今回は点火時期のお話しです.
画像の装置は,CDIという装置
メモ:CDIとは
CDIとは,コンデンサに電気をため,
それを一気に放電することでスパークプラグに火花を飛ばすための装置です.
点火装置は,CDI以外にもいろいろと種類がありますが,
どれも,基本的には急激な電圧の変化を発生させ,
それをコイルで増幅してプラグに火花を発生させます.
CDIはあくまでも点火方式の種類で,点火時期の可変装置はあってもなくても
コンデンサに電気を蓄えて点火させる装置はCDIです.
さて,カブに搭載されているCDIには排気量によって種類がありますが,
私の乗っているカブ90に関しては,15°BTDC/1700[rpm]としかサービスマニュアルには記載されていませんが,
他の方のブログを見ると,1°/2200[rpm],13°/3300[rpm]との記載が見つかりました,
つまり,2200[rpm]で16°BTDCとなり,3300[rpm]で28°BTDCとなるようです.
(BTDC = Before Top Dead Center,つまり,クランク上死点前という意味です.
28°BTDCとは,混合気が最も圧縮される状態(上死点)の,28°前で点火するという意味です.)
ここで,ピストンが目いっぱい上がる前に点火してしまうと,ピストンが逆回転する方向に力が働いて,
パワー落ちてしまうようにも思えます.
ですが,現状のガソリンエンジンではガソリンを「燃焼」させて,混合気のエネルギーを取り出しています.
決して「爆発」ではありません.
そして,この燃焼というのは爆発に比べると圧倒的に伝播速度が遅く,数十[m/s]程度のようです.
(爆発は数百[m/s]ぐらいらしい)
数十[m/s]なら結構早いと思うかもしれませんが,例えば,エンジンが6000[rpm]で回転していて,
伝播速度が20[m/s],BTDC30°で点火する場合,点火してからピストンが上死点に上がるまでに,
16[mm]しか伝播していない計算になります.
(実際には,複雑な流体の流れがあるので,こんな単純な計算にはなりませんが)
また,学校でトヨタ2NZ-FE(ちょっと前のVitzのエンジン)のデータを取ったときのデータがこんな感じ
横軸がクランクの角度(0°が排気工程と吸気工程の間,360度が圧縮上死点,圧縮工程と膨張行程の間です)
これを見るとわかるかと思いますが,シリンダー内の圧力が最も上がるのは,圧縮上死点のときではありません.
一般に,上死点後10-12°くらいの時に最も圧力が上がるのがよいとされているらしいです.
たしかに,圧縮上死点では,クランクとコンロッドが一直線になるわけで,それを押そうとしたって摩擦損失にしかならなさそうですね.
そして,360°ちょっと手前ぐらいの変曲点(どこにあるかちょっと読み取りにくいですが,
もし燃焼が起きなければたぶん360°の点を頂点とするsin波を描くので,それを想像しながら読めば・・・)
この変曲点の位置が,点火のタイミングになります.
そして,この点火タイミングですが,ずらしていくと,こんな感じになるようです
(図書館にあった50年ぐらい前の書籍を参考に書きました)
メモ:オクタン価(自己着火性,温度が上がったときに勝手に燃焼しないかどうかの指数,
レギュラーとハイオクの違いはこれ(というより,ハイオクってハイオクタン価の略ですよね・・・
違いは自己着火性の違いであって,引火性はほぼ同じ,
つまり,ハイオクは勝手に火が付きにくいのに,火をつけようと思ったら同じように火がつく燃料なのです)
このグラフを見ると,
1.点火時期には最適値が存在する.
2.点火時期を速くするほど,高いオクタン価が要求される(オクタン価が低いと,ノッキング,異常燃焼が発生します)
つまり,チューニングしたエンジンの場合,最適な点火時期は純正からずれている可能性があり,
点火時期を調整すると,より高い出力を得られる可能性があるということです.
---------余談---------
この点火時期は燃焼室の形状,プラグの位置,さらにバルブ開度,空燃比によって最適値は変わります.
最近の自動車のエンジンのようなペントルーフ型の燃焼室は半球型(カブなど,昔のエンジンに多い)に比べてコンパクトなため,最適点火時期は遅くなります.
さらに,プラグの位置が燃焼室の中心からずれていると,最適な点火時期は早くなります.(カブなどの2バルブエンジンは思いっきりずれてます.
そのため,最近の自動車のエンジンでは早くても十数°程度なのに対し,
カブのエンジンの点火時期は純正で28°,社外のCDIになると最大で40°近いものもあり,
カブのエンジンがいかに早い点火時期を要求するかわかるかと思います.
------余談ここまで--------
ここでようやく冒頭の写真に戻ると
このCDI,ヤフオクである個人の方が出品されているもので,
「新)エイプ CB モンキ カブ フルデジタルCDI_2(競技用)」という名前で出品されています.
(いつでも出品されているわけではないですが,アラートをつけておけば,そのうち出品されると思います)
「ヤフオクCDI」とググれば,色々情報はでてきます.
このCDIは,
・アイドリングの点火時期(13°から28°)
・5500[rpm]の際の点火時期(28°から49°)
・8500[rpm]以上の点火時期(28°から49°)
を範囲内で任意に設定することできる優れものです
(各回転数の間は直線補間)
ちなみに,上記はフライホイールのピックアップ(点火時期を拾う部分)が28°BTDCのカブ90の場合の値で
ピックアップの角度がずれれば,その分だけ範囲はずれます)
これだけの自由度のCDIが1万円で買えるのは,かなり安いと思います.
(社外品で,デジタルCDIと銘打って販売されているものは,ここまでの自由度はなく,
決めうちのマップになるものの,これと同様に純正よりも進角した点火時期を得ることができます.
一方,デジタルと銘打たれていないものは,その構造上,純正よりも早い点火時期を得ることは一般にできません.
もしCDIを購入される方がいれば,その点はよく検討する必要があると思います)
さて,ここまでちょっと長文になってしまったので,
続きは「近いうち」に書きます.
(近いうちとかいて,数週間放置したことがもう何度あったか・・・そろそろ信用されてないですよねw)
言い訳すると,テストがあるし,レポートがあるし,研究も大急ぎてやらないといけない事情があって,
こう見えて,結構忙しいんですw
次は,結果とセッティング例を書く予定です.