・資本主義は歴史を通じて周縁部に存在してきた市場システムを社会の中心的な編成原理として位置づけることで成立した。その矛盾の根本原因は、労賃支払の基準となる労働力の商品価値が労働力の再生産過程を基準に決定されているにもかかわらず、資本はその使用価値として全労働時間を獲得できるというギャップにある。これは余剰労働時間を利潤の源泉とする資本主義に必然的に伴う問題である。

・資本主義下の諸現象は人間社会に根源的に内包されている自然現象として介されるべきものではなく、一定の歴史的条件のもとで発生する特殊なものであることに注意すべきだ。市場原理は資本主義が自己の存立基盤を破壊する可能性を否定するものではない。

・好況とは数量景気である。好況期には生産が拡大され雇用も増大するが、賃金の上昇は最終局面まで生じ得ない。それは資本主義が余剰労働から利益を引き出すシステムだからである。技術革新は労働者の雇用や賃金を圧迫するとともに、不況を長引かせることがある。

・1950〜70sの資本主義諸国における好況は高成長・高賃金という特異な様相を呈したが、これは社会主義という競合相手の存在もあって労使協調が実現されていたことや米ドルの高い信用に裏付けられた通貨制度が日本や西独の産業に優位に働いたためである。この時期の経済のあり方をケインズ主義的、外需主導型経済であると評価するのは誤りである。

・70sになって余剰労働力が限界に達したことや、先進国に有利な一次産品市場が改められたことで高度成長は限界をむかえた。金融の活性化やIT化が進んだが労働者の待遇改善には結びつかなかった。新自由主義はこうした状況に適合したモデルを示そうとしたが、結果として国民の福祉を毀損することとなった。新自由主義的な政府が金融機関などの救済には巨額の公費を投じることを厭わなかった点にも留意すべきだ。

・現在、資本主義は自然資源を野放図に使用しながら余剰労働時間から利益を引き出すというその本質的な問題点ゆえに行き詰まりを迎えていると見るべきであり、21世紀の社会主義の建設がもとめられる。ただしただ一つの正解が天下り的に与えられるのではなく、複数の提案が民主的なプロセスのなかで提示されるべきである。