■ スターターのまわりが重い気がした
登場する機会が極めて少ないドゥカティムルティストラーダ1000DS「ねこびんた」
ムルティストラーダ620と(おそらく)同じバッテリーやセルモーターを利用しているためか、「620」と較べてしまうとエンジン始動時のスターターのまわりが重いような気がしてしまう。(エンジン自体が大きく重くなったので当然ではあるが)
そんなある日、ムルティストラーダ1000DSのスターターモーターのまわりが悪くなり、場合によっては(今までと同じ始動方法では)セルモーターが回らなくなったりする症状が発生したので、確認のためセルモーターを分解して内部を確認してみたりするのだった。
本内容は管理人が行った活動の記録だったりする。各名称等は管理人が使用しているもので正式なものではないかも。こんな記録を参考にせず、正しい情報を入手して、正しく活動されたい。万一、参考にしてしまう場合には自己責任で。
■ 症状と事前の確認とか
今回、問題になった症状は「エンジンが始動できないことがある」というもの。
セルモーターが回る場合もあるのだが、回らない場合もある。
セルモーターが回っても、その回転に勢いがなく、エンジン始動に失敗する場合もある。
さすがにこれでは安心して出かけられないので、何らかの対策を取らざるを得ないのだった。
ちなみに、作業を開始する前にバッテリーとセルモーターを直結してみると、セルモーターはそれなりに回転した。
スターターのリレーが不調かと思い、リレーを(「620」から取り外したリレーに)交換してみるが、症状はほぼ変化なし。
バッテリーの劣化が原因であることも疑って、四輪車用のバッテリーを持ち出して試してみるが、症状に変化がないということで、どうやらバッテリーが原因という訳でもなさそう。
もちろん、その他の回路の不調を確認するような専用機材はもちあわせていない。
原因究明という点では手詰まりになってしまった感があるのだが、とりあえず出来ることをやってみようということで、セルモーターを分解して、内部のカーボンブラシでも点検してみることにしたのだった。
■ 作業とか
ムルティストラーダ1000DSのエンジン下部。
前シリンダーの下あたりに筒状のセルモーターがある。
その特徴的なデザインを実現するために、整備性など全く無視していてもおかしくないのだが、幸いな事にセルモーターは外部から比較的容易にアクセスすることができた。
さすがにXTZ125「ねこちやづけ」のように、電気配線さえ外せば簡単にセルモーターが外せるような事はないのだが、
オイルクーラーへのオイル配管を外すことで、セルモーター本体の筒部分を取り外すことができる。
エンジンオイルの配管と、セルモーターを固定するキャップボルトを抜いて、
配管とエンジンの間を繋ぐ、アダプタ2個を外した。
これでセルモーターが外せるかと思ったが、ネットで情報を集めたところ、エンジンの反対側からもボルトで留められているようなので、セルモーター全体を取り外すのはエンジン反対側のボルトを抜く必要がある。
とりあえず、セルモーターのブラシを確認できればよかろうということで、セルモーター自体を分解していく。
この画像では既に取り外されているが、長いボルト2本を抜いて、
セルモーター後部(画像の手前側。 ちなみに先端部はエンジンに刺さった状態で固定されている。)のカバーを外す。
内部に回転子(回転する部分)が見える。
取り外したセルモーターの後部カバーと、カーボンブラシが取り付けられた部分。
カーボンブラシを見てみるが、それほど磨耗してはいない。
まだ十分使えるはず。
走行距離は1万キロメートルも走っていないので、磨耗もそれほど大きくないはず。
整流子(カーボンブラシと接触する部分)を見てみる。
黒ずんではいるが、特に問題はなさそう。
セルモーター内部には、カーボンブラシが磨り減ったのか、黒色の粉末が溜まっていた。
セルモーターの筒分、モーターの本体には、2740051A 428000-1070 12V DENSO MADE IN JAPANの文字が。
日本製だとちょっと安心してしまう。
ワッシャ等を確認して、
整流子をお手入れしておく。
ここを「紙やすりで磨いたりしてはいけない」と書かれた情報もあるが、そんな事をしらない素人は接触部分を紙やすりで磨いてしまう。
銅の色が戻ってきた整流子。
ひとまずパーツクリーナーで脱脂・洗浄しておく。
「コンタクトスプレーは使用しない方がよい・・・。」という情報に触れることもあるのだが、今回はコンタクトスプレーを吹き付けた後、液体を拭き取っておいた。
セルモーター後部側のカバー内。
カーボンブラシのうち、一つはここの端子に取り付けられている。
回転部分と固定部分のあいだにあるワッシャ等を微量のグリスで潤滑しておく。
セルモーターの本体(外筒と回転子)を取り付けて、カーボンブラシを含む部分と後部蓋を取り付ける。
カーボンブラシは回転子の軸が通る部分に突出することになる。
カーボンブラシをバネ側に指で押さえながら、回転子を所定の位置まで通す。
力も要らず、特に難しい訳でもなかった。
という訳で、ひとまずバッテリーを充電してからエンジン始動を試みる。
この時は「とりあえずエンジン始動」に成功した。
セルモーターの回転も気持ちだけ元気にまわるようになった気がする。
ただし、エンジン始動ができない(=セルモーターが回らない)といった症状が発生する場合もあった。
どうやらセルモーター(だけ)が不調になったという訳ではない模様である。
となると、真の原因は別のところにあって、症状は完治していない。
困ったもんだ。
続いてしまう(はず)。
※ 続いてしまった。