娘はまもなく12歳になる。
誕生日は、私自身も普段は思い出すことのない出産の記憶をひっぱりだして、あの日の私はよく頑張ったわあと、自画自賛できる貴重な日。
そろそろ金一封を求められる年齢だと思うけれど、なんとなく抵抗があって、商品か体験でお願いしたいと言っている。
「思い浮かばなかったら、来年に繰り越しでもいいんだからね」
親の言う通りにしてたまるかとばかりに、娘は必死で考えていた。
まだ小学生だし、もともとあまり物欲がないタイプだから、ちょっと金額の張る商品が思い浮かばないのだと思う。
行きつけの(書店に併設された)文房具屋さんで、両手で持てるかぎり買い放題とか、楽しくていいと思うのになあ。
大きめのスケッチブックを買って、それを広げてお盆代わりにすれば、たくさん持てる。買える。
そういう所に娘が気づけるかどうかチェックしたかった。
私の言うことは何でも却下したがる娘が、いいモノ見つけたとばかりに、興奮した顔で私にスマホをみせてきた。
「お母さん、これがほしいんだよ」
えっ?パンテーン?
想像の斜め上からやってきた。
美容に関しては、絶対にお母さんより知識があると思い込んでいたのか(まちがってないけど)、私がパンテーンと口に出したことに、娘はたいそう驚いていた。
娘は、髪の毛をきっちり乾かして、髪をとかしてから寝ると、翌朝がまとまっていることにやっと気づいた。
今は肩甲骨が隠れるあたりのロングヘア。
いつも生乾きで、タオルを枕に敷いて寝ている。
実をいうと私自身が幼少期からそうやっていて、髪をまともに乾かしてこなかった。
これは髪が痛むから、まったくおすすめできない。何度も娘にそう言ったのに。
娘は絶賛反抗期だから、私の言うことなんて聞き入れない。
ようやく自分で気づいたらしい。よかった。
娘の中で「これをつけて眠れば、翌朝に髪の毛がしっとりしている」というアイテムがある。
ベビーオイル。
何のために買ったのか忘れてしまったけれど、洗面台にあるのを見つけて使ったらよかったらしい。
今朝なんてつけすぎたのか、3日間髪の毛あらっていません的な雰囲気が漂っていた。
そんなわけで、ちゃんとしたやつが欲しいらしい。
もちろん即答で了承した。ドラッグストアへ行ってきます。喜んで買ってきます。
なんだったらラッピングもさせていただきます。
12歳の誕生日プレゼントはパンテーン。
忘れないように残しておこう。
今は前髪だけ私が切っています。2mmとか3mmとかの長さで、ごちゃごちゃうるさいです。半年に1回くらい、私が行っているお安めの美容院へ連れていく感じです。
あっ、まだ世の中に存在してますね。ホットカーラー。
コテで巻くのは怖いらしいのですが、ホットカーラーなら頑張ればできるんじゃないかなあ。
あーやっぱり、娘はビビリだから無理かな。
いい商品を見つけました。
これなら娘も一人でできるんじゃないかと。
誕生日の朝、枕元に置いてあげることにします。
12歳の誕生日プレゼントは、おさかなカーラーとパンテーンと。