886冊目『ことりっぷ ソウル』(昭文社) | 図書礼賛!

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GWを利用して、4月28日から5月1日まで韓国に行ってきた。私にとって初の海外旅行である。5年くらい前に韓国映画をよく観るようになり、韓国語を勉強し、韓国の社会や文化についての本もよく読むようなった。韓国への関心が高まると、当然のように韓国に行きたくなった。しかし、2020年に突如として発生したコロナ・パンデミックのせいで、その機会を逃し続けていた。そういう事情もあり、私にとって今回は、待ちに待った念願の韓国旅行なのだ。

 


仁川国際空港に着いたら、外国人として我々には入国審査がある。ゴールデンウィークの時期ということもあって、入国手続きには長蛇の列が並び、持久戦も覚悟していたが、思いの外、それほど混雑しておらず、スムーズに入国審査をクリアした。写真は無事入国でき、安堵した表情を浮かべる私である。


韓国に着いて真っ先に向かったのが、漢江である。大都市を流れる雄大なこの河を直接見るのが、私の夢であった。漢江は韓国人にとって国民映画とも言うべき『グエムル』(2006)の舞台であり、また「漢江の奇跡」という言葉でも知られるように、民族のアイデンティティを補填する場所でもある。



おそらく、ここが、映画『グエムル』において、パク一家とグエムルが闘った場所であり、ソン・ガンホが鉄パイプでグエムルにトドメを刺した、あの場所である。右側の橋は、娘を助けるためにソン・ガンホが必死になって駆け抜けた橋であろう。



日曜日ということもあって、漢江公園はだいぶ賑わっていたが、公園を奥まで歩いていくと、ひっそりとしてはいるが、威厳漂うひとつの銅像があった。グエムルである。なんでもこのグエムル銅像は、まもなく撤去されるようで、私を韓国文化に惹きつけた大きな象徴が消えてなくなってしまうことを寂しく思った。



漢江を見た後は、朝鮮時代の貴族が住んでいた屋敷を見に行った。そういえば、ここの場所の名前を聞くのを忘れてしまったが、一体、ここはどこだったんだろう。ところで、今回の韓国旅行は私ひとりで来たわけではない。韓国に4年ほど滞在経験のある同伴者が存在があった。私は韓国語を勉強してるとはいえ、現地人と流暢にコミュニケーションを取れるレベルではないから、韓国語ができる同伴者の存在がとても心強かった。この韓国旅行では、同伴者の韓国生活時代の知人をたくさん紹介してもらった。初日は、キムさんという方に会い、キムさんの車で色んな所に連れてってもらった。韓国の初旅行で、現地の人の車に乗せてもらい、窓外に流れるソウルの風景を楽しめたのは、なんとも贅沢な体験だった。



夕飯は、焼肉。とにかくカルビが美味かった。美味しい料理を食べたときのために、혁명적으로 맛있어요!(革命的においしいです)という言葉を覚えてきたんだが、うっかり言うのを忘れてた。本当に革命的に美味しかった。



一旦、ホテルに帰って、スーツケースを置いた後、南山タワーに向かった。タワーまではケーブルカーで3分くらいで着く。



ソウル一望。一日目終わり。本当韓国に来て良かった。



二日目である。朝ごはんを食べに街へ。それにしてもソウルには至るところに巨大電子パネルがある。写真の場所は乙支路の交差点だが、この交差点だけで三つの巨大パネルがある。グローバル都市としてのソウルの発展は、すでに東京を抜きん出ているのではないかと思った。それくらいの迫力だった。





交差点を渡り、路地裏を歩きながら、お目当ての食堂に到着。



ソルロンタン。



朝食を食べてホテルに戻る前に、韓国のユニクロだと言われるSPAOという衣服店に寄って、服を二着買った。



国民の英雄。イ・ジョンフ。



明洞をぶらぶら歩く。ハングル看板があちこちにあるのを見ると、韓国に来たなぁと実感するが、一方で、もしこの街からハングルが消えたら、ここが韓国だと分かるだろうか、とも思った。急速にグローバル都市として発展する韓国は、オシャレなカフェ、ブランド店、巨大パネルが都市を彩り、もはや匿名の空間になっている。四方田犬彦がまさに『ソウルの風景』(岩波新書)で指摘したことだ。昼に同伴者の知人と待ち合わせしてるが、時間がまだあったため、街中で声をかけられたマッサージ店へ行った。中国語が飛び交うところを見てると、おそろく朝鮮族経営のマッサージ店だろう。ここで40分ほど、マッサージを受けた。



 昼は、韓国人の知人と合流し、冷麺の店に連れてってもらった。この日はやや暑かったので、冷麺が本当においしかった。それにしても量がなかなか多い。さて、腹も満たされたところで、今日は天気もいいことだし、ソウルの街を思い切り歩きたい気分だ。〈続〉