからきっと「節目」はあるんだって思って生きてきた。馬鹿だからそのお坊さんを見返してやろうと思ってた。ロールプレイングゲームみたいに、どっか通り過ぎたら、わたしがかみさまになるか、世界が滅亡するか、なんかあるんじゃないかな、思ってたけど、結局なんもなかった。残念だけど、まだわたしはわたしのままでいる。はたちの誕生日に目が覚めて、開いた瞳に、時代錯誤なでかい電話機が飛び込んでくる。となりに横たわる大きな肩はまだ寝息を立てていて、ベッドサイドの机に嵌め込まれた七セグメントは5時だったけど、ひと眠りするのはなんだか怖い。寝っ転がったままで見やった、暗い部屋の中ほのかに光る、むき出しのじぶんの白い肩。そこから伸びてる華奢なにのうで。そっと唇をあててみる。
はじめてのキスは中学二年生の時だった。自分じゃないなにかになる方法を、ひとりぼっちに強いふりしたり、帰りに寄り道することだと思ってた頃。おかあさんみたいな担任の先生によく叱られていた。「女の子らしく」とのお説教。嫌いじゃなかった。担任はとても綺麗なひとで、芯の強いひとで、そういう所は尊敬してたし、私のようになりなさいと言われてたら、彼女のことがもっと好きだったと思うけど。正しい家庭とか女らしさとか清純さとか、そういう気の抜けたサイダーみたいな概念を彼女は信じていたのだ。そういえば「望月さんにはお母さんがいない」もお説教の決まり文句だった。「お母さんがいないから」「お母さんがいないのに」。「障害をお持ちなのに」「芸人ながら」「女だてらに」「女だから」、ってテレビの向こうの文句に似てる。お父さんの為に良い子になります、お父さんの所為で悪い子なんです、なにそれ、なにそれ。わたしの人生、そんなにピース数少なくない。深刻な顔での説教にいちど、きれいなお顔が台無しですよとつぶやいたら怒られて、いわく、言葉遣いが汚い。わたしのことばに傷ついたって言わないのはどうしてですか? あなたのその強さ、尊敬してるけど苦手です。あなたが喜ぶことばを教えてほしいし、あなたが傷つくことばを教えてほしいし。「人を喜ばせることば」「人を傷つけることば」、人、人。あなたの言う、人、はどこにいるの。子供の汚い語彙で矢継ぎ早に言い返したら、彼女は泣いてしまった。ちゃんと泣くんだって安心したけど、その時は別に悲しませたかったわけじゃなくて、人類みんなにいっぺんに優しくなるなんてないけど、ひとりひとりは傷つけたくない。斬った感触が嫌いなわたしは、わたしのためにひとにやさしくありたい。おわびのつもりでその日の放課後、一人で教室の掃除をしてた。傾きつつある太陽が、開け放った窓から覗き込んできて、初夏。玉のような汗をかいて、小太りの颯太くんが駆け込んできた。忘れ物を取りに来たついでと言いながら、わたしの掃除を手伝い始める。これが彼女のいう優しさなのかな。柔道部らしい巨大な身体で、額に脂汗をかきながら箒を前後させていた。そういうものにわたしはなりたい。わたしがなりたいわたしでないなにかは、颯太君みたいな人かもしれない。夕方の風が教室を駆け抜けて、彼のやさしさにふれたくて、わたしはイエスさまに口づけするように、背伸びして颯太君の唇にかみつく。たしかにわたしは死ぬつもりだった。死んで生まれ替わりたかった。だけど口に広がる熱とか、不意を打たれた颯太君の鼻息とか、にわかに静寂を破った蝉の鳴声とかが、わたしがそのまま生きてることを告げていた。いま、わたしは明け方の静まり返った部屋に一人、自分の腕から唇を切り離す。あの日の彼にはなれなくて、わたしはずっとわたしのまま。
喉が渇いてベッドを這い出て、窓際の鏡台の下のちいさな冷蔵庫を開ける。きのういれたビール以外全部有料、ここが自室でないことを恨む。仕方なく一缶取り出してプルタブを押し込むと、何かがつぶれるような音とともに飲み口が開いた。さっきまで柔肌にふれていたくちびるに冷たいアルミがあたって、液体が流れ込んでくる。もう窒息して死ぬんじゃないかな、と思うほどの量。一気に飲み下すと、喉が脳髄にかけてが焦げつくような感覚がある。渇きを潤すのには不向きな飲み物、ばかじゃんね。でも生きております、すんでのところで酸素を求めてしまうので死にたいなんていう人は嘘つきだ。わたしは生まれ替わりたい。
はじめてお酒を飲んだのは中学三年生の時だった。九月、体育祭の打ち上げ。担任にはうるさく言われてたけど、そういう年頃なんでって、言い訳。べつだんお酒が飲みたいわけじゃなかったけど、ハレの日ってやつ、体育祭のリレーはアンカーで、いつもと違ったじぶんになって、そのままアルコールの力を借りて、ほんとうに生まれ替わるんじゃないかって思えた。真っ暗な公園。クラスメイト一同。街灯だけが頼りの、花火とかスナック菓子とか、粋がって買ったチューハイとか、そういうのってとっても青春、ちゃんとなにかになってるって感じがするし。翼をください。わたしはそう祈って、煽るような極彩色の缶の、未知の液体を飲み干した。けれどもなったのは只の嘘つきでした、まだ八月のにおいを残した夜風と、慣れないライムの香りにほだされて、言いたくないことが零れ落ちた、ぽろぽろ。担任なんか嫌い、お父さんは臭い、颯太君が好き。アルコールで人の本性が分かるって勘違いがこの世の真理みたいな顔で闊歩してるけど、誠実さを吐き違えている。若干白よりのグレー。みたいな、微妙な感情を白だと言うのが正義だと思っている人でいっぱい。そういうのを嘘だと呼ばないのが優しさなんだとすれば、わたしはこの時も優しくなれなかったんだと思う。買い集めたお酒があらかたなくなるころになる。叫びたくて仕方なくなった。担任のことはちょっと嫌いなとこもあるけど尊敬はしてる、お父さんは臭うけど臭くはないし、颯太君はかみさまみたいなひとだと思ってるけど愛とか恋とか、そんな要約はしたくない。へぇ意外~って。意外って何。そういうグラデーションを塗りつぶすような権力のことをニュースではハラスメントっていうんですよ、なんて、残念、心の声は届かない。残暑が背中に忍び寄ってきて、ぽとぽとと落ちてゆく線香花火の焔を見つめるあいだにも、ずっと汗が止まらなくって、けっきょくわたしはなんでもなくて、ゲボってぶっ倒れていやがった同級生が羨ましい。「望月、顔赤いけど大丈夫?」、うんごめん、ちょっと飲みすぎちゃったと答える。ぽとぽと、ぽろぽろ。けっきょく花火がなくなって、お開きになっても何も言えなかった。夜もすがら鈴虫の声音、部屋にまで忍び込んできていて、眠りをさまたげていた。いま、わたしはあの時とは違う、クラッシックな鉛色の缶をそっとやさしく握り潰す。プルタブを開けた時と同じ鈍い音がして、それでもわたしはわたしのまま。
お酒呑んだらあったまるかなと思ったけど、事後の薄着には勝てない。たまらなくなって椅子に掛かってた男物のダウンを羽織る。あったかいけどでかい。自分の服に着替えようかな、でも脱衣所いくのはめんどい、それよりたばこが吸いたいよ。いつもの枕元に無くて、青白い闇の中を見回して喫煙セットを探す。一苦労。まだ寝息を立ててる図体にむかって悪態をつく、わたしの家がいいっていったのに。わたしの節目を祝福してとは言ったけど、一緒に夜を過ごしてほしいという勧誘を、セックスの許可と取るのは止してよ。そしたら灰皿、ライター、ショートホープは鏡台の上、自分の目の前にあって笑った。ごめんねハニー、暗くて気づかなかったや、わたしが昨晩吸ったんだった。ひとつ取り出して、口辺に加えて、ライター着火して、近づける。包み込んだ指の隙間から、ほそくたなびくけむり。オレンジのちいさなあかりが灯る。目をつぶって、求めるように吸い込むと、あたたかいあまさが鼻腔に流れて、血液がとぎれるのがわかる。瞼を開いて溜息をつくと、きりたちのぼる夜明け前。なんども繰り返した儀式だけど一度もわたしは替わらなかった。いまだにわたしはわたしのまま。
たばこをはじめたのは高校二年生のころだった。息の詰まる教室。一番後ろの席だけど、背中でみんなが刺してくる。そんなみんなから逃げたくて、そう思っちゃう自分からも逃げたくて、コンクリの屋上で寝っ転がって、授業をフケるコツを覚えた。馬肥ゆる晩秋、突き抜けるような青空を見つめて、ここから落ちたら死ぬかななんて、試してもみないことを、そこはかとなく。風が冷たくて、温もりが欲しかった。コンビニで5番、とか言ってみた。けど、学生服着た餓鬼には売ってくれなくて、仕方ない、お父さんの書斎から失敬。ごめん、お父さん、非行はお父さんのせいじゃないけどごめんとは思ってる、自責の念がたばこを増やす、以下ループ。けっきょくそんなに温くもなくて、わたしのからだは冷たいままだった。わたしが七歳になった年から、お父さんのタールは指数関数的に増大していて、そのせいで重いたばこに慣れた。これはお父さんのせい。バカ親父。数学サボって、紫煙をくゆらせてたら、後ろからつかれたジャージのオッサンが近づいてきて、煙草をつまんで没収。
「望月、くせえ、やめろ」
でも先生だってたばこ休憩ですよねとからかったら、もう片方の手でげんこつをもらう。ちちくせえガキが粋がって吸うな、見てて腹立つからよとぼそり告げる、髭面の痩せたツンデレに免じて、おかわりは取り出さずにおいた。「一応授業出てやれよ、担当の先生だってちょっとは拗ねるだろ」、誰に聞かすともなくぼやきつ、煙草に火をつけつ。でも先生、あなたの授業ですよと返したら、「あ」、「やべ」、「サボってんのバレる」、「てかおい教室戻れや」とふためく、くたびれた俗人。中学までで別れてしまった、わたしのかみさまとは大違い。憧れはなかった。でも本を借りた。金子みすゞの詩集。木枯らしの吹く、屋上で過ごす合間に読んだ。こだまでしょうか、いいえ、誰でも。案外かわいいの読むんですね、ちゃんと繊細なんですね。いちど冗談で好きですよって言ってみたら、俺は年下は嫌いだ、そうで。いろんな話をした。かみさまになりたい話、消えてしまいたい話、颯太君の話。若いねぇ、なんて、嗤うけど先生、あなたもまだ、素敵なじぶんになる望み、捨てられないでいるんでしょ。みんなちがってみんないい、と、言って聞かせているんでしょ。だからわたしのたばこをやめさせたいんだ、そしたらいい先生になれるから。優しくしようとしてはいるけど、やさしい人にはなれない、可哀想な生き物。屋上で見つけたわたしのこだま。泣くことを忘れたその細い目が嫌いでした、わたしがわたしを思い出すから。結局、わたしのたばこも、先生のたばこも、わたしたちを救ってはくれなかった。屋上のそとに出られないまま、わたしはずっと内弁慶。いま、カーテンごしに白んでゆく窓際にひとり。フィルターまで煙草を吸いきって、やっぱりわたしはわたしのままだ。
夜より朝が嫌いだった、昔から。わたしの闇は晴れてはいないのに、世界に夜明けが訪れている。とばりの隙間、強まりつつある陽光を意識するのが嫌で、机上の小さなランプをつけて誤魔化した。くたびれ顔が映る鏡のそば、結局使われることのなかった、アメニティのコンドームが二つ。点灯の拍子に目に入る。ホテルの避妊具は使わない方が良いよ、そういって自分の手持ちを取り出した、まだぐーすか寝てる彼の準備の良さに、またまた腹が立つ。颯太とは大学で再会した。東京に来て、大学に入って、リセットしたつもりだったわたしは、再びかみさまに出会った。だけどわたしはわたしのまま、塞いださきから嫌いな自分が漏れ出てきて、いっさい替わらなかったし、「中学の時、おれのこと好きだったってマジ?」って、そんなこという颯太は颯太君じゃないし。付き合ってくださいじゃなくて、「付き合わない?」って卑怯な言い方だと思うけど、断らないわたしも狡猾で、隠し事だけが巧くなる。颯太は優しい。デートは割り勘ばっかじゃなくて、疲れたら休んでもくれる。いやだといったらセックスはしない。今回もわたしが無理を言って、いそがしい彼を引き留めたんだ。だけど、彼がえらびたかった選択肢が、彼の肩越しに見え隠れしてしまって。やさしさと名付けられた優しさのようで、かみさまからは程遠くて。あの日の颯太君は幻想で、またわたしはわたしがいやになる。下腹部に鈍痛。窓の外から、函谷関の鳥の声。鶯だろうか。
はじめてセックスしたのは高校三年生の二月だった。卒業したら就職するつもりだったけど、進学しろと勧められた。わたしも救いをもとめていた。うまくやれたら。合格したら、全部赦されて天国にいけると思ってた。だけど受かっても何者にもなっていなくて、エンドロールは流れなくて、あれだけ勉強しても、お父さんの煙草は14ミリのままで、卒業式の教室に居場所はなくて、わたしも先生も屋上のままで。「望月が卒業かぁ」なんて、顎をさすりつつ呟く声が寂しい。先生、わたしかみさまになりたかったよ、おかあさんがほしかった、合格通知、わたしのままでもらわなきゃいけないんだね、先生。鉄柵の隙間、白梅の薫る景色を見渡しながら、そんなことをぽつぽつと。ごめんなって言われるのがこわくって、先生の細い腰に抱きついた。顔を押し付けたジャージから、染み付いたヤニのにおいがしてた。「今日は友達と打ち上げしてくる」、お父さんに高校最後の嘘をついて、初めて他人の車の助手席に乗った。先生「しゃぁねえな」って一言。そのあとは何も言わずに、ほとんど黙ったままだった。俯いて入る、はじめての部屋。洗い髪を乾かしながら聴くシャワーの音。暗い部屋。響く声。軋む音。くりかえし打ち寄せる、熱、熱。わたし、こうして消えてしまえないかな。このままこの、わたしのこだまと一緒になって、手を取り合って最後の審判を迎えられたらいいのに。季節外れの汗のにおいのなかで、そんなふうに祈った。だけど願いは届かなくて、朝、腕の中で目覚めても、わたしはわたしのままで、もと着ていた、格好悪い制服を身に着けて。いま、あの日と同じ朝をむかえた部屋の中で、わたしはまだゴールテープを切れずにいる、キスもお酒もたばこもセックスもわたしを消してくれなかった。颯太はかみさまじゃなかった。わたしは何にも替われなかった。そもそも、なにかになれる資格なんて初めからなかったんだ。
ごめん、颯太。ごめんなさい、過去のみなさん。消えなくちゃ、この部屋を出なくちゃ。この部屋には、わたしを取り替えてくれるものなんて何一つなかったんだ。煙草とライターをダウンのポケットにしまって、「ミキ?」
「そんな恰好でどうしたの?」
颯太君の声。
顔を向けると、ようやく起きてきた彼が下着姿でそこに立っていた。
「俺のダウン一枚とか寒いでしょ。服着たら?」
風邪ひくよ、ミキ。颯太君が呆れたように言う。
そうだ、わたしはミキ。おかあさんにも颯太君にもかみさまにも何者にもなれなくて、わたしはたしかにわたしのままだけど。
ミキ。
その名前に、いろんなことを思い出す。
「あなたの言う通りだった。ごめんね、ミキちゃん」
お説教の翌朝、頭を下げに来た担任の彼女。
「昨日は相当酔っちゃった。またやろうね、ミキ」
酒を呷る動作とともに、いたずらっぽくわらう友達。
「ありがとな、望月。いや、ミキ」
朝、静寂の戻った部屋でふと呟いた、先生。
それに、
「あらためて、誕生日おめでとう。ミキ、」
いま、そういって頭を撫でる颯太。
そのとき、その瞬間、わたしはたしかにやさしくあれた。わたしも颯太も、ずっとかみさまではいられないけど。ずっとやさしくはいられないけど、でも。颯太がカーテンを開けて、ぱっと朝の光が飛び込んでくる。目が痛い。けど、もうおきなきゃ。
シャワーを浴びると、からだじゅうの汚れが流れ落ちて、肌が目覚めてゆくのがわかった。服をきて、歯をみがいて、髪をとかして。脱衣所の鏡をふと見つめると、そこにいるのはちゃんとわたしだった。止まってるように見えていたけど、わたしはちゃんと飛び続けていた。そうだ、突然生まれ替わりはしないけど、わたしはちゃんと変わってた。今までも、きちんと気づいていたことだ。
支度をする颯太を待つかたわら、ベッドに腰掛けて窓の外を見つめる。桃色の点描、春がそこまでやってきていた。花にも心を驚かすなんて、疲れ切ったOLみたいですね。よごれちまった悲しみ、それより早く朝が食べたい。空腹の紛れに、ショートホープをもう一本。ふふん、たまにはご飯を奢ってやろう。学習しないわたしはこれからも泣くけど、だいじょうぶ、泣くのは夜が明けるまで。
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あとがき
この作品については、話したいことが山ほどあります。けれどそれらすべてをここに書いてしまうことは、立つ鳥跡を濁しまくるのでやめておこうと思います。ただ、作者としては書いていて非常に充実していた作品でした。というのも、この作品では、言葉のもつ音楽らしさを小説という形式でどこまで引き出せるかという表現上のチャレンジと、自分の有している宗教性をどこまで形にできるかという作劇上のチャレンジを試みていました。それが結果としてどの程度うまくいったかは皆さんの感性に委ねますが、このチャレンジをどうやって形にするか、悪戦苦闘するのが非常に面白かったのです。やはりやりたいことをちゃんと意識して書いていくのは大事だなと感じました。
普通の人間って顔をして生きてゆくことが一番の罪だと思ってます。