そのオトコ、相棒につき(後編)~とある王様の物語エピローグ~ | 創運の算命学士

創運の算命学士

朱学院系算命学の師範、せなです。

「さて、事の始まりに話を戻そう」



「シン、あなたは本当にあのオトコに利用されていただけなのですか?

 あのオトコも国造りに奔走していたのではないのですか?

 あなたの目には、あのオトコが私服を肥やしていたように見えましたか?

 王が富を持つ事は当たり前で疑う余地がありません。富める者が富むことが当たり前の時代なのですよ。家臣達の贅など、シンに比べたら慎ましいものです。
 シンは自分の富は当たり前として気にもせず、その立ち位置から清廉潔白であろうとしました。あのオトコも同じように自分に与えられた富を当然のものとし、その立ち位置から清廉潔白でした。お二人は同じです。

国造りにかける思いも同じ、国を笑顔で満たしたいという理想も同じ。

しかし、その方法には大きな隔たりがありました。

考え方、手順、手法、優先すべきもの、

同じ山の頂を、全く違うルートから目指していたのです。

最終的にシン、あなたは首をはねられました。

こうも言えます、高い理想を掲げたオトコを、
主君を裏切る謀反者へと追い込んでしまった、とも。

 自分の思いだけを押し通して突っ走った結果です。いえ、思いつきの初速で言い放ったまま全てを家臣に押し付けてきた結果です。彼らは自分のやり方ではない方法で物事を進めなければなりませんでした。同じゴールを目指しているのに、違う道を認めない王のもとで見知らぬ道を歩かされていた彼らは、やがてゴールを見失いました。

 分かりますか、目的地を設定してドライブをしている所にあなたが指図して、つねにナビと違う道を進ませたのです。彼らは本当に目的地に着くのか不安になり、ついには目的地を忘れてしまったのです。」

シン 
「だから僕にはやり残した事があるんだ。

 力を使って言い放つのではなく、力を使って成し遂げる。

 人は僕と同じように強い思いを持つ、

 それを殺さず対峙せず、全てを生かして僕の思いを成し遂げたい。

 僕たちの中で今肉体をまとっているのは君だ、

 だから、それを君にやって欲しい。」 ※君=翔の事です。


シヴァ 
「あなたがシンのカルマ~希望~を引き受けた所で、話を元に戻しましょう。

 主君の首をはねる事にしか未来を見いだせなくなってしまったオトコ、崇高な男ゆえにその後悔もまた深いものでした。『しかたなかったのだ』痛みを和らげる言い訳の呪文は彼の心を重く縛りつけ、深いカルマの輪へと沈んでいきました。

 シン、最後まで気高き王であったあなたは仕方ないなどと考える事はありませんでしたね。あなたが『仕方なかった』の輪に絡め取られたのは、その後の人生です。あなたがあのオトコだった少年兵(※前話参照)に喉を突かれた瞬間から、あなたは輪に落ちました。」

「オトコがシンを怨んでいたからカルマの輪に落としたのでしょうか?

 シンに罪悪感が芽生え、自らを輪に投じたのでしょうか?

 因果応報、全ては仕組みに沿って起きた事なのでしょうか?

 いいえ、違います。


 二人から始まった輪は二人で閉じる必要があると、知っていたからです。

 シンがオトコにカルマを返す、という無粋な言い方をしても構いませんが、

 幾度となく交差した人生の中で、どちらかがカルマを返せばよいと言う

 単純な関係ではなくなっているのです。

 あなたは、シンとオトコがどんなに深い信頼で結ばれていたか

 思い出したでしょうか、故に転じた闇もまた深いものとなりました。


 どうか今、それを解放してください、  シンを頼みます。」





人気ブログランキング>シンのカルマ~希望~が「僕と同じような強さを持った人の意思を殺さず、対峙せずに僕の思いを成し遂げたい」という事は、自分の思いが誰かに邪魔される(意見が合わない)とか、シンの希望を叶えるのに困難な事が生じるって事ですよ!それがカルマ~先人達の希望~なのです。葛藤こそわが人生とか、嫌過ぎるぅ。
ちなみにオトコってのは今の奥さんです。強烈な夫婦関係で一気にカルマ解消するつもりだったという、衝撃の真実!