本 『晋平の矢立』 山本一力著

 

2009/11/21(土) 01:12読了

 

 

 

【あらすじ】

享保二年正月、江戸尾張町が大火に見舞われた。

焼け残った土蔵の取り壊しに難儀した肝煎衆五人組は、深川に壊しの名人・伊豆晋平を訪ねる。

“伊豆晋”は建替え普請のために家屋を壊す「壊し屋」だ。

荒くれ男たちを束ねる棟梁晋平は、度量もさることながら、蔵から出る古道具への目利きも並ではない。

蔵の壊しを請け負った伊豆晋の面々の活躍と、所蔵品にまつわる因縁話を、情たっぷりに描く、大江戸人情物語。

 

 

【感想】

享保2年(1717年)、八代将軍・吉宗の時代のお話。

お江戸小説は当時の風俗や町の様子がわかったり想像したりしながら読むのが楽しいんですが、この作品では大火の後の江戸の様子がわかります。

意気軒昂な男たちがたくさん出てきてかっこいいんですが、主人公の古道具趣味があまり話に生かされてないように感じました。

最後のエピソードもちょっと中途半端に終わった感じがして残念です。

本 『京都大文字送り火恩讐の殺意』 柏木圭一郎著

 

2009/11/19(木) 00:37読了

 

 

 

【あらすじ】

京都のシンボル、東山如意ヶ岳。通称・大文字山の「大」の字を汚すように他殺死体が発見された。

被害者は、京都有数の名店「料亭みなみ川」の主人・南川和雄。

第一発見者であるカメラマン・星井裕は京都府警の刑事をしている元妻・安西美雪とともに事件の謎を追う。

捜査が混迷を極めるなか、またも高名な料理人が死んだ……。

千二百年の歴史を背負いながら生きる京都人が、命を賭してでも守り通したいものとは何なのか? 

新世紀、新世代の旅情ミステリーは古都を舞台に歴史の幕をあける。

京都を知りつくす超大型新人の、鮮烈なる書下ろしデビュー作。

 

 

【感想】

星井裕シリーズ第1作です。

京都を舞台にしたカメラマンが主役のミステリーです。

このまま2時間ドラマになりそうです。

名所とグルメと殺人と、という感じですね。

と思っていたら、先日本屋でこのシリーズがテレビドラマ化されることを知りました。

主演は高嶋政伸さんと水野真紀さん。

ぴったりぴったり。

楽しみです。

 

さて、物語の方ですが、タイトルに「送り火」と入ってますが梅雨時の話なので「送り火」は関係ありません。

ちょっと拍子抜け。

でも、去年送り火を見に行っていたので、あの山で殺人が・・・と思いながら読みました。

犯人が考えたトリックはちょっと無理があるかなぁ。

まぁ素人の星井さんが見破れないといけないわけですし。

でも、京都の風景を思い出しながら読むのはとても楽しかったですし、京都の豆知識もわかりますし、出てきたお店や名所に行ってみたいなぁと思ったり。

とても京都に行きたくなってしまう本でした。

本 『花と流れ星』 道尾秀介著

 

2009/11/17(火) 23:55読了

 

 

 

【あらすじ】

死んだ妻に会いたくて、霊現象探求所を構えている真備。

その助手の凛。

凛にほのかな思いをよせる、売れないホラー作家の道尾。

三人のもとに、今日も、傷ついた心を持った人たちがふらりと訪れる。

友人の両親を殺した犯人を見つけたい少年。

拾った仔猫を殺してしまった少女。

自分のせいで孫を亡くした老人…。

彼らには、誰にも打ち明けられない秘密があった。

 

 

【感想】

真備シリーズ初の短編集です。

『流れ星のつくり方』

『モルグ街の奇術』

『オディ&デコ』

『箱の中の隼』

『花と氷』

の5編収録です。

 

中でも好きな3編について・・・。

 

 

『流れ星のつくり方』

白峠村の事件(『背の眼』)の後、温泉旅行にやってきた真備さん・道尾くん・凛ちゃんの三人。

散歩に出かけた凛ちゃんが出会った少年から投げかけられた謎。

 

私は凛ちゃんが好きなので彼女が主役のこの短編は楽しく読みました。

とても短い話ですが、最後に「あ!」という驚きとなんとも言えない切なさを感じます。

凛ちゃんという優しい女性のフィルターを通して語られる話なので、とても優しい気持ちになれました。

 

しかし、凛ちゃんって平気で真備さんや道尾くんと同じ部屋に泊まりますよね。

道尾くんは眼中にないとしても、真備さんと同部屋というのはかなりドキドキしそうですが。

 

 

『オディ&デコ』

真備霊現象探求所を訪れた小さな相談者。

小学4年生の莉子ちゃんが子猫に取り憑かれたというのだ。

 

「今日から春なんだけどな・・・」

凛ちゃんのつぶやきから始まりますが、このつぶやきまで伏線とは。

そして、初めて謎解きの役に立った道尾くん。

せっかく凛ちゃんに見直してもらったのに天然発言で台無し(笑

ちっちゃな悪意が引き起こした事件でしたが、道尾くんのおかげでほっこり気分になれました。

 

 

『花と氷』

これは辛かった(涙

真備さんも凛ちゃんも薪岡さんも、みんな心に氷を抱えて生きていかなければならないんですね。

早く綺麗なお花を咲かせられますように。

こんなしんみり話でも天然ぶりを発揮する道尾くん。

君はすごいよ。

  

 

シリーズ初の短編集は三人の日常生活やバックボーンが垣間見えて面白かったです。

どんどんキャラが立って育っていく感じも楽しいです。

本 『骸の爪』 道尾秀介著

 

2009/11/15(日) 19:00読了

 

 

 

【あらすじ】

ホラー作家の道尾は、取材のために滋賀県山中にある仏像の工房・瑞祥房を訪ねる。

彼がその夜見たものは、口を開けて笑う千手観音と、闇の中で血を流す仏像。

しかも翌日には仏師が一人消えていた。

道尾は、霊現象探求家の真備、真備の助手・凛の三人で、瑞祥房を再訪し、その謎を探る。

工房の誰もが口を閉ざす、二十年前の事件とはいったい。

 

 

【感想】

本編のいたる所に散りばめられた大小様々な謎が全て解かれるラストの謎解き雪崩打ちがすごいです。

最後の最後まで唸りながら読んでしまいました。

このシリーズはホラー仕立ての本格ミステリーで、更に民俗学的な要素も入っていて面白いです。

主要登場人物三人のバランスも良く好きです。

次作を心待ちにするシリーズの一つになりました。

本 『アシンメトリー』 飛鳥井千砂著

 

2009/11/14 16:20読了 

 

 

 

【あらすじ】

結婚に強い憧れを抱く女―朋美。

結婚という形を選んだ男―治樹。

結婚に理想を求める男―貴人。

結婚に縛られない女―紗雪。

結婚願望の強い朋美はある時、友人の紗雪が突如結婚を決めたことにショックを受けた。

紗雪の相手は幼馴染みの治樹。

心から祝えない朋美だったが、ふたりの結婚パーティーで出会った年下の貴人と恋仲になる。

しかし、紗雪と治樹の結婚には秘密があった…。

現代における「結婚」とは何か?アシンメトリー(非対称)な男女4人を描く、珠玉の恋愛小説。

 

 

【感想】

「普通とは」

大多数? 平均? 標準? 正常?

 

紗雪が持つ疑問を私も最近よく考えます。

「普通」って一番「平凡」なようでいて、実は「最強」だと思います。

 

幼馴染の紗雪・治樹・貴人の3人+朋美の4人が織り成す恋愛小説です。

幼馴染っていいですね。

いろんな家庭の事情も解り合って気が置けない関係。

それでも恋愛のことになるとなかなか全てをさらけ出すことは難しいですよね。

マイノリティならなおさら。

いろいろあったけど、ちゃんとお互いがお互いを思いやり理解し合おうとするラストにほっとしました。