「はのはのはなし」(山本孝)

もしも、自分の歯から「葉っぱ」が生えてきたら・・・?
虫歯かと思いきや、それは不思議な物語の始まりでした。子供の純粋な好奇心と、予想外の結末が楽しい一冊をご紹介します。

 

 

あらすじ

「あれ? 奥歯にゴマみたいなものが……」 

大好きなチョコレートを食べていたこうた君。歯に違和感を感じて鏡をのぞき込むと、なんと奥歯から小さな葉っぱが2枚生えていました。

 

普通なら怖がるところですが、こうた君はワクワク!「何の葉っぱだろう?」と、大切に育てることに決めます。

 

お口の中で「ガーデニング」開始! 

こうた君の育児(育葉?)は本格的です。

  • 太陽の光を当てるため、学校へも口を開けたまま登校。

  • 栄養を与えようと、油粕の代わりに揚げ物をたくさん食べる。

  • 冷やさないように、大好きなアイスキャンディも我慢!

その努力が実ったのか、葉っぱは3枚に増えていきました。

 

突然の別れと、庭に現れた奇跡 

ところが、ある日。お母さんに驚かされた拍子に、なんと葉っぱの生えた歯が抜けて、お庭のどこかへ飛んでいってしまいました。必死に探しても見つかりません……。

 

がっかりして眠りについた翌朝、お庭を見てびっくり!

そこには、見たこともない不思議な木が立っていました。枝には、あの葉っぱと同じ形をした、大きくて甘い実がたわわに実っていたのです。

 

夢中で実を食べるこうた君でしたが、甘い匂いに誘われて鳥や虫たちが大集合! 木はあっという間に食べ尽くされてしまいますが、こうた君の口の中には、新しい小さな歯が顔を出し始めていました。

 

✨ ここがおすすめ!3つのポイント

  1. 子供らしい「ポジティブな勘違い」が可愛い

    歯が痛むのを「芽が出た」と喜び、揚げ物や日光で育てようとするこうた君の発想がとにかくユニークで、読み聞かせでも笑いが起こります。

  2. ページをめくるワクワク感

    「次はどうなるの?」「どんな実がなるの?」と、子供の想像力を刺激する展開がスピーディーに繰り広げられます。

  3. 「乳歯から永久歯へ」の自然な描き方

    歯が抜けるという、子供にとって一大イベントを「不思議な木」と結びつけて描いているので、生え変わり時期のお子さんにもぴったりです。

感想

読み終わったあと、思わず鏡の前で「自分の歯には何か生えてないかな?」と確認したくなるような、夢のあるお話でした。 
アイスを我慢したり、揚げ物を食べたりするこうた君の健気な姿に、最後のご褒美(甘い実)があって本当に良かったね!と声をかけたくなります。
 
こんな人におすすめ!
  • 歯の生え変わり時期のお子さんがいる方
  • 想像力が豊かで、ちょっと変わったお話が好きな子
  • 「虫歯かな?」と心配している子を元気づけたい時

【ストーリーイメージ(※絵本の絵とは異なります)】

作者さん情報「山本孝」さん

 

"1972年、愛媛県松山市に生まれる。 大阪デザイナー専門学校編集デザインコース絵本科卒。「あとさき塾」「メリーゴーランド絵本塾」で絵本を学ぶ。 作品に『アブナイかえりみち』『アブナイおふろやさん』『祗園精舎』(ほるぷ出版)『ちゃんがら町』『十二支のおはなし』『がっこういこうぜ!』『おばけのきもだめし』(岩崎書店)『雪窓』『本所ななふしぎ』『学校ななふしぎ』(偕成社)『むしプロ』 『カイジュウゴッコ』(教育画劇)『ぬ~くぬく』(農文協)『にんじゃつばめ丸』(ブロンズ新社) 『えかきのチャーリーひみつのかべ』(イースト・プレス)『いっすんぼうし』(あかね書房)『はのはのはなし』(アリス館)などがある。"

 

 (引用 : 絵本ナビ「山本 孝」)

 

 

 

「もったにないばあさんのてんごくとじごくのはなし」(真珠まりこ)

「もったいない」が口癖のあのおばあちゃんが、なんと天国と地獄へ!?
幸せの本質とは何かを、ユーモアたっぷりに教えてくれる一冊をご紹介します。

 

 

あらすじ

地獄のスープは「もったいない」だらけ?

もったいないばあさんがてくてく歩いてたどり着いたのは、なんと「地獄」。

 そこでは人々が「お腹が空いた」と泣きわめいていました。目の前には赤鬼が煮えたぎらせる美味しそうな特大スープの鍋があるのに、誰も飲めていないのです。

理由は、配られた「長すぎるスプーン」。

 みんなが「自分だけ先に飲もう」と必死になりますが、スプーンが長すぎて自分の口には届かず、スープはこぼれてしまうばかり。 

それを見たおばあさんは「ああ、もったいない!」と叫びますが、赤鬼にどこかへ飛ばされてしまいます。

 

天国で見つけた、幸せの飲み方 

次にたどり着いたのは、清らかな湯気が立ち上る「天国」。 

そこでも同じように、天女が大きな鍋と「長いスプーン」を人々に配っていました。

ところが、天国の人たちはみんな笑顔で満足そうにスープを飲んでいます。

 地獄と同じ長いスプーンを、彼らはどう使っていたのでしょうか?

それは、「向かい側の人に食べさせてあげる」こと。

 お互いにスプーンを差し出し合い、スープを分かち合うことで、みんなが美味しく、楽しくお腹をいっぱいにしていたのです。

それを見たもったいないばあさんも、一緒にスープをごちそうになり、一言。

「あー、おいしかった。もったいないことは何もないねぇ」

✨ ここがおすすめ!3つのポイント

道具も環境も地獄と同じなのに、考え方一つでそこが天国になるという教訓が、視覚的にとてもわかりやすく描かれています。

どこへ行っても物怖じせず、いつもの調子で「もったいない!」と切り込むおばあさんのキャラクターが、重くなりがちなテーマを明るくしてくれます。

「自分さえ良ければ」という気持ちが、結果的に自分も損をさせてしまう。現代社会にも通じる深いメッセージが込められています。

  1. 「幸せ」の正体が子供にもわかる

  2. もったいないばあさんの存在感

  3. 「分かち合い」の大切さ

感想

「自分一人で抱え込まず、誰かのために行動することが、巡り巡って自分を幸せにする」・・・
そんな当たり前だけど忘れがちなことを、再確認させてくれるお話でした。
最後に満足げにスープを飲むおばあさんの表情を見ると、読んでいるこちらまで「あー、おいしかった」と言いたくなるような、清々しい読後感です。

こんな人におすすめ!
  • 「譲り合い」や「思いやり」の心を伝えたいパパ・ママ
  • 毎日が忙しくて、つい自分本位になりがちな大人の方
  • もったいないばあさんシリーズのファンの方

【ストーリーイメージ(※絵本の絵とは異なります)】

作者さん情報「真珠 まりこ」さん

 

"絵本作家。大阪とニューヨークのデザイン学校で絵本制作を学ぶ。 2004年講談社より出版の絵本『もったいないばあさん』でけんぶち絵本の里大賞、ようちえん絵本大賞を受賞。他の作品に、『おべんとうバス』『おたからパン』(以上ひさかたチャイルド)、『よみもの・なないろどうわ』(アリス館)、『おつきさまのパンケーキ』(ほるぷ出版)、『キノコのしろちゃん』(白泉社)など多数。"

 

 (引用 : 絵本ナビ「真珠 まりこ」)

 

 

 

「あなたをずっとずっとあいしてる」(西宮達也) 

「血のつながり」よりも強い「愛の絆」がある。
恐竜時代を舞台に、種族を超えた親子の愛を描いた、大人も子供も涙が止まらない感動の一冊をご紹介します。

 

 

あらすじ

「この子は私の宝物」 

昔、マイアサウラのお母さんが、森でひとりぼっちの卵を見つけました。「このままではティラノサウルスに食べられてしまう」……心配したお母さんは、その卵を持ち帰り、自分の卵と一緒に大切に育てました。

しかし、その卵から生まれたのは、あろうことか天敵であるティラノサウルスの赤ちゃんでした。

一時は「このまま育てるのは恐ろしい」と捨てようとしたお母さんでしたが、泣き声を聴くとかわいそうで放っておけません。お母さんは彼を「ハート」、自分の子を「ライト」と名付け、実の子と分け隔てなく、あふれんばかりの愛情を注いで育てました。

 

明かされた真実 

ハートは自分がマイアサウラだと信じ、兄のライトと仲良く成長します。 ところが、ある日。大好きな「赤い実」を採りに出かけたハートの前に、本物のティラノサウルスが現れ、残酷な事実を告げるのです。 「お前は、俺たちと同じティラノサウルスだ」

ショックに震え、泣きながら帰宅したハートを、お母さんは強く抱きしめました。 

「あなたは私の大切な子、私の宝物のハートよ」

 

切ない決意と、山積みの「赤い実」

お母さんの言葉に救われたハートでしたが、自分という存在が家族を危険にさらすことを悟ります。彼は家を狙う別のティラノサウルスを止めるために旅立ち、二度と戻ることはありませんでした。

それから月日が流れ、お母さんがかつてハートを拾った林へ行くと、そこには山のような赤い実が積まれていました。姿は見えなくても、そこには確かにハートの愛があったのです。

 

✨ ここがおすすめ!3つのポイント感想

1. 種族を超えた「母の愛」の深さ
「もし我が子が天敵の姿をしていたら?」という極限の状況で、葛藤しながらも愛し抜くことを選んだお母さんの姿に胸が熱くなります。

2. ハートが選んだ「優しさ」ゆえの別れ
家族を守るために、自分が何者であるかを受け入れ、あえて姿を消したハートの決意が切なすぎて涙を誘います。

3. 余韻が残るラストシーン
直接会えなくても、積まれた「赤い実」を通じて心を通わせるラストは、読み終わったあともずっと温かい余韻が残ります。
 

感想

「育ての親」も「産みの親」も関係なく、どれだけ愛情を注いだかが本当の絆を作るのだと、改めて教えられました。
最後にお母さんがつぶやく「あなたがどこにいても、ずっとずっと愛してる」という言葉は、すべての子供たちが一番欲しがっている言葉ではないでしょうか。

 

こんな人におすすめ!

  • 親子の絆を再確認したい方

  • 優しい心、思いやりの心を育みたいお子さん

 
【ストーリーイメージ(※絵本の絵とは異なります】

作者さん情報「みやにしたつや」さん

 

"1956年静岡県生まれ。日本大学芸術学部美術学科卒業。「きょうはなんてうんがいいんだろう」(鈴木出版刊)で講談社出版文化賞絵本賞を受賞。「パパはウルトラセブン」(学研刊)などでけんぶち絵本の里大賞を受賞。「おとうさんはウルトラマン」(学研刊)などの作品がある。 「ティラノサウルス」シリーズ初の幼年童話!"

 

 (引用 : 絵本ナビ「宮西達也」)