本 『オリンピックの身代金』 奥田英朗著

 

2010/01/03(日) 11:45読了

 

 

 

【あらすじ】

昭和39年夏。10月に開催されるオリンピックに向け、世界に冠たる大都市に変貌を遂げつつある首都・東京。

この戦後最大のイベントの成功を望まない国民は誰一人としていない。

そんな気運が高まるなか、警察を狙った爆破事件が発生。

同時に「東京オリンピックを妨害する」という脅迫状が当局に届けられた!

しかし、この事件は国民に知らされることがなかった。

警視庁の刑事たちが極秘裏に事件を追うと、一人の東大生の存在が捜査線上に浮かぶ…。

「昭和」が最も熱を帯びていた時代を、圧倒的スケールと緻密な描写で描ききる、エンタテインメント巨編。

 

 

【感想】

ボリュームがあって、読み応えがありました。

時代の空気感をひしひしと感じました。

東京オリンピックの頃はもう戦後の復興は終わっていたと思っていたんですが、そうでもなかったんですね。

あまりの格差社会に唖然としました。

登場人物がそれぞれの階級を象徴する存在として描かれていたのも興味深かったです。

ラストの高揚感が肌に伝わり、抜けるような青空が目に浮かぶようでした。

今の平成の世にこれだけ国民が一体となって当たれることがあるだろうかと思いました。

きっと無いだろうなぁ・・・。

本 『哄う合戦屋』 北沢秋著

 

2009/12/30(水) 02:45読了

 

 

 

【あらすじ】

天文十八年(一五四九年)。武田と長尾に挟まれ、土豪が割拠する中信濃。

山深い名もなき城に、不幸なまでの才を持つ孤高の合戦屋がいた―。

「もはや拙者には、富貴も要らぬ、栄華も要らぬ。願うはただ、殿を天下人にすることのみでごさる」。

 

 

【感想】

『のぼうの城』もそうでしたが、ここまで登場人物と地域を限定してもらうととても読みやすいです。

主人公の石堂一徹は戦の才は天才的だけれど、人望は集められない人物です。

合理的な考え方は現代人に近く、生まれる時代が早すぎたかなという感じ。

主に天下を取らせることだけを目標に生きてきた男がラストで思いがけない行動に出ます。

人はやはり人のために動くのだなぁ。

命も大望も捨てても良いと思えた時にやっと一徹は心から哄うことができたのです。

どうかその捨て身の行動が報われていますように・・・。

 

蛇足ですが、話が始まっていきなり2ページ目に誤植が2箇所もあり、ちょっとがっくりきました。

本 『転移』 中島梓著

 

2009/12/27(日) 14:30読了

 

 

 

【あらすじ】

2009年5月26日、栗本薫=中島梓氏が、56歳の生涯を閉じた。

2008年、すい臓がんが肝臓に転移し、抗がん治療をしながら、大ベストセラー「グインサーガ」や「東京サーガ」シリーズを精力的に執筆し続けた。

その合間に最期の闘病記となる本書を2008年9月から2009年5月の意識を失う直前まで書き続けた。

天才作家であり、主婦であり、母であった一人の女性の闘病の日々を克明に描いた命の証。

 

 

【感想】

命尽きるその瞬間まで書き続けようとした壮絶なまでの作家根性に頭が下がります。

『ガン病棟のピーターラビット』はエッセイ形式でしたが、今回は日記形式です。

体調不良の中、家族の食事を作り、おしゃれをして出かけ、小説を書き、買い物をし、ライブを行う・・・そのパワフルさにびっくりしたんですが、それだけ「まだ生きたい」という気持ちが強かったのだと思います。

私自身、もう人生の折り返し地点は過ぎていると思いますし、やはり若い頃のような無理がきかなくなっています。

今年はまず健康第一に気をつけて、自分に本当に必要なものや大事なものを取捨選択しながら過ごしていこうと思います。

本 『シングルベル』 山本幸久著

 

2009/12/24(木)読了

 

 

 

【あらすじ】

典型的な草食系男子で結婚興味なしの陽一は、父の策略で3人の女性と見合いをする羽目になる。

外資系バリバリ管理職、バンド大好きOL、元人気モデルの中から彼が選んだ女性とは?

ドラマでも話題の婚活世代に送るコメディタッチの恋愛小説。

 

 

【感想】

軽快なテンポでさくさく読めました。

それにしても、今ってやっぱり女性の方がパワーあるんでしょうか。

3人の見合い相手に3人の叔母に姪っ子の美和子ちゃん、女性はみんな元気はつらつ。

対して、草食系の陽一さんに3人の姉に頭の上がらないお父さん。

でも、陽一さんって結婚に興味が無いだけでモテないわけじゃないんですよね。

作中に出てくる「月下老倶楽部」(親が自分の子供の結婚相手を探すために集う会)って実際に似たようなものがありそうですけど、若者が結婚に興味がないということはそれだけ恵まれた時代だということかもしれません。

本 『マイナークラブハウスは混線状態』 木地雅英子著

 

2009/12/23(水) 13:33読了

 

 

 

【あらすじ】

部員5人未満の非公式な文化部ばかりが集まった、おなじみ「マイナークラブハウス」。

学年がかわり新入生が入ったというのに、そこでは、あいも変わらずスラップスティックな日常が繰り広げられている。

しかし、マイペースな新・演劇部長、畠山ぴりかの存在が、学内の「均衡」を徐々に狂わせはじめ…。

続刊待望の学園小説、秘められた恋が新たな恋を呼ぶ新局面に突入。

 

 

【感想】

いつもこのシリーズを読んでいると頭に浮かぶのは、坂木司さんの『夜の光』と羽海野チカさんの『ハチミツとクローバー』でした。

なので、今回の解説が坂木司さんでびっくり。

更に、坂木さんも「『ハチミツとクローバー』の世界を彷彿させる」と書かれていてびっくり。

坂木さんの解説を読んでいると、いつも自分が漠然と思っていることが文章になっていてすっきりしました。

人の負の感情を呼び寄せてしまうぴりかは気の毒な子だと思っていたんですが、坂木さんの「ぴりかは巫女である」という見方に「そうかぁ」と納得しました。

坂木さんは巫女であるぴりかが恋愛することを心配されていましたが、私はぴりかと瑛一さん「あり」だと思います。

マイナークラブハウスの面々の恋のベクトルがどこに向いているかもはっきりしてきたので、次刊がますます楽しみです。