それでは、第2夜はじまりです。
毎週のように訪れる、静かな休日、
その静かさに耐えかねて
DVDをレンタルして部屋で見ようと、扉を開けると
そこは、戦時中の病棟だった。
太平洋戦争末期、
沿岸にある目立った建物は爆撃や銃撃の目標とされたのだ。
病院も例外ではない。
「何これ?」・・・
そいえば俺の部屋、現実じゃなくて夢だったな。
と思いつつ病棟内をさまよっている自分の姿を、
すぐ後ろから眺めている
木の廊下にコンクリートの壁と柱、
古びた校舎を思わせるその病棟は
どこか薄暗く、冷たい空気がよどんでいた。
耳をつんざく爆発音とともに、
よどんだ空気は針のように緊迫し、
傷ついた患者が次々と搬送されてくる。
激しい空襲にさらされながら
怪我人を運ぶ看護婦たち
空いている病室を捜して
右へ左へと患者を搬送している
病棟のT字路で呆然と立ち尽くす俺、
右へ走り去った看護婦と患者が爆弾の直撃を受けて吹っ飛ぶ、
衝撃波と悲鳴を背中に受けながら左へ走り去る者たち、
ここは、一瞬一瞬が運命の分かれ道だ。
爆撃機が降下する音と爆撃の地響き、頬を伝わる爆風、
みんな、
恐怖と悲しみで胸が張り裂けそうになるのを必死にこらえている
少しでも感情を表に出せば、
その瞬間に我を失って自己崩壊してしまう狂気の世界。。。
※各自、戦争映画なんかの記憶を回想してください
その回想シーンを100倍くらいグロさと悲劇と絶望で濃縮した感じです。
看護婦達の、
恐怖と悲しみと怒りとやるせなさと助けるという強い決意が
オレの胸を突きぬけて行く。
「死ぬ死ぬっ、こんな場所にいたら間違いなく死ぬぞ」
ど~すれば戻れる?
どうやらタイムスリップしてしまったらしいことに気づいたオレは、
必死に爆撃を避けながら
壁の割れ目や段差を叩いたり蹴ったりするが
一向に元の世界に戻る気配はない。
「ここで生きるのか?」
「そもそもジーンズにシャツってずいぶん洋風じゃないかっ
誰かに見つかったらど~なるんだ?」
幸いなことに、彼らの世界と俺はほんの少しずれているらしく、
俺の姿は誰にも見えていないようだった。
だが、衝撃波や熱風を感じることが出来る俺は、
間違いなくこの世界に参加していた。
なにより、周りの人の感情が無造作に飛び込んできては
俺の胸を掻きむしる。
病棟内だから当然空は見えないし、
煙で病棟内の視界も良くない
轟音が最大限に大きくなった瞬間に
どこかで爆弾が爆発し、一瞬静寂がよぎる。
そして
どこからとも無く聞こえ始めた轟音が大きくなり、
またどこかで誰か死ぬ。
爆弾の軌跡を確かめないと次は自分が死ぬな、、、
見えない恐怖に耐えかねて 外に出た者たちは、
急降下してきた戦闘機の機関銃掃射を浴びて、
肉片へと変わる・・・
数秒前まで人間だった肉の残骸が、
助けを求めるようにこちらを見ている気がする。
パニック以外のないものでもない。
※ここでは映画なんかの画像を脇に置いて、こんな妄想をしてください。
サンマをまな板の上に乗せて、スプーンの柄で力いっぱい突き刺してくれ
何回も何十回も・・・サンマが見事な肉塊に変身していく感じが想像できた?
これが人間だったらさぞかし血しぶきや内臓や脳みそがはじけ飛ぶだろ?
ま~、そんな感じだ。手持ちの機関銃じゃなくて戦闘機の機銃だからな…
タンカで運ばれて行く片目の兵士とすれ違いざまに目があい、
思わず振り返る。
彼は、俺の方を見ながら何かを訴えたが、
攻撃機の轟音と機関銃の爆音が二人を遮る
生・き・た・い
そうだ、彼は生きたかったのだ。
青年と呼ぶにはまだ若い彼が 最後に残した思い。。。
地形の関係か?
機銃掃射する戦闘機は南側からしか急降下してこない様子なので
北側から病院の外に出た。北側は山だった。
山から下る道を白い軍服を着た少年たちが行進している・・・
ふと気づけば、俺も白いコートを着ている!
!!同化してる!!!
必死に元の自分の部屋に戻ろうとするが
オレを受け入れたこの世界には、
外に出る手段が無いらしい・・・
帰れない絶望感にがっくり肩を落とす。。。
頭を抱えて放浪するオレの視界に、
見覚えのある梯子が飛び込んできた。
「オレの部屋のベランダに通じる梯子だ!」
でも、ずいぶん新しいな…
藁にもすがる思いで登ってみるが、
その先は見慣れぬ部屋、
そして、行き止まり。
「なんだ、この結末は!」
梯子をガンガン蹴って暴れたら、
その梯子が折れて真っ逆さまに地面に激突
その衝撃で目覚めた。。。
もしかして、目覚めたと思ったら
まだ夢の中のオレの部屋って落ちじゃ~ないだろうな…
恐る恐る周囲を見回すと、、、
リアルな俺の家だった 良かったよかった
。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。
あの看護師達の
恐怖と悲しみと怒りとやるせなさと助けるという強い決意
片目の青年が切望した願い。。。
それを生み出した狂気の世界
戦争は、怖いですね。