スモールカンパニー 加速経営塾 原田将司 -4ページ目

スモールカンパニー 加速経営塾 原田将司

リソースアクティベーション株式会社(経営コンサルティング会社)
株式会社ことぷろ(電子機器・システム開発会社)
両社の代表取締役。
【著書】
『スモールカンパニー 本気の経営加速ノート』
『スモールカンパニー 最速のブルー・オーシャン戦略』

わが社の「未来」とは、つまり「まだ見ぬ顧客」「キャッシュアウト(Xデー)までの日数」のことです。

 

キャッシュアウト(Xデー)までの日数については、過去記事(2022年6月1日投稿:『わが社に「余命宣告」をしよう!』で解説したので、今回は「まだ見ぬ顧客」の解説をします。

 


まだ見ぬ顧客とは、つまり、=潜在顧客未来客のことです。

未来客はわが社の利益の源泉であり、わが社の「未来」そのものです。

この未来客以外で、将来のわが社にお金を払ってくれるところはありません。

この大切な未来客がいる、自社の市場規模を大まかにでも把握できている企業はいったいどれくらいあるのでしょうか。



「まだまだいるに違いない。出会ってない客のほうが多いに決まっている。」という感覚で、気に留めない、という経営者が多いのではないでしょうか。
 

市場規模とは、自社の成長可能性の最大限であり、利益の源泉であるため、これを把握しておくことは、戦略立案や様々な経営判断に大いに役立ちます。


しかし、様々な統計結果が発表されてはいますが、いずれの統計も対象の抽出方法や計算方法等が違うため、その結果はまちまちであり、複雑な計算式を読解するのも面倒です。

 

もし、自社の市場規模を大まかにでも再評価できれば、市場内部の勢力図や動向に意識が高まり、今後、自社の進路を決定する際の参考になるのは間違いないでしょう。

 

『既存市場でシェア拡大か、市場そのものを拡げるか、新しい市場への参入か・・・』といった市場規模や成長の可能性を想像してみるのは経営者にとって楽しい思考実験でもあります。

 

今回は当社を例にして、当社のような経営支援会社にとって、顧客となりうる企業は一体、日本国内に何社あるのか?!を、かなり大雑把に探ってみたいと思います。
 

ざっくりと「まだ見ぬ顧客」が一体どれだけいそうなのか?に焦点を当てて考えてみるとこうなりました・・・
 

結論:
日本の中小企業のうち、経営の実体があり、資金力、成長意欲、経営センス、行動力のある企業つまり、当社のまだ見ぬ顧客=未来客は、
全国に約3万8795社(中小総数の約1%未満)であると推定される。

 

となりました。

この3万8795社が、現段階で想定しうる当社の未来=可能性なのです。

 

当然、当社だけでは対応しきれませんが、業態を変化させずにこのままいくと・・・こんな感じになるということです。

 


 

以下は、少し長くなりますので、コーヒーブレイクの“プチ思考実験”だと思って流し読みしてください。
 

この推論は8つのフィルターを通して算出したものです。
フィルターの中で、「〇〇に該当する企業の数」のような割合を示すもの(=変数)には、パレートの法則(2:8)を代入して考えます。

感覚的に「これは2割かな。これは8割くらいかな。」という感じで仮定するという意味です。

 

 


それでは、はじめます。

 

 

 

フィルター1)大前提:

日本の企業総数は、400万社
 

統計により異なりますが、410万とも450万とも言われています。

過去20年間くらいずーっと約400万社と言われてきていますので、ここでは400万社とします。

 

フィルター2)母数:
中小企業の総数は、398万8千社

 

大企業の割合は約0.3%らしい・・ので、=約1万2千社となり、中小企業は約99.7%=約398万8千社となります。

 

 

フィルター3)体質:
黒字の中小企業数は、119万6400社、赤字の中小企業数は、279万1600社


中小企業のうち黒字決算は約3割しかないと言われています。

ですので、黒字の中小企業数は、②398万8千社×0.3=119万6400社、赤字の中小企業数は、②398万8千社×0.7=279万1600社となります。
これは毎年変動しますが、だいたいはこの水準で推移しているようです。
 

フィルター4)体力:
新たに投資する資金余力のある企業数は、151万5440社(中小総数の約40%)

 

黒字で投資する資金余力のある会社が8割あり、赤字だけど資金余力が残っている会社が2割あると仮定すると、

黒字で資金余力がある中小企業数は、③119万6400社×0.8=95万7120社

赤字だけど資金余力がある中小企業数は、③279万1600×0.2=55万8320社

合計すると、95万7120社+55万8320社=151万5440社となる。
 

当社の場合も、顧客の約4割が契約当初は赤字でスタートして、のちに業績のV字回復を遂げているので、ここの肌感覚は合っていると思います。




フィルター5)実態:
実体のある企業数は、121万2352社(中小総数の約30%)


資金余力のある中小企業のうち、資産管理会社や事業実態のないペーパーカンパニー、同じ経営者が保有するグループ企業数を除きます。

資金余力のある企業のうち、希望的に2割が実体のない会社で、8割は実体があると仮定します。

実体のない会社は、④151万5440社×0.2=30万3088社

実体のある会社は、④151万5440社×0.8=121万2352社となる。

実際は、実体のない会社はもっと多いと思いますが・・・ここはあくまでも希望的に少なく見積ります。
 

フィルター6)意欲:
意識が高く意欲のある企業数は、96万9882社(中小総数の約20%)

 

経営者が強い危機感を持っている、または強い成長意欲がある企業数は、希望的に8割と仮定すると、

⑤121万2352×0.8=約96万9882社となる。

 

私の肌感覚では、もっと少ないと思いますが・・・ここも希望的に多く見積もってみます。

 

フィルター7)経営センス:
経営センスのよい企業数は、19万3976社(中小総数の約4.9%)


新しい挑戦に躊躇なく取り組む勇気があり、必要な投資をタイミングよくできる経営センスのある経営者が希望的に2割いると仮定すると、

⑥96万9882社×0.2=約19万3976社となる。

 

実際はもっと少ないかもしれません。多くの経営者は節約志向に縛られて、身動きが取れなくなっています。
 

フィルター8)行動力:
実際に大胆な行動をおこせる企業数は、3万8795社(中小総数の約1%未満)


新しい取組み、挑戦のための具体的な行動を起こしている、または起こそうと努力している経営者が希望的に2割いると仮定すると、
 ⑦19万3976社×0.2=約3万8795社となる。

ここも経営センスと同じく、実際はもっと少ない可能性があります。多くの経営者は挑戦に伴うリスクを読み切れずにいるので、とりあえず考える・とりあえず同じことを繰り返すという思考から抜け出せずにいます。




以上、今回は8つのフィルターをかけて考えてみました。

無論、それぞれのフィルターにも様々な統計結果がありますので、興味のある方は自分の気になるフィルター(条件)の正確な数値を探して当てはめてみてください。

 

この思考実験は、今後、新しいデータ、情報を得たら更新していけば良いだけなので、正確性にこだわらず、常に肌感覚で更新しながら、経営者として“実態のある市場規模を見立てる感覚”を磨いていく一助になればと思います。